「何で知らないふりしてたの!?」
ワルターの告白を受けたあたしは、怒り気味に彼に聞いた。
しかし彼はあたしの怒りも何もかも無視して、無言でこちらを見つめている。
見つめてるの照れるからヤメテ!
…なんて言えない。
だって今、あたしは怒ってんだよ!?
「ワルター!」
「…」
「ワルターってば…」
「…」
「あたし、帰るよ?」
「許さん!」
ワルターはあたしの腕をガシリと掴んで離さない。
それも「許さんって…」
話さないし離さないし、もうどうにかしてよ!
「、気付かないのか?」
「へ?何が?」
ワルターの顔を見返す。
でも何のこと言ってるのか全然わからない。
あたしは首を傾げると、口をすぼめた。
「本当に気付かないのか?」
ワルターは呆れたように言うと、あたしを掴んでいる手を離した。
「何の話?全然わかんないよ」
「…わかった。
では、俺が何歳かわかるか?」
「え…」
何を聞くのかと思えば年齢の話?
確かレジェンディアの時、17歳だったよね?
じゃあ一年経ったし…
「18歳でしょ?」
そう言うと、ワルターは急に目を逸らした。
何、何なの…?
「、お前には俺が18歳に見えるのか?」
「う、うん。
確かに大人っぽくなった気がするけど…」
「気付いているじゃないか!」
その言葉に反応すると、ワルターはあたしの腕を再びガシリと掴む。
「俺は今、20歳だ」
「え?」
「他の奴らも同じ。セネルも20歳だ」
「だって、一年しか…」
ワルターが何を言いたいのかわからなかった。
だって20歳って…、いつの間にそんな歳をとったの?
「の世界では一年、この世界では三年経ったんだ。
俺が最初にあの世界に行った時、傷が一日で治っただろう?それもそうだ。
お互いどちらの世界にいたとしても、自分の世界の歳をとる」
「…う…ん…」
その先に言うことは予想がついた。
でも、ワルターの口から聞きたくなかった。
「一緒にいたとしても、流れる時間は違う。
だから、俺達は一緒にいるべきではない」
「!!」
やっぱり。
ワルターの考えるこてなんてすぐわかっちゃうんだから。
「そんなこと…ないよ」
あたしはそう言った。
流れる時間が違うからって、一緒にいられないとかはないと思う。
それは、本人の気持ち次第だ。
それともワルター、もうあたしに会いたくなくなっちゃったの?
「海に行こう」
「…は?」
「いいから、早く!」
「…わかった」
突然言い出したことにも関わらず、ワルターはあたしの体を抱き上げてデルクェスを出してくれた。
「相変わらず綺麗な黒い翼。
三年経っても…綺麗」
「…」
あたしは彼の首に腕を巻き付けると、ぎゅっと抱きしめた。
高く高く上がる。
空はどこまで行けるんだろうと思うと、昔習った理科の授業を思い出す。
大気圏とかなんとか圏があって…
でもここの世界は、違うかもしれない。
だって、あたしが一年。ワルターが三年。
改めて痛感するこの違い。
あたし達は違う世界に住んでるけど、一緒にいるなべきではないの?
好きになってはいけなかったの?
それを今確かめに行く。
ワルターをあの世界に飛ばしたのは滄我、それならあたしがこの世界に来たのも、滄我の力に決まってる。
「」
「何?ワルター」
ワルターは本当に大人びた。
見える横顔が前よりシャープになって骨ばった気がする。
前よりずっと、男らしくなった。
「会いたいと思っていた…」
ワルターはそう言うと顔を逸らした。
きっと照れてるのだろう。
「あたしも」
迷うことなく応える。
恥ずかしいという気持ちよりも、ワルターがそう思っていてくれたことが嬉しかったから。
「三年は、長かった」
「一年も長かったよ」
睨むワルターにニッと笑ってあげると、指に金色の髪を絡めた。
*
「お願い滄我、あたしに教えて!」
「!?」
砂場に着くと、あたしは海に向かって走って行った。
波が高く、猛っているよう。
あたしは意を決して下唇を噛み締めると、耐え切れなくなったように叫ぶ。
ワルターが目を真ん丸くしてあたしを見る。
そして呆れたように言った。
「滄我の声が聞こえるのはメルネスだけだ。お前に聞こえるはずがない」
「…あたしにも、聞こえるんだもん」
あたしは首を振ると、海を見据えた。
「滄我、あたし達は一緒にいるべきではないの!?」
海がピカーッと一度だけ光ったかと思うと、高かった波が一気に引く。
…よく来た、
滄我の声が聞こえた。
「ねえ滄我、何故私をこっちに飛ばしたの?
ワルターの時は事故だったみたいだけど、あたしのは故意的みたい」
「…?」
そうだ、の時は故意的に行った…
「何で?何でこんなことを?
こんな悲しい現実をつきつけるなんて…」
変わって欲しかったのだ、かの青年に…
滄我はそう言うと、ワルターを見た気がした。
「ワルターが塞ぎ込んでいたから?ワルターに現実を知って欲しかったの?」
そうだ。
我が過ちでそなたの世界に行ってしまったかの青年の見たもの、
感じたもの全てが我のせいだ。
それを正さなければならない。
滄我が言っているのは、間違って私達の世界に来て影響を受けたワルターを元に戻すってこと?
それじゃあ…
「あたしは必要ないってことね…」
そうでは…
悲しくなって言い捨てた時、ワルターが間に入って来た。
「もういい!」
彼はそう言うとあたしの両頬に手を当て、無理矢理自分の方を向かせた。
「な…に、ワルター」
「一人でそんな事をしなくていい。
俺はもう、お前と一緒にいられない。これは決められた事なんだ。」
「そんなこと…そんなこと絶対ない!お願いだからそんなこと言わないでよ!ワルターに言われたらあたし…」
「送っていく…」
「…」
ワルターはそれ以上何も言わせてくれなかった。
滄我も、何も言わなかった。
彼の中の決意。あたしとは一緒にいられないと言うこと。
本当にそう思ってたら会いたいと思ってたなんて言わない。
あたしはわかってる。
わかってるよ、ワルター。
どうしてそうやって嫌われ役買ってでるの?
あなたはもっと、皆に愛されるべきなのに。
「あたし、また明日あの海にいるから」
あなたも来てね。
という思いを乗せて言ったけど、
彼は、答えることはなかった。
*************
エセです。
エセワルターです。
本物だったらあんな事言わないはず!(笑)
次が最終話です☆
2007/09/13