部屋に戻って仮眠を取ったけど、考えていたよりも早く起きてしまった。
でも目覚めはすっきりしていたので、そのまま起きることにした。

井戸で顔を洗い、たまたま会ったノルンとシーダ王女と朝食をとる。
二人とも昨日の出来事を知ってか、アランのこともルークのことも聞いてこなかった。
他愛もない会話を楽しんでいると、サムソンとシーマ王女がやってきた。
どう見ても二人はお似合いで、一緒に過ごしたように見える。






「おはようシーマ、サムソン殿」

「あ、おはよう






シーマはぽっと赤くなって、サムソン殿の胸に当てていた手を離す。
そんなのを見てたらこっちも赤くなっちゃう!わかりやすすぎるよ、シーマ!
サムソン殿はそんなシーマを抱き寄せながら言う。






「はは。、アランはどうした?」

「彼はまだ寝ていると思いますが……」






周囲から息をのむ声が聞こえ見渡す。みんながみんな、私を見ている…?



はっ!



私はサムソン殿を見た。
彼は柔らかな笑みで私を見下ろしている。

ああ、私ったら!つられて自然に言ってしまった。
私がアランと朝まで一緒にいたことを!!!






「私をはめましたね」

「何の事だ?」






素知らぬ顔をする勇者。涼しい顔をしてシーマの頬を撫でている。






「私だって、恋人と朝まで一緒にいたりします!」

「おおおっ!!!」






そう言うと食堂に歓声が上がった。一緒にいたノルンとシーダ王女も手を叩いている。






「?」

、今の言葉で皆の予想が確定されたようだぞ」






サムソン殿はそう笑うと、シーマの腰に手を当て私から離れていった。
シーマの方は申し訳なさそうに私を見ている。






「っ…」






ホントに私のばかっっ!



頭を抱えてしゃがみ込む。
こんな時、アランだったら涼しい顔で受け流すだろう。
彼が言った通り、私は素直過ぎて駄目だわ!

周囲の歓声は止まない。

私は意を決して立ち上がると、自分の席に戻った。
けど、一緒にいた二人にもアランとのことを質問攻めにされ、うんざりして食堂を出ることになった。
















              *
















食堂を出てしばらくすると、誰かが走ってくる音が聞こえた。
まさか私の話を聞こうと追い掛けて来たんじゃないかと思い、振り向く。
すると、姿を現したのはロディだった。








「ロディ…」






まさかあのロディが恋の話なんてしないよね。そう思って彼が私の所まで来るのを待った。






「本当に隊長と付き合ってるのか?」






第一声がそれで、私は眩暈がした。まさかロディまでなんて。






「具合が悪いのか?」

「違うわ。あなたまでもがその話題を口にするとは思わなかったのよ」






苦笑する彼を睨む。
するとロディは宥めるように私の背中を叩き、バルコニーに出るよう誘った。






「付き合ってるわ」






バルコニーに出ると私は言った。
ロディはいきなり言われたものだから、少し驚いている。






「ああ、さっきの質問かの答えか。そうか、そうだったんだな…」






彼はバルコニーから海を見た。
地平線を静かに見据える彼は、落ち着いていて涼しげな青年だ。
こんなに堅くなければもてそうなのに。






「結婚するのか?」

「ぶっ…」






唐突な質問に今度はこちらが驚いてしまう。
付き合ってるからいきなり結婚だなんて!堅過ぎる!



でも……






「この戦いが終わったら、一緒になろうって言ってくれたの」






アランのあの言葉を思い出し、幸せに浸る。
頬を赤くそめつつ言った。






「おめでとう、

「ありがとう」

「答えはわかってるけど聞くぞ?幸せか?」






ロディはにっこり笑って言った。
いつも澄まし顔の彼がこんな笑うなんて、滅多に見られない。私はそんな彼の表情に答えようと微笑む。






「ええ。幸せ」

「そうか」






彼はもう一度海を見て頷く。
そして真剣な表情で私を見た。






「私はが好きだった」

「!」






ちょっ…と、突然過ぎるでしょその告白!
それもロディが言うと、本気にしか聞こえない…






「驚くのも無理はない。そんなそぶりは見せなかったし、心に秘めていたから。だけど今、この気持ちを諦めようと決めた」

「…」

「君を欲するあまり、昨日のルークみたいになりたくないし、それに隊長相手に喧嘩を吹っかけるつもりはない。あの人は私の目標だから」

「ロディ…」

「誤解して欲しくないんだが、諦めるなんて言ってもそう簡単な気持ちで好きになったわけじゃない。ルークには負けないつもりだ」






私が頷くと、真剣な表情を崩して笑ってくれた。






「でもを幸せにしているのは隊長だし、これからも隊長と一緒じゃなければその笑顔を見れないってわかったんだ。昨日、はルークに言ったよな、あの人を倒してもあなたの元にはいかないって」

「聞いてたの?」

「ああ、殆ど最初から居たんだ。ルークを止めなければいけないって分かってたのに、私の体は動かなかった。
いつ、私がああなってもおかしくないってことに気付いたら、自分に失望した。私はただの男なんだと。
少しルークより自制心が強いだけだと思ったら、助けにいけなくなってしまった。私にルークを止める資格がないと思った」

「そんなことないわ。あなたは少し考え過ぎよ。堅すぎなのだろうけど」

「……そうかもしれない。昨日のルークの罪は、止められなかった私にもあるんだ」






ロディはそう言うと押し黙ってしまった。きっと罪の意識に苛まれているんだ。






「ねえ、ロディ。あなたは告白しに来たの?それとも謝りに来たの?」






くすくす笑いながら聞くと、彼はハッとして私を見た。
そして緊張した表情を崩して言う。






「告白しに来たんだ」

「そう。それならあなたの気持ちには答えられないわ。何があったとしても、私はずっと……アランを愛してる」






そう言うと、ロディは憑き物が取れたように柔らかな表情になった。
きっと昨日のことと私への気持ちが、彼をこんなにも辛く追いやっていたんだわ。
私の知らないところで、私の事で悩んでいる人達もいるのね…。きっと、ルークもそうなんだわ。






「それを聞いて諦めがついたよ。でもきっと、もっと好きになれる女性が現れるまでは君の事が好きだ」

「ええ、ありがとう」

「しかし今度、昨日みたいなことがあってもすぐに助けに入れそうだな」

「……もう、あって欲しくないわ」

「確かに」






二人で笑いあって地平線を見据えた。向こうの方に島が見える。
私は地理に疎いから、それがどこの島だか分からない。けどアランならわかるかしら。

こうやって別の男の人といても、いつでもアランのことばかり考えてるのね、私。






「私は君とアラン隊長を見守ってる。何かあったら相談してほしい。絶対に力になるから」

「ええ、ありがとう。頼りにしてるわ」

「じゃあ、私はもう行くよ」

「あ、待って!!!」






彼に言っておくことがあった。
本人には伝えにくいことを任せてしまうのは申し訳ないけど、きっとロディが言ったなら信じるだろう。






「前みたいに仲良くしたいって、ルークに伝えて欲しいの」

「君は怒ってないんだな」

「怒ってはいないわ。ただ怖かった……けど、私にはそれを取り除いてくれる人がいるから。もう大丈夫」

「怖かった、か。怒ってるよりも辛い言葉だ。…わかった、ルークには前みたいに仲良くしたいって言ってたと伝える」

「お願いね、ロディ」






彼は頷くと、割りあてられた自室に戻っていった。






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逆ハーですね。
モテモテさんなです☆


2011/05/15



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