「はじめまして、ウィル!よろしく?」
「…なんで疑問系なんだ?」
声が上擦ってしまい、疑問系になってしまったのを咎められる。
だってウィルったらギロリと睨むんだもん。
恐くて。
「ウィルさんが睨むからですよ」
「おお、そうか。すまないな、」
「ううん、いいけど」
ウィルは明らかに不機嫌そうだった。
それはあたしが来たせいではなく、なんというか、ハリエットが原因?て感じだった。
「ウィル、なんか機嫌悪くないか?」
「…ああ。
お前達、今ハリエットとシャーリィに会っただろう?」
ウィルはため息をつくとセネルを見た。
「シャーリィしかいないというのに、水の民の里に行くんだ」
「心配ならついて行けばいいじゃないですか」
すかさずジェイがツッこむと、ウィルは首を振った。
「断られた」
「げんこつでも食らわしてやればいいだろ…」
セネルが呟いたけど、それは無視される。
「ところでお前達、今時間あるか?」
「あるけど、何でだよ?」
なんか嫌な予感がした。
と言っても、あたしには待ってました!な話。
「クロエとノーマ、ついでにモーゼスも誘って水の民の里に行こう」
ウィルの親バカぶりが炸裂した。
*
クロエとノーマはすぐ見つかったけど、モーゼスは出掛けていて野営地にいなかった。
用件をチャバに伝えて、あたし達は水の民の里に向かう。
「へー、ちゃんセネセネんとこ居候するんだ?」
ノーマがニヤニヤした。
クロエをちらっと見ると、シャーリィとはまったく違う反応。
「そうか、大変だな」
悲しそうに言った。
あたしはなんだか申し訳なくなっちゃって、両手を左右に振って否定する。
「セネルとは何でもないよ!あたしは好きな人いるもん!」
ノーマとクロエはびっくりしていたけど、次第にニヤリとした顔付きになって肘でつついてきた。
「どんな人なんだ?」
「付き合ってないの?」
「そんな関係じゃないんだよ」
あたしが否定すると、ノーマはがっかりしてクロエは同情の眼差しを向けてた。
異世界の少女といっても、みんなは気にしない風だった。
気にするどころか、違うとこがないかの様に話してくれる。
これがすごく嬉しくて、有り難かった。
あたしは何を気にすることなく、みんなと行動すればいいんだ。
でも、申し訳なく思ったことが一つある。
それは魔物が出ても戦えないこと。
みんなが戦うのに見守ってなければならない。
「ごめん、戦えなくて」
「いいんだ、。気にするな」
「大丈夫だ、。私達が守るから」
セネルとクロエが言ってくれた。
それが申し訳ないのにね。
水の民の里まで結構な道程だった。
あたしがセネルとウェルテスに来た後、何故かダクトが壊れちゃったみたいで皆で歩きなんだよね。
シャーリィは大丈夫かな?って聞いたら、
「実はな、」
クロエが勿体振りながら話してくれた。
「街の者が言うには、シャーリィとハリエットが移動した後に壊れたんだそうだ」
「え?!」
もしかして…シャーリィ!!あたしの存在に怒って・・・!!
「シャーリィは大丈夫だと思うが、心配だな」
「う、うん…」
真実はわからないけど、あたしはシャーリィが恐くなった。
「あっ…あれ…?」
もうすぐ里に着くというところであたしは、肌身離さず持っていた大切なものを落としたのに気付いた。
さっきまであったのに!
「ごめん!あたし大事なもの落としちゃった。そこら辺に落ちてるだろうから見てくる。
皆先に行ってて!」
誰かが口を挟む前にまくしたてると、あたしは来た道を戻って行った。
誰も着いてこないとこを見ると、あたし一人でも大丈夫だと思ったんだろう。
「どこいったのかな〜?」
大事なものっていうのは、ワルターにもらった彼のピアス。
ワルターが帰っちゃった時はずっといい思い出にしとこうと、大切にしまっておいたんだけど…
夏になったらまた会える気がしてずっと持ってたんだ。
「ほんとに会えるのかなー?」
自信がなくなってくる。
だって、みんなの話にワルターのことは出てこない。
生きてるのかさえも怪しい。
「ううん!生きてる!」
あたしは最悪の考えを頭から振り払って、ピアスを探した。
目を懲らすと、ぴかっと光るものが道の上に!
あたしは飛び付くように寄ると、それを摘んだ。
「あった〜〜!」
ワルターのピアスは日の光でキラキラと光る。
あたしは嬉しくなって抱きしめた。
「ウー…」
?
なんか聞こえた。
「グルルル…」
!?
声の方を見ると、魔物がこっちを見つめていた。
なんていうか…ピンチ?
「っきゃ〜〜〜〜!」
あたしは大声で叫んだ。
セネルに、ジェイに、ウィルに…皆に聞こえるように。
聞こえてくれないと困る!
あたしの生死がかかってるもん!
「助けて〜〜!」
一目散に逃げ出すと、魔物が追って来た…って思うでしょ?
でも追って来なかったんだ。
だって
「狼破!!」
赤い髪と高い背が目立つ。
本人はこんなんなんだって思う。
そして半裸はハズイ。
モーゼス、だ。
「嬢ちゃん、大丈夫か?」
彼は魔物に刺した槍を抜くと滴る血を振り払い、あたしの側に寄って来た。
血が気持ち悪い…
と思いながら命の恩人なので避けることも出来ない。
あたしは静かにうんと頷くと、へなへなとその場に座り込んだ。
「ほんま、大丈夫か?」
「う、うん…ありがとう」
辛うじて御礼を言うと、モーゼスはニカーッと笑った。
「ー!!」
「さーん!!」
セネルとジェイの声が聞こえる。
二人はまもなくあたしの前に来ると、心配そうに見下ろした。
二人にへなへなしながら笑うと、安堵のため息をつく。
「モーゼスさん、あなたって人は」
「なんじゃ?」
「まさかを襲うなんて…」
セネルとジェイがモーゼスを挟み込む。
彼らが言った意味がわかったのか、モーゼスは腕を振り上げて怒り出した。
「違う!」
そして地団駄踏む。
「助けてもらったの!」
モーゼスがかわいそうに思えてそう言うと、セネルとジェイは笑い出した。
「わかってるよ」
「わかってますよ」
二人は声を合わせて言うと、笑い合った。
そしてセネルとジェイがそうだったようにモーゼスと肩をたたき合って「久しぶり」の挨拶をし出す。
あーもう、男ってなんでこう複雑なわけ!?
あたしはモーゼスを庇う発言を恥ずかしく思い、膨れた。
「チャバに聞いたからの、久々じゃし追って来たんじゃ」
モーゼスはチャバの伝言を聞いて追って来たと言った。
そこで魔物に襲われそうなあたしを見つけたらしい。
「ちょうどよかったのう」
「うん、助かった!」
「娘っ子は元気がいいのが一番じゃ!」
「なんだかその言い方やらしいね」
「ほうか?」
「ほう!」
あたし達は笑い合いながら里に向かった。
セネルもジェイもモーゼスも、レジェンディアプレイしてた時よりも本当に面白くて、頼りがいがあって、優しくて…
あたしは彼らに惹かれ始めていた。
ワルターにも会いたいけど、皆と一緒に笑ってるのも楽しい!!
このままここに居て、(セネルのとこにはずっといられないけど)戦い方覚えて皆と一緒に暮らすのもいいなぁ。
「着いたぞ、」
セネルの声にはっとして顔を上げた。
そこには美しい橋が架かっていて、水に浮かぶ小島に小さな家が点々と見える。
水の民の里だなぁって感じが、ひしひしと伝わってきた。
彼らがどんなに水を必要としているか。水を愛しているか。
「、大丈夫か?」
待っていてくれたクロエが、いち早く声を掛けてくれた。
心底心配した顔をしていて、不謹慎だけど嬉しくなっちゃう。
「大丈夫。大切なものも見つかったし」
「そっか、よかったねちゃん!」
「うん!ありがと、クロエ、ノーマ!」
三人できゃっきゃとしてると、セネルが少し不機嫌になったのに気付く。
セネルってあんまりそういう感じじゃないのに、この時はイキナリ雰囲気が変わったというか。
感じ取っちゃったんだよね。
彼の目線の方を見ようとするけど、ウィルの体が邪魔で見えない。
「来たぞ、門番」
「相変わらずですね」
セネルのぶっきらぼうな発言に、ジェイがくすりと笑う。
門番?と思ってウィルの体の隙間から向こうを見た。
そこに居たのは、なんと…
ワルターだった。
(生きてたんだ!!!!!)
****************
思いっきりキャラ出てきました(笑)
そして最後にワルターが!!!!!←興奮
ヒロイン嬉しそうです^^
2007/09/07