外も暗くなり部屋に明かりをつける。ぼうと淡く光るライトを見ながら、私は先程のことを思い起こした。
ノーマがしたいことなら手伝いたい。これは揺るぎない私の気持ち。
エバーライト、見つけたい。
クルザンドのためじゃないの?
…昔はそうだったかもしれない。
でも、今は違う。ノーマと一緒に見つけないと意味がない…。
…エバーライト……私は、スヴェンに何を教えられたの?
たくさんあるけれど、夢を持つことの大切さ。何かをやり遂げることの大切さ。
夢は、人の生きる希望だということ。
「ノーマは大丈夫かしら…。」
隣の部屋にいるノーマのことを想う。
彼女はお師匠様のお師匠様…ザマラン殿にエバーライト探索について打ちのめされていた。
「行ってみようかしら…。」
部屋にはワルターもいないし、私一人だった。
自分も部屋を空けているのだから、私が部屋を空けても文句は言わないでしょう。
私は簡単な身支度をすると、ドアに手を掛けた。その時、
ガチャリ
逆に向こうからドアが開く。
驚いて身をひっこめると、ドアは勢いよく音を立てて開き切った。
「!!」
「…」
目前で見上げると、彼は驚いた顔で私を見下ろす。
「どこへ行く。」
「あなたこそ、どこに行っていたの?」
「……。」
「言えないようなところなの?」
ワルターは無言で私を見つめている。
彼は今何をしているのか、何を考えているのか、私に言わない。
私のことを信頼してくれているのかもしれない。
でも、もっと言ってくれてもいいのではないかしら。
ワルターは自分が部屋に入ると、私が出られないようにドアに寄り掛かった。
「ワルター!」
「…どこに行くのだ?」
無理矢理にでも、私の行き先を聞き出そうと言うのね!強引なのだから!
「ノーマのところです!」
「……そうか。」
ワルターは行き先がわかると安心したのかドアから退いた。
私は少しムッとしてドアを開けると、
「今日は帰りませんから!」
と言って閉めた。
自分が何をやっているのかわかっているのかしら…
ドアを通せんぼ…
あんな子供地味た意地悪って……
私は俯き加減で顔を赤くする。
そして首に下げている指輪を掴むと強く握りしめた。
「さ、ノーマだわ。」
指輪から手を離し、急ぎ隣のドアの前に立つとノックをした。
でも返事は来ないとわかっていたから、すぐドアに手を掛けるとガチャリと開ける。
「ノーマ。」
「!ちゃん…」
彼女はバツの悪い顔をすると、膝に顔を埋める。私に見られないようにかしら。
「ノックに返事してないけど。」
「返ってこないってわかっていたから入ったの。」
「……そんなのわかんないじゃん。」
「ううん、返ってこないわ。」
「………
そ…かもね。」
私はノーマの横に座ると、彼女を横から抱きしめた。
「…髪の毛くすぐったいよ。」
「あら、ごめんなさいね。」
「…。」
ノーマは黙ってしまうと、自分の膝頭を見つめた。
私は抱きしめる手に力をこめると小さく囁く。
「弱音は?」
彼女はビクンと肩を震わせた。まるで怯えた子犬が主人の伺いをしているよう。
「誰にも言いませんよ?」
「…。」
ノーマは再びチラリと私を見上げると、溜め息をついた。
「やっぱりちゃんには敵わない。」
「当たり前ですよ。」
「あはは。
…あたしが人食い遺跡で焦ってたのわかってたでしょ?」
苦笑する彼女を見て私は出来るだけ優しく微笑む。
彼女に不安を与えてはいけない。今は心が不安定でしょうから。
「そうね。ノーマらしくなかったわ。」
「やっぱね。
いつものあたしってどんな感じ?」
「そうねぇ。
もっとゆったりペースで皆を巻き込んでいくの。」
「あたしは台風か!」
「ふふ、そんな感じよ。」
「も〜っ。」
ノーマは笑うと、急に神妙な顔付きになってポツリと言った。
「あたし、エバーライト見つけるよ。」
「ええ。」
「それだけっ。
さ、明日も探しにいくからね!も〜寝るよ!」
「わかりました!
さすが、スヴェンの弟子ですわ!」
「へ?」
「諦めないところがね。」
「…あったりまえじゃん。」
ノーマは胸をどんと打った。私は安心してノーマの体を離す。
「今日はノーマと一緒に寝ていい?」
「え?何で?ワルちんとケンカでもしたわけ?」
「ま、そんなところです。」
「ええっ!?」
私はノーマと同じベッドに入ると、再び彼女をぎゅっと抱きしめた。
「ちゃん!隣にベッドあるでしょ!」
「ノーマと同じがいいのです!」
「うわっ…頑固ちゃんが出たよー。」
「まあ、人をお化けみたいに…。」
「あは…」
「ふふ…」
私達は布団の中で互いの顔を見て笑い合う。
何が可笑しかったのかわからなくなっちゃう程笑って、いつの間にか眠りについた。
「明日も頑張りましょうね、ノーマ……。」
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不安ノーマ全開。レジェ内ではそこまでじゃないのに(笑)
にしてもワルターは何してるんだか…。
2007/01/11
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