「あ〜お腹減った〜。」
「ノーマ!」
「腹が減っちゃ戦は出来ぬ〜。」
「ノーマ!」
「……クー。」
「!!…何だ?」
「何だじゃないよ〜。さっきからうるさい。」
「なっ…誰のせいだと!!」
「あたしのせい?」
あたしが見せた一瞬の気の緩み。
ちゃんしか見てないはずの落ち込んだ顔をクーが見た。その時からクーは私にしきりに声を掛けてきて、言っちゃえばありがた迷惑。
…だって、恥ずかしいじゃん。
「わかっているなら…!」
「クロエ。」
お〜っ、天の救いのちゃんがクーを呼び止めた。ちゃんはあたしに微笑むと、クーを引っ張っていく。
「…は〜あ、ありがたやありがたや…。」
ちゃんに拝むと、あたしは見えて来たダクトに走る。
そして乗ろうとしているモーすけを押しのけ、一番乗りした。
「なんじゃシャボン娘!」
「いいじゃん!レディファーストなの!」
「レディじゃと?シャボン娘がか?」
「あたしがレディじゃないっての!?」
「ないじゃろ。」
「……
人食い遺跡で食われてしまえ!」
「のわっ…何するんじゃ!」
「うっさい!」
あたしはダクト乗りかけたモーすけの体を蹴り飛ばした。
乗ろうとしてくると、また蹴り飛ばす。
「なんじゃ、ほんまに!!」
モーすけは怒って反対側の方から乗った。あたしはそれを見ると、無性に腹が立って舌打ちする。
あたし、何でこんなに怒ってんの?
わけわかんない。
いつもはこんな事思わないのに。変だ。
おかしい!
歯ぎしりして前を向く。皆に気付かれちゃ駄目だ。
いつもと同じに…同じじゃなきゃ。
そう思うのになかなか上手く出来ない。
いつもってどうしてたっけ?どう振る舞ってたっけ?
わかんないよ…。
「ノー…」
またクロエの声。もうやだ、あたしに構わないでよ!
肩に触るか触らないかの場所にあるクロエの手を叩こうと振り返った瞬間、後ろから誰かに抱きしめられた。
「!!」
ふんわりと香る甘い匂い。
ちゃんだ。
「ノーマ、お腹空いたわね。」
「へっ…」
ちゃんらしくない言葉に耳を疑う。それに、後ろから抱きしめておきながらその言い草って。
「ノーマは、何食べたい?」
「…っと、あたしは〜」
「ん?」
柔らかい笑みに吸い込まれそうになる。
途端、あたしは自分の心が落ち着いたのがわかった。
もう大丈夫だ〜。
「あたし、食べれれば何でもいいや!」
「あら、そう?」
「じゃあ私が作ってやる!」
「クーが作ったもん食べれんの?」
「なっ…何だと!」
「…な〜んちゃって。」
クーったらあんな心配そうにあたしの顔窺っちゃって。
ダメだダメだ、仲間にああいう顔させちゃうなんてさ。
あたしはもっと、盛り上げ役だったじゃん。
ちらっとちゃんを見る。相変わらず絶え間無い笑み。
あたし、見透かされちゃってる?
でも、その笑みに助けられてんだ。……ほんとに、安心する。
さっきとは打って変わって落ち着くと、ちゃんの存在に感謝の気持ちが溢れてきてニヤニヤ笑いが止まらなくなった。
その時、嫌なやつとぶつかった。
「うわっ!」
「!
……威勢よく出ていったにしては、空振りだったようじゃのう。」
ザマランのジジイだ。
…性懲りもなくあたしにいちゃもんつけに来たんだ。
むかつく。
「う、うるさいわね!今日はただの下調べなんだから!」
「一生下調べで終わらないようにせいぜい気をつけるんじゃな。」
「だ〜も〜、あったまくるな!本番はこれからなんだから!ジジイはあっちいけ!こっちくんな!」
ちゃんのお蔭で落ち着いた心がまたカッカと燃え上がる。
ジジイの所為で気分悪い!
「そうさせてもらおう、サルと会話出来ると思われてはかなわん。」
ジジイはこう言うとあたしの前から消えた。
ホント、胸くそ悪い。
あ〜あ、食欲減無くなっちゃったよ。
「ノーマさん、どうかしましたか?」
リッちゃんが心配そうに聞いてくれた。でもあたしはまともに答える気力がない。
全部ジジイのせいだ。
そうに決まってる。
「やっぱご飯パス。今日は疲れちゃったから寝る。
ちょ〜っとはしゃぎすぎちゃったかな。
あははっ、まいったね〜。…じゃ、またね〜。」
とりあえず誰の顔も見なかった。
見たら何にも言えなくなっちゃうもん。
あたし、今どんな顔してんだろ。
…あ〜あ、ちゃんの顔も見れなかった。
今見たらきっと、泣いちゃうかもしんない。
あたし、こんな弱かったのかな〜?
「エバーライト、どこにあんのよー。
人食い遺跡で間違いないと思ったのになぁ。」
呟いた言葉が頭の中で木霊して、虚しくなった。
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ノーマが自分の中で空回り中。
もがいてもがいて、人は成長していくのです。
2007/01/12
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