俺達はそわそわしながらジェイを待った。











何故俺がこんなにそわそわしてるかは…、わからん…が、が心配なんだ。

は俺達の、大切な仲間だからな。















「ワルちん動くかな〜?」

「どうだかわからんぞ。」

「ウィルっちもそわそわしてんね。

お、参戦する気になったの?」

「参戦?」

「うん。ちゃん争奪戦。」

「馬鹿を言うな。」












あんな争いに俺が参戦してどうするというのだ。俺にはハリエットとアメリアが…













「ワルターさんが動きました!!」












その時、ドアを破るようにジェイが入ってくる。









心が躍る気分だった。
が見つかる!!














「ウィルっちも他の男子とおんなじ顔してるよ。」

「本当です。」












ノーマだけではなく、シャーリィにまで言われてしまった。

きっと、本当にそんな顔をしているのだろう。














「馬鹿言ってないで、行くぞ。」

「おー!」
「はーい。」

「ジェイ、ワルターは飛んでるんだろう?見失わないか?」

「抜かりありません。」












ジェイもさっきと違い、生き生きとしている。









他の奴らの顔を見てもそうだ。

は大切な仲間だ。だから皆心配し、必死になって捜す。









自身は、それをわかっているのだろうか。








……ちゃんとわかっていたら、こんな仲間を心配させるようなことはしないな。

を支えているのは、自分自身の強さとワルターなのだろう。









ワルターか……。

ジェイの癪に障る、がわかる気がするな。

















「ウィの字、そがあ顔色変えて平気なんか?」

「!!」













モーゼスまでわかるくらいなのか!

俺は一体、どうしたというのだろうか。














「大丈夫だ。」

「ほおか。」















……は、大切な仲間だろう?
それ以上でもそれ以下でもない。










そうだよな?俺よ。


























































「あっいた!!」

「シッ!!静かにしてくださいノーマさん!!」












夜空に飛ぶ黒い翼を持つワルター。
そのままゆっくり降下すると、草の茂みに入っていく。













「行きましょう。」

「ああ。」











俺達は音を立てないように進むと、ワルターを追った。












「あ、なんかあそこ開けてますよ!」











シャーリィが指差す方を見ると、そこにはワルターと、そしてグリューネさんがいた。













「グリューネさん…?」

「なんでグー姉さん?」

「ほんまじゃ。なんでと姉さんが一緒にいるんじゃ?」

「ワルターさんもですがね。」











ジェイは少し苛々が戻ったようだった。

…三人で昼ご飯か。












「ワの字が笑っちょる。」

「ほんとだーっ。あたし達が見るのは、最初で最後の笑いかもしんないね。」

「グリューネさんもいるのにな。」

「グリューネさんは空気ぐらいの勢いなのかもしれないよ?」













シャーリィの言う通りだ。
ワルターはに、日頃見せることのない微笑みを向けている。






だけに見せるものなのだろう。













「あっ…!!」

「どうしたシャーリィ!!」

「魔物が向かって来てるよ!」











シャーリィが青ざめて見つめている方を向くと、達に魔物が向かって来ていた。













「あんなの雑魚ですよ。」

「だが…!」

「ワルターさんもグリューネさんもいますし、さんも強いから大丈夫でしょう。」










ジェイの言葉に、俺達は見守ることに決めた。








魔物の存在にとワルターが同時に気付く。
ワルターが拳を構えたかと思うと、技を撃つ。











そして怯んだところをが…















ちゃん、剣で戦ってるよ!」

「本当だ。

俺達、の剣技見るの二回目だな。

一回目はあの時、がヴァーツラフを倒した時だ。」

「はい。

さんの剣技は踊っているみたいですね。」

「クーとは違うね。」

「…そうだな。」












はワルターの技で弱った魔物を素早い動きで切り付けて行く。

あのような剣技は、大陸でも上位を争うものだろう。









…やはり、実戦をくぐり抜けて来た者は違うのかもしれん。












「あ、倒した!」

「よかった〜。」











魔物が倒されたことで、見守っていた俺達はホッと胸を撫で下ろした。













さんて、すごいですね!」

「リッちゃん喜びすぎだよ。でも、ちゃんが凄いってのは同感。

あんな剣技見たことないもん。それに、ちゃんの弓技だって百発百中だし。」

「ああ、そうだな……!!」











ホッとしたのもつかの間、倒れたはずの魔物がムクリと起き出した。
その周りには、先日セネルから報告された黒い霧。















「あれは!!」

「お兄ちゃん!!」













魔物は後ろを向いていたに一太刀浴びせる。













「くうっ…。」

、下がれ!!!」












怪我をしたを下がらせると、ワルターは技を放ちながら接近戦に持ち込んだ。

しかし殴っても技で切り裂いても魔物は倒れない。











は簡単な止血を済ませると、グリューネさんに向かって叫んだ。













「グリューネ、爪術を!

……グリューネ!?」











の叫びに異変があり、俺達はグリューネさんを見た。

彼女は頭を抱えて苦しそうに座り込んでいる。
は彼女の爪術を諦めると、再び剣を構えて魔物に向かっていった。


























「……はあぁっ!!秋沙雨!!」
























ワルターが後ろに飛びのくと、は爪術を放つ。
魔物は彼らの連携プレーに圧され、後ろに倒れた。



そこを二人は攻める。
























「昇舞!!」

「サンダーブレード!!」





















二人の技が決まり、魔物は再び動かなくなった。












戦闘の終わった後、整わない息をしながら喋る二人の声。
















、大丈夫か?」

「ええ。ワルター、とどめをさすわね。」

「ああ。」















は持っていた剣を魔物の首に刺した。

すると、魔物から黒い霧が空に消えていく。

















「もう、大丈夫そうね。」

「ああ。あの霧は一体…」




彼らはそう言うと、頭を抱えているグリューネさんのところに戻った。

































「な…なんだかすごかったな。」

「うん。…すごかったね。」

怪我したのぅ、大丈夫じゃろうか。」











の腕から滴り落ちる赤い血。

俺は思わず見ていられなくなって、















「っ……キュア!!」














回復爪術を唱えてしまった。














「?あら、傷が治った。」













が不思議そうにさっき出来たはずの傷(もうないのだが)を見て言う。
ワルターもそれを覗いている。














「ウィルさん!!何やっているんですか、バレて…」











ジェイの怒鳴りに気付いたのか、がこっちを見た。














「あら、みんな…!

ふふ、ワルター、つけられたわね。」




ワルターは複雑な顔をすると、「すまん。」と呟いた。




























               *































ちゃん、心配したんだからね!!」

「ごめんね、ノーマ。どうしてもグリューネと二人だけで過ごしたくて。」














飛び付くノーマの頭を撫でながら、は言った。













ちゃんと二人で毎日ピクニックして、楽しかったわよぉ〜」











グリューネさんは相変わらずで、俺達は苦笑する。













「無事でなによりだ。」

「ありがとうございます、ウィル。」

「でもさ、何であたし達になんにも言わなかったわけ?

あたし達仲間なのに!」













は悲しそうな顔になると、深々と頭を下げて「ごめんなさい。」と謝った。
そしてその続きの言葉はない。







言うつもりがないのか、言いたくないのか。















「…だって、話したくないこともあるよな。

…でも、いつかは話してくれるんだろう?」

「もちろんよ、セネル。自分なりの答えが出たら、必ず話すわ。」

「わかった。

皆それでいいだろう?」














セネル以外は納得いかないという顔をしていたが、渋々頷いた。















「もう、宿屋に帰るだろ?」

「ええ。」

「おい、いいのか?」













頷くをワルターが問う。
やはりワルターは事情を知っているのだろう。















「いいの。」

「そうか。」















はにっこり笑うと立ち上がる。














「さあ皆、ウェルテスに帰りましょう!」

『おーっ!!』












かくして俺達はを連れて街に帰ることになった。

道中、が俺の横に来て手を握った。













、どうした?」

「…回復爪術、ウィルですよね?

ありがとうございます。」

「いや…」


















の手を握ると、剣胼胝に気付く。














、なんで剣を使っていた?お前は弓専門だろう?」

「ああ…」













彼女は頬に掛かっている髪を耳にかけると、くすぐったそうに笑った。
















「グリューネは後衛ですからね。私が前衛を務めないとやられてしまうでしょう?」








…考えてみれば確かに。

















「だから、です。

また皆と旅するようになったら、弓に戻りますよ。

剣は…感触が残るから…」













そう言うと、悲しそうに笑う。












































彼女は思い出すのだろう。




人を殺した時の虚しさを、苦しみを。















そう思うと俺は、強く手を握り締めていた。



















「痛いのは飛んでいけ…だ。」

「!……ありがとうございます、ウィル。」




























さっきの悲しそうなものとは打って変わるような微笑みを受けながら、その手を優しく握り直した。





























****************

ウィル参戦です(笑)
ワルターは意図も簡単につけられてしまいましたねー。
ジェイはやっぱり不可視のジェイです♪

2006/09/15









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