「おはよう、ノーマ。」
















私が起きると、ノーマはベッドの上でぼーっとしている所だった。
布団の上に手を投げ出したまま、壁一点だけを見つめている。















「おはよう、ノーマ。」














もう一度言うと、やっと気付いたのか小さな声で「おはよ〜」と返してきた。
変な雰囲気を醸し出していたので心配だったけれど、大丈夫みたいね。















「さて、朝食の用意するわ。」














ベッドからおりて朝食の用意を仕出すと、今私の存在に気付いたかの様に



「あれ、ちゃんが何でいるの?」



と言った。







私は少し呆れて、持っていたパンを落としそうになってしまう。
そのままノーマの方をちらりと睨むと、


「ワルターとケンカをしたからあなたにベッド借りたのよ。」


と言って落ちない様にパンを持ち直し、お皿に置いた。
















「そ〜だったっけ〜?

…ま〜い〜や。今日は氷のモニュメントね。」














ノーマはそう言うと、ベッドから降り立ちパンを掴んで喰わえた。
















「氷のモニュメントね、わかったわ。」














私は何故そこなのか聞かずに受け入れると、パンをちぎって口に放り込んだ。
ノーマは相変わらず、パンを喰わえながらぼーっとしている。




今度は使い込んだ古びたノートを見つめて…






















































「今日は氷のモニュメントか。何でそこなのか教えてくれ。」

「何か理由に基づいているんだろう?」
















ウィルの家の庭に集まった皆は、開口一番に


「今日は氷のモニュメントにしゅっぱ〜つ!」


と叫んだノーマを訝し気に見た。



セネルとクロエがノーマに質問すると、彼女は黙ってしまう。

















「答えられないんですか?危険が伴うんですからね。モーゼスさんみたいに野生のカンじゃ済まされないんですよ。」

「ジェー坊、それは皮肉かの?」

「……」















ジェイもそう言うと、ノーマはうっとした顔になり、一歩後ずさった。

空に浮かぶ雲がゆっくりと流れウィルの家から灯台の上まで移動した時、セネルが再び口を開く。


















「エバーライトに関してだが、お前がよく言う師匠って言葉…スヴェンっていう人じゃないのか?それに、ザマランさんとも関係あるんじゃないか?」

「…セネセネ何で…」

















セネルの言葉にノーマは信じられないという表情をした。セネルはそれに動じることなくさらりと答える。
















「ステラの墓参りの時にお前を何回か見た。」














ノーマもセネルの態度を見て安心したのか、小さくため息をつくと、



「そっか〜、そこまで知ってちゃしょうがないね。ちょっと昔話でもするかな。」



と言った。














ノーマは目線を上にすると、一度ゆっくり瞼を閉じた。
そして優しく笑いながら目を開く。



















「師匠はさ、世界一のバカだった。」

「……師匠が…バカ……?」



















彼女は仲の悪い親への反発、家出、スヴェンとの出会い、上級学校への入学について話してくれた。
その中で何度も彼のことをバカだと語っていたけれども、それがノーマの愛だということもわかった。


















「ま、半分以上今作った話だけど、これでいい?」
















ノーマは最後にこう締め括ると、庭を出て道におりた。私はそんな彼女の後ろ姿を見守ると、何だか嬉しくなった。


彼女はそう言いながらも、本当の事を仲間に話しているのだもの。




















「作り話か!涙までこらえてしもうた!」

















モーゼスの怒る声が聞こえる。その声を分けセネルはノーマの肩に手を掛ける。

















「エバーライトは氷のモニュメントにあるんだな?」

「あったり前でしょ!」

「わかった、行こう。」



















セネルは頷くと、灯台に向かって歩き出す。
















「クーリッジ…

、あの話は本当に作り話だったと思うか?」

「作り話だと思うの?」

「…いや」

「ノーマにとって、スヴェンって人がどんなに大切な人かわかったわけだし、いいんじゃないか?」

















セネルの言葉に、クロエは再びノーマの背中を見た。




















「話している時のノーマさんは優しい顔していました。」



















横でシャーリィが呟く。彼女もまたクロエと同じに、迷っている表情をした。
私は二人に笑いかけると、


「そうね。」


とにっこり笑った。
















































いつもの様にサクサクと魔物を倒しながら、私達は氷のモニュメントに到着した。
ここは相変わらず寒くて、思わず凍えて氷像になりそうになる。



















さん、大丈夫ですか?」
















ジェイが心配して声を掛けてくれた。
私は歯をガチガチと鳴らしながら必死に頷く。


















「全然説得力がないですよ。」

「ごめんなさい…」

「そこは謝るところではないですよ。」

「ええ、でも大丈夫よ。実は今日はマントを持ってきたの。」

「へぇ、マントか。じゃあも安心だな。」
















後ろからセネルが声を掛けてきた。
私はにっこり頷くと、ガサリとバックからマントを出した。


















、それって…」
















セネルとジェイの目が細くなる。
彼らは私が出したマントを、嫌悪感を浮かべた目で見つめた



















「ワルターさんのマントですね!!」

















すると、横からシャーリィが嬉しそうに言った。シャーリィは私の手をぎゅっと握ると、賞賛を称えた目で見上げてきた。


















「素晴らしいです、さん!!」

「そうでしょう!これで前より寒い思いをしなくて済むわ。」

「うんうん♪」















シャーリィの言葉に嬉しくなると、私は空色のマントを羽織った。
薄い生地だというのに、ワルターのマントは私を温めてくれる。
私はマントが外れないように持ってきた金具で留めると、再びセネルとジェイを見た。


















「似合う?」

『似合(いません)わない!!!』
















二人は仲良く声を合わせると、前に走っていってしまった。

…変な二人…。



















「エバーライトの匂いがぷんぷんするわね!ここで絶対、完璧に間違いないわ!」



















前からノーマの声が聞こえ、皆が足を止めた。
それに倣って私も立ち止まると、ノーマを見つめた。


















「人食い遺跡の失敗を踏まえて慎重に進もう。

…ノーマ、考え無しに先に進むなよ。」
















ノーマに痛い戒めが入る。彼女を心配したウィルが厳し目に言った。


















「なにそれ!まるであたしが、前に何かしたみたいじゃん!」

「しただろ」

「そだっけ?」

「そうだ。」















セネルとクロエの鋭いツッコミに気にする事も無く、ノーマは頭を掻いて「ま、いっか。」と言った。



『よくない!』



皆は呆れた声で反論したけれど、ノーマには通じなかった。


















「よぉーし、エバーライト見つけるぞぉ〜!」

「おぉ〜!」




















ノーマの掛け声に答えたのはグリューネ一人で、他の皆は答えることは無かった。
皆の冷たい視線もなんのその、ノーマはその場を後にしてモニュメントの中に入っていった。



















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久々の本編ですが、ノーマの不安より一変、日常的なレジェのツッコミです(笑)
ほしのきはスヴェンのことを話すノーマの声が少し震えているとこが皆に真実を物語っているようでとても好きです^^
ノーマも、16歳の女の子だなぁって思います。

2007/04/06











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