私達は結局、さんを見つけることはできませんでした。










それはジェイさんも同じだったようで(笑)









お兄ちゃん達は気付いてなかったけど、ジェイさんは私達とは別に独自に捜してたみたい。


















「シャーリィ、はどこにいるんだろう。」

「そうだね、全然見つからない。遺跡船を出たとかはないのかな?」














私がそう言うと、お兄ちゃんは複雑な顔をして私を見た。













「お兄ちゃん?」

「シャーリィ、こう言うのはなんだけどさ、は絶対怪我してるワルターを置いていったりしないと思うんだ。」














……はぁ。




やっぱり私じゃさんには勝てないのかな。

お兄ちゃんにこんな想われてみたい。












「そうだね、もうちょっと探そうよ!」

「そうだな!!


…あっジェイ!!」










私達の前をジェイさんが横切ろうとした。
お兄ちゃんは彼の肩を掴んで引き止める。












「…なんですか、セネルさん。」










ジェイさんはめんどくさそうに立ち止まった。
この苛々具合から見ると、彼もさんをまだ見つけてないみたい。












「ジェイさんも、さんを見つけていないようですね。」











私がそう言うと、開かれる瞳。





紫色の雫が零れそう。

あ、お兄ちゃんのエメラルドブルーも。











「っ……何であなたがそれを知っているんですか!?」














ジェイさんはポロリとそう言うと、自ら口を押さえた。













「だって、人を捜してるような仕種がよく見えたんです。だからきっと、さんを捜してるんだなあって。」











こう言うと、ジェイさんはこころなしか青くなった。
そしてため息をつくと、私達を見た。











「まさか気付かれてるなんて思いませんでした。それもシャーリィさんに。」

「おいジェイ!何で一人で探してんだよ!皆で探せばいいだろ!?」










そうなの。
お兄ちゃんの言う通りなのに、なんでジェイさんは一人で探したんだろう?



















「……僕は、セネルさん達とは違うとこにいるんです。

ある手を使えば、すぐさんの居場所がわかるんですよ。」










「え?」

「本当か?」









「本当です。

ただ、その手を使うのは釈に触るんですよ。

だから、自分の手で探し出したかった。」
















ジェイさん…。






さんは本当に、皆さんに愛されてますね。





羨ましいです。
















「その手って、何だ?」












お兄ちゃんたら、ジェイさんが使いたくないって言ったのに、聞いちゃうんだね。















「……もう、さんがいなくなってから結構経ちますよね。

ずっと見つからないのも釈に触るので、ここら辺で観念しますか。

…皆さんをウィルさんの家に集めましょう。」

「ああ。皆を集めよう。」
















そんな感じで、私達はウィルさんの家に集まりました。
ジェイさんはさんを捜すどんな手を知ってるんでしょう。

















































                     *










































「ジェイ、を捜す手があるのは本当か?」

「はい。ただ、非常に釈に触るんですよ。」

「ワレが釈に触ろうが触らんがどっちでもえぇ!はよう教えるんじゃ!!」

「バカ山賊は黙っててください!」

「なんじゃと!?」













あらら、いつものパターンになってしまったようです。
困りましたね。












「モーゼス!お前は黙っていろ!!

ジェイ、話してくれ。」











ウィルさんが一喝してモーゼスさんが黙ると、ジェイさんは頷いて遠くを見ました。
そして…





















「ワルターさんをつけるんですよ。」

















と言いました。
















「何でワルちんをつけんの?」

「ワルターは知らないって言ってただろう?」

「そこがおかしいところなんです。

皆さん、考えてもみてください。さんが突然いなくなって、あのワルターさんが大人しくしてると思いますか?」

「だって怪我してんじゃん」













ノーマさんが言うと、ジェイさんは溜息をついた。



















「…!!


違う。ワルターの性格だったら間違いなく探しに行く。


例え、大怪我をしていたとしても!!!」














お兄ちゃんはそう言うと、答えを確かめるようにジェイさんを見た。
ジェイさんはゆっくり頷く。
















「そうです。

…過去の関わりがあったからってとても釈に触るんですが、これはさんの居場所をワルターさんが知っているということです。

きっと、彼はさんに会いにいくでしょう。」

「そうだな。」

「ワルターさんは僕が見張ります。皆さんはここで待機して下さい。」

「わかった。ジェイ、頼む。」


















こうして、さんを捜す手を見つけた私達は、ワルターさんが会いに行くのを夜まで窺いました。























































































































「グリューネ、今日のお昼は何にしますか?」

「そうねぇ、なんでもいいわぁ〜。ちゃんの作るもの何でもおいしいんだもの。」

「そうですか。ありがとうございます。」














私は鞄の中をあさって食料を確かめた。



そろそろ少なくなってきたわ。
でも今日はワルターが来るって言っていたし、大丈夫ね。















ちゃん。」

「何ですか?」

「私は誰なんでしょうねぇ。」

「そうですね……、神様ですか?」

























…これで、思い出すわけはないわよね。




…グリューネが言うように、グリューネは何者なのかしら。



















「神様……って、世界を創ったりするのよねぇ。

…そうだったかもしれないわ〜」

「えっ?」


















…まさか、少し思い出したりしてくれたのかしら?

















「どうだったかしらねぇ、わからないわね〜。」
















……あら
やっぱり駄目だわ。


しょうがない、他から攻めてみようかな。























「輝ける青…のことを…」




















私が言いかけると、グリューネはハッとしたように私を見た。

それが今までのグリューネの顔ではなくて、びっくりしてしまう。













「グリューネ?」

「あら、ちゃんが言ったのよね。お姉さん、驚いたわぁ。てっきり彼女が言ったのだと…」

「彼女…?彼女とは誰ですか!?」












グリューネは少し間を置いて考えると、

















「彼女は、『世界を見守る者』よ。」
















とにっこりした。











世界を見守る者?そのような言葉は、今まで読んで来た文献には載っていなかったわ。

そんな存在がいるなんて…。














「その彼女は、今はもういないのですか?」

「ええと…残念な事に、今はもういないわね。遥か昔、輝ける青と言ったのが彼女だったから。ずっと昔のことよぉ。」














人類がこの世界に降り立った時の事なんだわ。…グリューネはそれを見て来ている。

ということは、彼女は滄我と同じ…いえ、それ以上の存在…。

神にも勝るとも劣らない存在……、もしかしたら神なのかもしれない。
















「でもね、ちゃん。今は今で彼女と同じ存在がいるの。

世界を見守る者は、いつの時代にもいる。

彼女達はその時その時に持つ力が違うの。

ほとんどが自分がそんな存在ということを知らないで一生を終えるわ。」


















……グリューネは、覚えていることをスラスラとそのまま言っているだけみたい。

思い出したとは違うのかしら。
















「じゃあ、グリューネ。今の世界を守る者は近くにいる?」

「そうねぇ、いるわ。だって…

……、あら?なんだったかしら?」

「……」
















グリューネはいつものようにお惚けグリューネに戻ると、うんうん唸り出した。
まるで、今まで言っていたことを忘れてしまったみたい。








…ここまでかしら。
でも、すごい収穫だった。自分で言うのも何だけど、私がその世界を見守る者だったとしてもおかしくないもの。
あの力…滄我の声が聞こえること。あともう一つ……

















「なんだったかしらねぇ。」

「いいのです。無理しないでくださいね。」

「そう?わかったわ。」













グリューネはまたにっこり笑ってくれた。


私は、ただのクルザンドの王女なだけではないみたいです、ヴァーツラフ兄様。

私が何故このような力を持ってしまったのか、それを知る鍵を握っているのは間違いなくグリューネです。

……この世界に生きているのだから、自分がどのような者か知らなくてはならない。





















「私は、頑張りますね。」

「ええ、頑張りましょう!」


















独り言に、グリューネは楽しそうに賛同してくれた。

そう私は、知らなくてはならない。

















****************


ジェイの作戦始動です(笑)

グリューネとの旅も飽きなくて面白そうですね。
そして、過去について話してくれたりもしました^^


2006/09/13










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