あのシャーリィを取り戻した日の翌日…晴れた日の朝、俺達は港からクロエを送り出した後、いつものようにウィルの家に集まった。
その日も仲間達はみんな元気で、話題も尽きずに喋りまくっていた。
俺はそんなみんなの顔に満足すると、胸がいっぱいになってうんうんと頷く。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「ん?平和だなあと思ってさ。」
「そうだね!!」
シャーリィはにっこり笑うと、ノーマを中心とする会話の渦に入って行った。
シャーリィがまだ苦しんでるのがわかる。
時々見える暗い表情になんとも言えない不安を覚えるときがあるんだ。
一人の人間として一緒に歩きたいけど、やっぱり兄としての期間が長かったからか、その気持ちが優先してしまう。
俺の可愛い妹だから、心配でしょうがないんだ。
「セネル。」
「!?」
突然に声を掛けられて驚く。
俺、ぼーっとしてんのかな。
「なんだ?」
「聞いてほしいことがあるの。
…皆にも。」
は俺だけでなく皆にも声を掛けた。
一体なんなんだ?
俺達は不思議がりながら彼女に注目する。
すると彼女は照れたのか真っ赤になった。
可愛いな。
「で、なんだ?」
「あ、はい。私、ミュゼットさんの家を出ることにしました。」
「ええっ!?」
の言葉にみんなで反応する。
何だって!?
それじゃ匿われてる意味がないじゃんか!
はヴァーツラフを殺したって事で、故郷のクルザンドから狙われるかもしれないからミュゼットさんに匿われてるわけであって……
俺達は驚きの声を上げたあと、みんなで無言になってしまった。
はそれにおろおろすると、俺達の顔を順番に見ては心配そうにしている。
「…出ていってその後どうするんだ?」
ウィルが辛うじて質問する。
はニッコリ笑うと「宿屋に引っ越すのです。」と言った。
『宿屋!?』
…なんだ…!!ウェルテスから出ていくわけじゃないんだな。
…良かった!!
俺はここでホッと胸を撫で下ろした。
でもそれは、間違いだったんだ!!
「そうか。それなら隣にノーマもいるし、まあ安心出来るだろう。」
ウィルも胸を撫で下ろして安心したようだった。
「ウィルっち〜!まあって何よ〜〜!!あたしが頼りないっての!?」
「そうは言ってないだろう?」
「言ってるよーなもんじゃん!!」
「まあまあ、ノーマ。」
「むっす〜。」
に宥められながら、ノーマは頬っぺたを膨らましていた。
「それに、ノーマだけじゃないですから大丈夫ですよ。ウィル。」
はニコニコと微笑む。
…何の事だ?
ノーマだけじゃない…?
「ワルターも、一緒ですから!!」
『!?』
驚愕。
……言葉も出ない。
何なんだ、ワルターも一緒って。
「ワルターの傷が思ったより深くて、身近で治療したいんです。」
は目をキラキラさせて言った。
ななな…
『駄目に決まって(るだろ!)(るじゃろ!)(ます!)』
…抗議の声が、思わずモーゼスとジェイと被ってしまった。
いや、そんな事は問題じゃない!!
「、何考えてんだ!!部屋とか一緒なのかよ!?」
「ええ。」
「ばっ……危ないじゃんか!」
俺は何て言っていいかわからず、危ないとか叫んでしまう。
モーゼスとジェイ以外の視線が痛い。
まずったかも…
はというと、クエスチョンマークを頭の上にいっぱい出しながら、首を傾げて俺を見ている。
うわ……まずい…
「セネル、なんで危ないの?むしろ安全じゃない?」
…やっぱり。
答えらんないだろ〜
「い、いや、その…」
「?」
「だから…。」
モーゼスかジェイ、助けろよ〜!
すると、ジェイが一歩歩み出てを見た。
助けてくれるのか…?
ジェイはにっこり笑うと言った。
「年頃の男女が同じ部屋にいると危ないって、セネルさんは言ってるんですよ。」
「え?何で?」
「……。」
のボケに、ジェイが無言になる。
駄目だったか…。
は鈍いのか、それとも知らないだけなのか…。
それに、困ったことに一度決めたことは絶対に実行するしな…。
「…お前達、諦めろ。」
頭の中で考えを廻らせていると、ウィルに遮られた。
って、諦めろ!?
「が言い出したら聞かんことはわかってるだろう?」
俺達はうっとした顔をすると頷いた。
確かにそうだもんな。
でも…しょうがないなんて言える事態じゃないぞ!
「…だそうだ。、きっちりと看病してやれ。」
「ええ!」
お、おい!ウィル!?
何許可してるんだよ!
は嬉しそうに頷くと、ワルターの隣に座った。
…だから今日はワルターが来てたのか。
俺がギロリと睨むと、ワルターは気付いたのか睨み返して来た。
……その顔がいつもと違って勝ち誇っている様でムカつく。
ワルターはすぐと向き合うと、見たこともない優しそうな顔を彼女に向けた。
…このままだとヤバイ。ワルターが安全だとは限らないし、どうしたもんか。
「お兄ちゃん?」
「…ブツブツ…」
「お兄ちゃんってば!」
「!!…何だ?シャーリィ。」
「……もういいよ。」
「?」
よくわからないけど、とりあえずモーゼスとジェイと対策を立てるか。
っつーか、ライバルと対策を立てようとする俺って…。
「じゃあ、私引越しの準備をするのでお先に失礼します。」
「…ああ。」
…何にも言う言葉が見つからない。
手伝いたいけど手伝いたくないし。
「、俺も行こう。」
「あら、ワルターはだめよ。怪我してるでしょ?
終わったら呼びに来るからここで待ってて。」
「…ここでか?」
「ええ、ここで。」
「………。」
はワルターをここに押さえ付けると、ドアを開けて出て行った。
「あ、さん!私も行きます!!」
シャーリィが追うように出ていく。
彼女が出て行ったここは、最初とは打って変わってひどく静かになる。
いたたまれないな。
「ワルターさんもうまくやりましたね。」
静けさの中に澄んだジェイの声が響く。
苛々しているような、馬鹿にしているようなトーンの声だ。
「…あいつが勝手に決めた事だ。」
ワルターはボソりと言った。
「ワの字は水の里に居たいんじゃろ?なんでわざわざ宿屋に住むんじゃ!」
「それもあいつが決めた事だ。
…それにあいつの薬は何よりも効く。ここにいた方が治りも早い。」
「だからって…!」
「止めろ!!」
ドゴッ!!
俺達はウィルのげんこつを食らう。
「って〜〜って!何でワルターは殴らないんだよ!?」
「怪我人だ。」
くそーーっ!
「とりあえず、お前達は自重しろ!!」
ウィルは怒ると、自分の部屋に行ってしまった。
「……。」
今日は一体何なんだ!!
平和になったと思ったらこれで……俺、なんか悪いことしたってのかよ!?
……はあ。
最初は面白そうに俺達を観察していたノーマが、途中からいびきをかいて寝た。
そのぐらい、俺達は睨み合っていた。
俺達三人とワルターの睨み合いはが帰ってくるまで続く。
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キャラクエプロローグ☆
時間的に前後しましたが、今回の話は本編エピローグの数時間前のお話です。ヒロインはミュゼットさんの庇護下から旅立ちます。
前回の出来事で、彼女は運命に立ち向かわなければいけないという事に気付いたんです。
わわわ、ワルターひいきに!(笑)
キャラクエも頑張ります☆
2006/09/09
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