「嫌、離してください!」












大きな声を出しても、この男性は手を離してくれもしないし、周りの人も助けてくれない。
私は唇を噛み締めて男性を睨んだ。













「これは気の強いお嬢さんだ。ますます興味が沸いてきますよ。」

「……」











男性は私の腕を引っ張って、どこかに連れていこうとしている。
逃げることも出来ないので、私はそれに着いていくしかなかった。










その時、














!!」













遠くからワルターが私を呼ぶ声が聞こえる。
私は夢中で腕をぶんぶん振りながらもがいた。












「ワルター!!私はここにいるわ!」










そして叫ぶ。どうか早く来て。

人込みの中からワルターの金色の髪が見える。
彼は私を見つけると、殺気を放ちながら走って来た。













「貴様、何者だ!?」












ワルターは男性を睨み付け、戦闘体制に入る。











「…邪魔が入りましたね。また出直しましょう。」










男性は手の力を緩めたかと思うと、そう呟いて消えてしまった。










「まやかし…?」









ううん違う。
だって掴まれた腕の服を捲くると、こんなに紫色になってる。














「なんだ今の男は?」

「わからないわ…。」

「…あの男、実戦慣れしている殺気を放っていた。」

「ええ。

…怖かった。」












そう言うと、ワルターが訝しげな顔をする。まるで私が怖いなんて言葉を言ったことないみたい。
私が膨れっ面を向けると、彼はムッと私を見返した。














「…、勝手にはぐれるな。」

「ごめんなさい。」









ワルターは強い口調で言った。
私はその言葉に、ビクと肩を震わせてしまう。すると、ワルターは少し眉を寄せて申し訳なさそうに言った。












「いや、俺も見ていなくてすまない。」










私が彼の謝罪をくすりと笑うと、怒ったようにため息をついた。













「行くぞ。剣を持った女も見つかった。」

「剣を持った女?クロエのことね。」










ワルターは私の腕を掴むと、セネル達の場所まで引っ張って行ってくれる。








さっきの男性は一体何者だったのだろう。

私に興味があるって、何を知っているというの…?










あの男性の服装は、クルザンドでもレクサリアでもガドリアでもないどこか違う国のもの。
一体何の目的で遺跡船に来たのかしら。





































さん!!」













考え込みながら連れられていると、前方からシャーリィの声が聞こえた。
ハッと顔を上げると、シャーリィの隣には懐かしいクロエの顔。













「クロエ!!」

、元気だったか?」












クロエと抱き合うと、声を掛ける。
二ヶ月しか経っていないのに、長い間会わなかったみたい。














「無事な船旅は出来た?」












そう聞くと、彼女はくすりと笑う。
何かと思って目を丸くすると、彼女は口を開けて笑った。












「はは…ここに着く前にクラーケンに遭って大変だったが、まあ大事には至らなかったよ。」

「クラーケン!?」

「ああ。だが、爪術を使う青年に助けられた。炎を放って撃退してくれたんだ。」

「まあ!」










クロエは思い出すように「紳士的でもあった。」とも言っていた。







すごい人が乗っていたのね。その人がいなかったら大変だったでしょうね。
私が「良かったわね。」と言うと、クロエは照れたように笑った。






あら?かっこよかったのかしらその人。














「さて、ウェルテスに帰るか、クロエ。」

「ああ。」












私達はこの人込みを抜け出そうと、港の入口へと歩き出した。

横から見るクロエの顔がなんとも嬉しそうで、私も嬉しくなってしまう。











きっと、セネルに会えて嬉しいのね。




















































やっと人込みを抜けて入口に着くと、私達は振り返って港を見た。













「すごい人だな。」

「そうだね。たくさんの人が遺跡船に来るようになったね。」

「ああ。」










何だかしみじみな感じになってしまってる。
せっかくクロエが帰ってきた日だというのに、セネルとシャーリィったら。






私はクロエの手を掴んでにっこりと笑った。
















?」

「遺跡船におかえりなさい、クロエ。」

「!!ああ!」













クロエが嬉しそうに笑うのを見て、セネルとシャーリィもおかえりと言った。































「……ッ!!」



そんな私達が港を出る直前、叫び声が聞こえて振り返る。
だけど何かわからなくてまた前を向いた。












「あんまり遅れをとるな。」











ワルターに怒られる。
さっきの男性のせいでワルターの気が立っているみたい。












「うん…」











私は軽く返事をして歩き出した。























!!!」






















今度はハッキリ聞こえた。私の名前を呼ぶ声。



それにこの声は……









私はもう一度振り返って港を見た。
遠くから走ってくる知ってる顔!!














あれは!!












私も同じ様に彼に向かって走って行った。














!?……チッ」














ワルターが怒るのもなんのその。
私は一目散に駆ける。












彼は思い切って私の胸に飛び込んで来た。



…なんて言っても、今は彼の方が遥かに背が高いけれど。


















!!!」

「ヴァイシス!どうしてあなたがここにいるの?」















私は彼の背中をぽんぽん叩くと、ベリッと剥がして聞いた。
ヴァイシスは微かに笑うと、私を見下ろす。













に会いに来たんだ。」

「私に…会いに?」












私、兄様を殺してしまった罪で追われていないの?
追われているのなら、ヴァイシスが私に会いに来るなんておかしいもの。















に会いに来たんだよ。驚いた?」

「ええ。驚くに決まってるじゃない。」

「ホント?やったね☆」













きゃあぎゃあ叫ぶ私達のところに、仲間達は走って来た。















知り合いいか?」

「あ、ええ。勝手に走って来てごめんなさい。」













私がペコリと謝ると、ヴァイシスは不思議そうに私の仲間を見回した。















「…あれ?クロエ殿。」














彼は私を追いかけてきた仲間の中にクロエの姿を見つけて声を掛けた。
クロエはびっくりして彼を見る。
















「貴公はクラーケンの時の!?の知り合いなのか?」

「クロエ殿こそ、の知り合いだったんですか!!」














あらまあ。クロエが言っていた青年って、ヴァイシスのことだったのね。
それならわかるわ。ヴァイシスはブレス系も少し使えるもの。













、この青年は誰なんだ?」












クロエが言った。その後ろではシャーリィがうんうんと頷いている。














「彼はヴァイシスといって、私の甥なの。」

『甥!?』

「甥っていうのは恥ずかしいからやめてほしいな。の恋人なんです。」














…また〜ヴァイシスったら。














『恋人!?』













恋人なんて誇らしげに言うことでもないだろうに。
それに、みんなはなんでそんなに驚くのかしら。














「あまり真に受けないで。ヴァイシスったら、ヴェティ兄様に似て来たわね。」

「当たり前だよ。俺が1番尊敬する人だからね。それにしても、仲間がいるんだね。それも男まで…。」












ヴァイシスはセネルとワルターをギロと睨んだ。













この子はもう…。













「はいはい。さあ、街に行きますよ。」












きりがなさそうなので街へと促す。
ヴァイシスはにっこり笑って「わかった。」と言った。

























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オリキャラ登場〜。
彼はクルザンド記に出てくるキャラです^^

大人びて背も高くなりましたが(177センチ←家系的にデカイので)
まだ15歳です(笑)

ロンロンが逃げた!!!


2006/09/18









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