ああ、ここに辿り着いて良かったと思った。
少しでも遅れていたら、もうノーマに会うことはなかったかもしれないから…。
私達はノーマを捜して、街の中を駆けずり回った。
私は一人で捜していたのだけれど、途中である確信を覚えて墓場に向かう。
きっと、ノーマはスヴェンのお墓にいると思って…。
「何をしているの!?」
確かにノーマはスヴェンのお墓にいて、そこで倒れていた。
でも、思いがけない事が起こっていたの…。
女性がいたのよ、あの…闇のような女性が。
「世界を見守る者か…」
女性はクッと笑うと、ノーマの胸から現れた玉を掴もうとした。
危ないと感じた私は、本能的に彼女に掴みかかる。
「……」
女性は怯むと玉を諦めたのかノーマから離れた。
それを機にノーマの体を抱き寄せると、玉を胸の中に戻す。
もちろん、その玉をどうやって戻すのかはわからなかったわ。
でも、必死だったの。
手でグイグイ押してみたのよ。
「邪魔をする気か…」
「私は、最初から貴女を邪魔する気よ。」
女性がギロと睨んだ気がした。
「…来たるべき選択の日まで、そなたはそなたの役目を果たしていればよいものの…我を阻止しようとするとは…」
「来るべき選択…?」
女性が何を言っているのかわからなかった。
でも、きっと『世界を見守る者』の仕事の事を言っているのでしょう。
彼女はその身に纏う闇を濃くした。
すると、冷えた風が吹く。それに身を震わせると、キッと女性を睨み上げる。
「一体…なんの事だというの?」
周囲の闇が濃くなる気がした。茂る木々の葉が、怪しく揺れる。
息を飲むと、ゴクリと大きな音が聞こえて驚く。
そのぐらいここはシンとしていた。
「年月が経った今、選択の意味も忘れてたしまったか。
まぁ、それも悪くはないだろう。『世界を見守る者』にとってはな……」
「……何を言っているの…?」
私には何の事を言っているかわからなくて…。
ただただ女性の言葉に恐怖を覚えて、体の震えが止まらなかった。
まるで、生死の選択を迫られたかのよう…
体の震えを必死に収めつつ、私は気を失っているノーマをかき抱く。
でも、視線は女性から離すことが出来なかった。
しかし、そのうち彼女はクッと笑うと、闇の靄を残して去っていった。
「!!」
完全に闇が消え去った後、後ろからセネルの声が聞こえた。
そして、仲間達の足音も…。
その時、
「う〜ん…」
「ノーマ!!」
ノーマも目を覚ましたので、私たちは彼女を囲むように見下ろした。
彼女は不思議そうにすると、「あれ、なんでみんないるわけ?」と呟く。
そしてその呟きの後、毒物の影響からか息を荒げた。
「クロエ、薬を…」
「ああ、わかっている。」
クロエが薬を含ませると、ノーマの症状は落ち着く。
呼吸も自然になり、気分も良くなったようだった。
「とりえず、戻るぞ。」
「ええ。」
クロエとシャーリィがノーマを抱え、ゆっくりと歩を進める。
ノーマは不甲斐ない自分に悔しそうに口を歪めると、下を向いて静かに歩いていた。
それがとても印象的で……私は何とも言えない気持ちに苛まれた。
しばらく歩くと、急にノーマがクロエ達から離れて一人で歩き出す。それをクロエが小走りに助けに向かった。
「もう、いいよ。」
「何がいいんだ、そんなフラフラしてるくせに。」
「もう、エバーライトなんていいや。…エバーライトなんて、どうでもいいや。」
ノーマは私たちが思ってもない事をさらりと言った。
ノーマはそんな弱音なんて言わない。
私たちの思いが彼女自身によって掻き消された。
「ノーマ、お前…」
「もう、やめにするの。」
何を?
エバーライトを探すことを?
スヴェンの夢を?
諦めるの…?
「何で?」という気持ちに支配される。
ノーマはあんなに頑張ってきたっていうのに、それを途中で放棄するというの?
「本気で言ってるのか?」
「今までずっと、頑張ってきたじゃないですか。」
「頑張っちゃいないって。」
「そんなのウソです!」
シャーリィの声にノーマの体がビクンと震え、彼女の目は、恐る恐る皆の顔を窺った。
「部屋にあったノート、見させてもらった。」
「あははっ、そっか、そっか、ばれちゃったか。」
彼女はにへらと笑った後に、ふと真剣な顔になる。
「自分でもおかしいってくらい勉強したからね…」
彼女はそのまま、昔を思い出すかのように視線を上に向けた。
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短い…!!
シュバルツが悪役になっている…!!!
2007/04/26
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