ああ、着いた。人食い遺跡だ。

人食いって言われるのに可愛くピンクのような赤のような色でさ!
何なんだろここって。

エバーライト、ここにあるよね。
























「ノーマ、気負ってはいけませんよ。」

ちゃん…。」

「あまり考え過ぎると、出来るものも出来ませんし、見つかるものも見つかりませんよ?」

「……そうだよね。…うん、ありがと!」

「ふふ、その元気な顔がノーマです。」

「そっかなぁ〜。」
























ちゃんはいつもあたしを励ましてくれる。
あたしだけじゃない、皆もきっとそうだ。だから男共がちゃんに惹かれるのも分かる気がする。
だって、

あたしがちゃんお嫁に欲しいくらいだもんね。





















「ノーマ?」

「な〜に?」

「……いえ。」


















ちゃんは不思議そうにあたしを見ると、ふと笑って皆の後に続いて人食い遺跡の入り口に向かっていった。
あたしも遅れをとらない様に追いかける。





















「さ〜て、頑張っていこ〜〜〜〜!!!」


















あたしは皆に気合を入れてやろうと元気良く掛け声をかけた。
でも皆ってばさ〜、無視だよ?無視。





















「すごくさびしいんだよね〜。バカみたいなんだよね〜・」

「なら、やらなければいいんですよ。」

「それじゃ面白くないじゃん。」

「そうねぇ、やっぱり楽しくないといけないわぁ。」





















ジェージェーの鋭いツッコミに睨みを利かせると、グー姉さんが私に賛同してくれた。

うんうん、やっぱりグー姉さんは分かってるねぇ。


















「おお〜っ!」
















腕まで挙げてくれちゃってるし。
やっぱあたしの味方はグー姉さんだけか。






















「あたしの研究によれば、エバーライトは奥にあるはず。」

「…そもそも、エバーライトとはどのようなものなんだ?形状の分からないものは探しようもないと思うんだが。」

「あらクロエ、形状は誰もわからないのよ?」

「形状がわからない?」

「うん、あたしも知らない。」



















そうそう。
エバーライトの形なんて知ったこっちゃないよね。だって、誰も見つけたことないんだもん。





















「どういう意味だ?」

「A crystal of prayer gives the help by mysterious power.」

?」

「祈りの結晶、神秘の力にて、願い捧ぐ者に救いの道を与える。……一人の学者がこう訳したの。」

「そもそもエバーライトは伝説であり、古刻語の解析から始まったのだ。、さっきの言葉は何だ?」

「ええと、クルザンドの古い言葉の訳しです。こちらの方が響きが良いので…。」

「確かに。の発音は音楽のようだったな。」

「まぁ、ウィルったら。」






















ちゃんとウィルっちがいると、あたしなんかいらないくらい説明が補われちゃうなぁ。
でもでも、ちゃんの言葉キレイだった。エバーライトって名前よりずっと、クルザンドの古い言葉のがいいじゃん。





















「エバーライトってのは、あとから祈りの結晶に付けた名前なわけよ。」

「遺跡調査の副産物だったわけですか。」

「訳は正しいのか?」

「それもわかっていない。」

「古刻語の解析は今でもあまり進んでいませんからね。」

「石版が発表された当時は、熱心に調査されてもいたんだがな。今ではどこの国の研究機関でも否定説が当然となり調べる者もいなくなった。」


















そ。

だからししょーがバカ扱いされてたってワケ。
ま〜ししょーは本物のバカだったけどね。





















「ま〜だから、形は誰にもわからんのよ。」


















あたしがそう言うと、モーすけが赤い顔でズカズカと近寄って来た。






















「そんなもん探せ言うんか!

だいたいエライ学者さんは「ない」言うちょるわけじゃろ?」




















ししょーの言葉じゃないけどさ、エライ学者が言えば絶対無いって言えるわけ?
モーすけの頭じゃ、そうかも知れないけどさ。


あたしは反論しようと拳を強く握り締めた。


いつもだったらこんなの軽く流しちゃうのに、流せなかったんだ。
あたしだって、前はそう思ってた。






















それが『普通』だって思ってた。




















けど、ししょーは違かったんだ。

































「モーす…!!」

「モーゼス、それは違うわ。」

?」
ちゃん?」






















その時、あたしを庇うようにモーすけの前に出たちゃんは、いつもの優しい微笑みで彼を見据えた。























「偉大な学者がそう答えを出したからと言って、それが本当だとは限らないのよ?

本当の事は誰にも分からない。

エバーライトはあるかもしれないしないかもしれない。

でもね、知りたいと思うもの、見つけたいと思うものを探求するのはいけないことではないわ。

自分の足で歩いて、自分の目で良く見て、自分の肌で感じる。

そうして生きていく事に、探すことに意味があるのではないのかしら。」




















!!

な…んで?

ちゃんの言葉、ししょーの言葉そのままじゃん。



どーして?
どーしてそんな事思えるの?

ちゃんは、ちゃんは、ししょーと同じように夢を見ているっていうの?






















「……すまん、シャボン娘。」

「へ?」

「じゃから、すまん言うちゃるじゃろ?」

「へ…う、うん。」

「ふふ、モーゼスも分かってくれたのですね。」

「おう!夢を求めるっちゅうことは、男のロマンじゃからの!」

「……モーすけが言うとキモい。」

「なんじゃと!?」

「確かに、モーゼスさんが言うと気持ち悪いですね。」

「ジェー坊までか!」





















あはは!!!

おっかし。









おかしくって涙出てきちゃったじゃん。
気付かれないようにゴシゴシ…と。

あ、ちゃんに見られた気がする。
























「……」



















あ、また暖かい微笑み。
安心するなぁ。




















ちゃんはゆっくりあたしに近づいてくると、耳元でこっそり囁いた。



























「私がクルザンドに居た時、エバーライトを探していると言う男性にお会いしました。

塞ぎこんでいた私に、彼はエバーライトの話や、彼の師匠の話、弟子の話などで楽しませてくれたわ。

















……彼の名はスヴェン。


私は彼の影響で古刻語の勉強を始め、エバーライトについて研究したの。」





「えっ……」



























ちゃんが言ってること、最初理解出来なかった。

でも、スヴェンって…


























「先程の言葉は彼の受け売り。

でもね、いつからか私もそう思うようになったの。

だから私の本心なのよ?ノーマ。」

ちゃん…」

























ししょー!!

ここにも、ししょーを信じてくれてる人がいたよ!!!

良かったね、ししょー。














ちゃんなら、百人力だよね!




























********************

スヴェンはエバーライト探しのためにきっと、
クルザンドも訪れているはず!
と思って知り合いにしてしまいました。
その方がなんか楽しいじゃないですか?

スヴェンと知り合うなんて、人生の半分以上明るく過ごせそう!!(笑)



2007/01/01













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