閑散とした山脈。
一般の人はここに来る事はない。来るとしたらトレジャーハンターか学者達。
でも学者と言っても自ら戦える人は少ないだろうから、用心棒を雇ったり腕の良いトレジャーハンターと来るのかもしれない。
渇いた風が吹き、私の髪を揺らす。
乾燥した山肌は女性にとってお肌の敵かもしれないわね…と、執拗に自分の頬をぺたぺたと触るシャーリィを見て思う。
じゃりじゃりと足元を言わせながら私達は霧の山脈に入る。一番最初は簡素な橋が迎えてくれる。
「どうじゃ、ギート。」
「はっはっ……
…くぅん…」
気配を聞かれたギートは鼻を利かせたけれど、何の臭いも嗅ぎ取れなかったみたい。
困った顔でモーゼスを見上げる。
「やっぱり奥までいかんと何もわからんか…」
「奥って、そんなに奥まであるの?」
私が聞くと、モーゼスはうーんと唸る。
「そうじゃなぁ…の髪くらいと違うか?」
「私の髪?」
「おう!」
……私の髪……?
それってどういう意味でしょう?
「バカ言ってないで行きますよ!」
ジェイがゴンとモーゼスを蹴る。
モーゼスはキッと睨んでジェイを追いかけ始めた。
「ジェー坊!ワレわぁ〜〜〜!!!」
「本当の事を言ったまでです!」
ジェイの逃げ足は速くモーゼスが追いつくことはないけれど、楽しそうに追いかけっこをしている。
それをぽーっと見ていると、ノーマが横に来て言った。
「ちゃんの髪って、普通の人より長いでしょ?モーすけはそういう意味でいったんじゃないかな〜。ジェージェーもわかってるくせに〜。」
「突っかからずにはいられないんだろうな。」
セネルが呆れ顔で言う。
隣ではシャーリィとクロエが笑っていた。
「仲がいい証拠ね。…あ。」
追いかけっこをするモーゼスとジェイにギートが加わる。
するとジェイは降参したのか私達の方に向かってきた。
「え、ジェイ……?」
ジェイはそのままセネルに触ると、
「セネルさんタッチ。」
と言ってセネルをかわした。
勢い良く走ってきたギートとモーゼス。ギートの方は寸前で立ち止まったけれど、モーゼスの方はセネルにダイブした。
「のわっ!!!」
「げっ…」
二人は倒れこむと砂埃を上げる。
「あららら…」
「お兄ちゃん大丈夫?」
セネルは砂まみれな顔で起き上がると、モーゼスを蹴飛ばした。
「大丈夫じゃない。」
むくれた表情でそう言って立ち上がる。
チャバが私の横に来てモーゼスを心配そうに覗き込むけれど、何故か楽しそうな雰囲気を出している。
「チャバ?」
「いつもこんな感じなの?」
「ええ、たぶんそうよ。」
「へぇ〜。」
彼は嬉しそうに笑うと、モーゼスに手を貸した。
しばらくその場で一悶着(セネルとモーゼスとジェイの言い合い)あって、他の皆が早く終わってと思いながら待っていると、一匹のガルフが橋を渡ってきて私達と対峙する。
「あら、ガルフちゃんが出てきたわよぉ。」
「こいつがギーとんのニセモノなの?」
「ギート!」
一悶着している三人の中からモーゼスの声が上がる。
そして彼の横からギートが飛び出すと、ガルフをいとも簡単にやっつけてしまった。
「ワイとギートにかかればちょろいもんじゃ。」
「貧弱なガルフでしたね。今のが襲撃の犯人だとは思えません。」
「オイラ達も、あの程度のザコには、後れをとったりはしませんからね。」
チャバは瞬時に構えていたナイフを戻しながら言う。
こんなに瞬発力があるチャバ達が、のこのこ出てきたガルフにやられるわけがない。
「他にもいるかもしれない。調査をしよう。」
やっとウィルが仕切って、私達は山脈の中に足を踏み入れた。
「あれ?ワルちんいなくない?」
少しずつ調査しながら進む中、ノーマがぽつりと言った。
「ワルターさん、確かにいませんね。」
シャーリィも気付く。他の皆もその辺りを見回し始めた。
ワルターってそんなに存在感がないのかしら?
いなくなったのも気付かれないなんて…。
「ワルターなら街を出る前に用事があるとか言っていなくなったわ。」
「あ、絶対ここにくんのめんどくさくなったんだ。」
「絶対そうだろうな。」
皆は口々に文句を言うと、私の方を向く。
まるで「お前がどうにかしろ」って言われているみたい…。
「少し休憩するか。」
「ワイは先を見てくる。行くぞギート!」
ウィルが休憩を提案したにもかかわらず、モーゼスは様子を見に行ってしまった。
内心、そわそわしているのでしょう。
「私も行って来るわ。」
「頼んだぞ、。」
私は頷くと、モーゼスとギートを追って走った。
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ワルター君は自分勝手です(笑
2007/11/05
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