「ぎょえぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
モーゼスの叫び声。
何が起こったのかと辺りを見回してみると、その叫び声の主だけがいなくなっている。
あら?あらあら?と思ってもう一度見回すけれど、やっぱりモーゼスはいなくなっている。
「あ…モーゼスは……?」
私が呟いても皆知らん顔。
皆はモーゼスがいなくなったことに気付いていないのかと思ったら一人だけ、私と同じように動揺している人がいた。
シャーリィだわ。
「えっ……と…モー…ゼスさんが…」
「そうよね?モーゼスがいない気がするのだけれど…。」
「はい。さっきいきなり叫び声がして……」
「ええ。」
やっぱり皆は知らん顔。
どうしてかしら?
「あれ、誰か減った?」
そんなこんなでシャーリィとおどおどしていると、ノーマが振り返った。
彼女もやっぱり何も気付いていないみたい。
「いえ、誰も減ってません。異常無しです。」
え?ジェイったら。
……わかったわ、皆でモーゼスに意地悪しているのね。
しょうがない、付き合ってあげますか。
モーゼスには悪いけれどもね。
「トラップ解除するぞ!かかってこいや!!」
相変わらずノーマは気付いていないようだし。
ふふ、可笑しいこと。
私は何だかとても楽しくなって胸を躍らせた。
ノーマは緊張するくらい真剣に探しているけれど、私にとっては宝探しの様なもの。
スヴェンもノーマと同じ…それ以上に真剣だった。
よく私がクルザンドのためにエバーライトを探すと言うと、怒られたものだわ。
『エバーライトは、ひとつの国を救うようなちっぽけなものじゃない…そんなんじゃなくてな…』
…今なら解る気がする。
だって………
「解除は出来そうなのか?取り除かないと先に進めないのだろう?」
「う〜ん、こいつが頑固でね〜。」
「あの…」
ウィルとノーマの普段会話に、不安げなシャーリィが水を差した。
やっと進言してあげるのかしらと思うと、シャーリィの優しさに関心してしまう。
「モーゼスさん、助けに行かないんですか?」
「あれ?モーすけの奴どっか遊びに行ったわけ?」
「ぜはぁ…ぜはぁ…コラァ!シャボン娘ェ!」
シャーリィの助け舟の途中に、息を切らせたモーゼスが帰ってきた。
彼は肩を荒く上下に揺らし、玉の汗を額に光らせている。
きっと、冷や汗をかくような思いをしたのね。
「おお〜!おかえり!」
「無事だったんですか、つまんない。」
元気良く労う?ノーマの横で、ジェイが眉間に皺を寄せて溜め息をついた。
何だか本当にガッカリした様ね。
最近気付いたのだけれど、こういう時のモーゼスってすごく可哀相なの。
でもそれが可愛かったりするのよね。
特にそれでしょげてしまう時が。
でも今回はジェイにつっかかっていた様だったわ。
カチ
「あ。」
「カチってなんじゃ?」
「さっきもこの音聞いたぞ?大丈夫なのか?」
「う〜ん…」
「大丈夫なんじゃろうな!?」
その時、急に床にまた穴が開いたの。
「うおっ!」
「きゃっ!」
ちょうどモーゼスと私の下が。
「!!」
「さん!!」
「!」
予想だにしていなかった事なので、私はそれに対応する事が出来なくて落ちそうになってしまったの。
でもね、セネルとジェイとウィルが同時に私の体を掴んでくれて落ちなくてすんだのよ。
ふぅ〜、助かったわ。
油断大敵だわね。
「こっちは……チッ……落ちなかったんですか。」
「ジェー坊、その反応は何じゃ!」
「やだなぁ、軽い冗談ですよ。」
今度はモーゼスも落ちなかったみたい。
よかったわ。
「それより皆さん、さんが落ちそうになったらあんなに素早く助ける事が出来るのに、何で一度目にモーゼスさんを助けなかったんですか?」
「そうじゃ!嬢ちゃんもっと言っちゃれ!!」
シャーリィは私を助けてくれた三人、セネルとジェイとウィル……
ううん、セネル一人に向かって言った。
最近シャーリィが積極的になった気がするわ。
良い事だけれど、何かきっかけがあったのかしら。
「いや、シャーリィ。あれは何が起こるかわからなかっただろ?それでだよ。」
「……わかりました。そういうことにしてあげる。」
「シャ……シャーリィ?」
「……」
「リッちゃんから怒りのオーラが出てる。」
「本当ねぇ。お姉さんも出してみたいわぁ。」
「グー姉さんは無理でしょ。」
「あらぁ、残念ねぇ。」
セネルはシャーリィに押されながら、避けるようにノーマを見た。
そして少し目を細めると、トプのスイッチが入っただろう辺りを見回しながら彼女に聞く。
「ノーマ、解除出来たんだろうな?」
疑い深く見る彼に、ノーマは明るい顔で頷いた。
「安心して!もう心配いらないから。」
「その自信の根拠は?」
更に聞き返すセネルに、ノーマは下をぺロっと出して
「だって、全部発動させちゃったもん。だから、もうトプ残ってな〜い!」
「……」
「どったの?」
「…とにかく先に進もう。」
「あ〜……待ってよ〜。」
皆はノーマの答えに呆れると、彼女を置いて先に進んでいった。
残ったノーマは私がいることも忘れ、いつもとは違った彼女の顔……
不安でいっぱいな
自信の感じられない
泣きそうな顔
「ししょーみたいにはいかないね。
あたし……ちゃんとやれるよね?」
「ノーマ……」
「げ!?ちゃん!!」
「げ、とは失礼ですよ?」
「ご、ごめん!早く行こ!!」
「……ええ。」
ノーマは私の存在に気付くと、暗くなった顔を途端に元の明るい顔に戻した。
それはいつもの明るい顔のはずなのに、辛そうで胸が締め付けられる。
でもその時、私はノーマの心情よりも……
…一瞬見えた気がするあの黒い霧が気になってしまった。
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ヒロイン視点に戻った〜。
最近会話が多い気がしますね^^
今回はモーゼスが可哀相なことに(笑)
2007/01/03
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