ウィルの家に着くと、私は居間に座って赤ん坊をあやす。
ソファーにはセネルが寝ていて、あまりにも気持ち良さそうだったので起こすのはやめておいた。
(こんな風に寝ているのは、昨日私がここに帰って来ないでと言ったからかもしれないしね。)
そしてハリエットとワルターには、家の中にウィルがいるか捜してもらう。
ウィル捜索中に突然、シャーリィが訪れた。
彼女は寝ているセネルの横で私が赤ん坊をあやしていたのを見ると、勘違いして一瞬止まり飛び出すくらい目をカッと開く。
このシャーリィはかなり怖かったわ。
「ワルターっ!」
「なんだ…?」
「助けて…」
「…しょうがない。」
私は慌てて小声でワルターを呼ぶと、赤ん坊を渡して(というか無理矢理持たして)あやし始める。
少しでもセネルとは関係ないって示したくてね。
それでシャーリィはホッとしたのか、赤ん坊の事を聞いて来たの。
何にしろ、大事件にならなくてよかったわ。
「さんとワルターさんのお子さんですか?」
「メルネス…」
「そんなわけないですよね。どうしたんですか?」
私達はこの赤ん坊と出会ういきさつを軽く話すと、ウィルを見なかったかも聞く。
「ウィルさんなら、街の外に向かっていくのが見えましたけど。」
「街の外か…。」
私は無言でワルターを見た。
「…行かんぞ。」
「そうよね。帰ってくるのを待てばいいし。まあ、キッチンでも借りて朝食にしましょうか?シャーリィとハリエットは食べた?」
「はい。」
「うん。の手料理が食べれないのが残念。」
「じゃあ、セネルを起こしてくれる?きっと朝食は食べてないでしょうから。」
「はい!」
シャーリィは意気揚々とセネルを起こしにかかる。
私は赤ん坊をワルターに預けたままキッチンに入った。
買ってきたパンと材料を合わせればサンドイッチくらいはできそう。
余る材料はスープにでもしようかしら。
あとミルクね。
お菓子作るために買った粉ミルクが役に立ちそう。
私は自分のキッチンのようにお鍋やお皿を出すと、料理を始めた。
「ウィの字〜」
「ウィルちゃ〜ん」
「ウィルさーん」
「レイナード」
「ウィルっち〜」
キッチンに入ってしばらくすると、声が聞こえる。
あら、いつものメンバーの声。みんなったらウィルの家に集まって、暇なのね。
「あっれー?いるのはリッちゃんとハッちと寝てるセネセネ?
んで、ワルちんと赤ん坊!?」
ノーマは驚いたような声で言った。
ワルターが捕まってしまったわね。
私はくすくす笑うと、その場を見守る。
「わっ…ワルター!!一体誰の子なんだ?」
クロエも信じられないような声で言う。
「まさか…さんはいないし…」
ジェイは続きの言葉が出てこないみたい。
「と俺の子だ。」
え!?
ワルターが今、冗談を…
「何だって!?」
「あ、セネセネが起きた。」
「私が何しても起きなかったのに〜お兄ちゃんったら!」
セネルは起き上がると、ワルターに詰め寄った。
「本当か!?」
ワルターはセネルの勢いにやられると、溜め息をついて赤ん坊を見る。
「…馬鹿なやつらだ。」
彼の言葉に周りは息をつく。
ノーマは赤ん坊の前に行くと、面白そうに頬をつついた。
「子供がこんな早く産まれるわけないっしょ?」
「そうだ。こんな早くはな…」
ワルターは含み笑いで対応する。
「ってあなた、いつかは作るつもりなんですか!?」
「どうだかな。
な、。」
「え?いるのか!?」
皆一斉に私の方を向く。
私に振られてきた……
うーん、困ったわね。
「え?えーと、それには計画を立てないとね。」
適当に応えると、私は料理作りに戻る。
セネルとモーゼスとジェイが驚愕してることに気付かずにね。
「いつの間にそんな関係になったんじゃ!」
「ワルタ〜っ!!!」
「くっ… 赤ん坊を抱えてるから、手を出せなくてイラつきますね…」
「ちゃんがてきとーに答えてんのわかんないのかなーっ?」
「本当だ。」
「みんなばっかみたいね。」
「本当のこと言っちゃだめだよ、ハティ。」
「シャーリィ…」
「嬢ちゃん…」
「シャーリィさん…」
なんだかとっても楽しそうね。
私は作った料理をテーブルに並べると、「さあ、食べて!」と言って勧めた。
「ちゃん、おしめ代えるのがうまいわねぇ〜。」
「あら、ありがとうございますグリューネ。」
「どれどれ?ほんとだーっ」
「って、すごいわねー。」
赤ん坊のおしめを代えていると、グリューネとノーマとハリエットが覗いて来た。
「そういえば、さっきミルクをあげるのも本当の母親かのようだったな。」
クロエが言う。
やだ、照れてしまうわ。
「職業が職業?ですから、今後のために情操教育から子供の育て方まで授業を受けるの。本物の赤ん坊でね。」
「へーっ。」
ノーマは関心すると、私の肩をぽんぽんと叩いた。
「ちゃんは、いつでもお母さんになれるね。」
「まあ。」
「だってよ、男共。聞き耳立ててないでさーっ」
「ノーマったら。
あら?産着の間から何か…」
おしめを代え終わって産着を整えると、その間から手紙のようなものが出て来た。
ガサガサと開けて読む。
「!!」
これって!
「皆、今すぐウィルを捜して来て!」
「どうしたんだ?」
クロエが訝しげに私を見る。
私は慌てて舌を噛みながら、
「こっ……この子の両親は死ぬ気だわっ…」
と言った。
その時、
ガチャ
ドアが開く音が鳴る。
私達は手紙の内容のショックを受けた状態で、ドアの方を見た。
****************
切れ具合が微妙に(笑)
ワルターも冗談が言えるくらいに成長したらしい…。
皆がわいわいしてて楽しいなぁ。
2006/10/01
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