「長すぎるんじゃ〜!!」
モーゼスが遠くまで続く長い道程を見て叫ぶ。
「うるさいぞ、モーゼス!」
ウィルが嗜めるがモーゼスの不満は止まらない。
「なんでこんなに長いんじゃぁ…」
「でも、確かに長い…」
モーゼスの不満を聞き流していたクロエも呟く。
「クーまで言わないでよ!!本当に長く思えてくるじゃん!」
ノーマが弱音を吐く。
「…本当に長いですね。」が呟く。
「まで…」
ウィルが落ち込んだ。
は先の道程を見て溜め息を付いた。周囲を見ると、皆へとへとに疲れている。
少しだけ進むと、「休むか。」とウィルが提案した。
「も〜疲れた!」
ノーマがそれを聞いて腰をおろす。
他の皆もそれに倣ってゆっくり腰をおろした。
だけはまだ続く道程を見て、
「私は少し先を見てきますね。」
と言うと走って行った。
「ちゃん元気だなー。」
その後ろ姿を見てノーマが言う。
「俺も、見て来る。」
セネルが立ち上がると、の後を追って行った。
「クーリッジ!私も行こう。」
クロエも立ち上がってその後を追う。
「ワレら、元気じゃの〜」
彼らの後ろ姿を見て、モーゼスが呟いた。
「どこまで続くのかしら…」
は小走りで進んで行く。
「あ、」
部屋の出口が見えた。次の部屋に繋がっている。
その部屋を見てから皆の所に戻ろう、と決めると、は中を覗いた。
「…ベッド?」
中には豪勢で大きなベッドがある。
不思議に思い、警戒して近付くのを止める。
「ウィルに報告しましょう。」
は何もせずにその場から立ち去った。
「なぜ、ベッドが…?」
考え込んでいると、前方に魔物が現れた。
「っ…!?」
は急いで弓を構える。
キリキリ…
弦を引くと弓がしなる。そして、狙いをつけ、放つ。
ビュンッ
弓は勢い良く飛び出し、魔物の頭に刺さる。
魔物は少し呻くと、何もなかったかのようにの方に近付いて来る。
「くっ…」
は後ずさった。
「あ…」
少しずつ下がると、もう後がない事に気付く。
道はなく、あるのは空間のみ。
はまた弓を構えると、今度はもっと力を込めて引く。
の爪が光った。
矢尻に、炎の様に赤い光りが灯っていく。
シュウゥ…
その光はやがて矢尻の中に消える。すると矢尻が赤く光った。
「行きます!」
はそう叫ぶと、矢を放った。
その瞬間、の視界に魔物の後ろで拳を構えるセネルが入った。
― セ、セネル!?
は矢を放つと同時に、セネルの方に走り出す。
魔物に矢が刺さる。
何が起ったかわからないのか、魔物は自分に刺さった矢を見つめている。
「伏せて!―」
バアァァァァァン!!!
がセネルに飛び掛かったすぐ後に魔物は爆発し、かけらが飛び散る。
はセネルを庇いながら爆風に飛ばされた。
「うっ…」
「クーリッジ!!」
後からクロエの叫びが聞こえる。
「っ…けほっ…」
魔物の爆発による煙で目がくらむ。
「だ…だいじょうぶ?セネル…」
はセネルに馬乗りになっていた。
「あぁ。」
セネルは目を擦ると、彼女を見上げた。
「ごめんなさい、セネル。あなたを巻き込んでしまって…」
はそのままの姿勢で話始め、セネルは自分がどのような態勢でと喋っているか自覚が持ててくると、急に顔が赤くなってきた。
「セネル、大丈夫?」
はセネルの顔をぺたぺた触ると、無事を確認したのか緊張している肩を下ろした。
そして優しく微笑むと、セネルに抱き付いた。
「!!!」
セネルの顔がますます赤くなる。
の吐息を耳元で感じてくすぐったい。
ふわりとした彼女の体躯は繊細で強く触ると壊れてしまいそうだった。
は、抱き締める力を強めると、
「無事で良かった…」
と呟いた。
セネルはの腰に手を回し、きゅ、と力を入れて少し抱くと、それを離して背中をぽんぽんと叩いた。
「大丈夫だから。」
セネルは笑う。
は上半身を上げると、「ええ。」と言った。
煙が晴れて来ると、クロエの姿が見えてきた。クロエにも二人が見えてきたようで、みるみる顔が赤くなっていくのが分かる。
クロエは二人の態勢を見て頭に血が上ったかと思うと、
「クーリッジ!!何をしている!!!」
とセネルに怒りをぶつけた。
セネルは、何で俺が…という目でクロエを見た。
「、何もされなかったか?」
クロエはに手を差し出し、立たせた。
「ありがとう、クロエ。でも、セネルがと言うより、私がしてしまったのですよ。」
は言った。
「!!!!!!!!???????」
クロエは驚くと、後ずさった。
「!?あなたはまさか…」
「…?どうしたのですか?クロエ。」
が首を傾げると、クロエは考え込んだ。
…ま、まさかもクーリッジのことが…
その時、
「が爪術使えるなんて、思ってもみなかったよ。」
とセネルが言った。クロエは「え?」という顔をしてを見る。
「が襲われてると思って飛び出していったらちょうど爪術放つとこで、は俺が巻き込まれないように庇ってくれたんだ。」
「そ…うか。そうなんだ。」
クロエはを見つめると、
「無事でよかった。」
と言った。
はクロエに微笑むと、「もどりましょう。」と言った。
「遅いのう。」
「遅いな。」
「おっそ〜い!!」
モーゼスとウィル、ノーマが呟く。
「、大丈夫かのう。」
「セネセネとクーの心配は?」
「セの字とクッちゃんは大丈夫じゃ。」
「あっそう。」
「それより、ここは寒くないかの?」
「モー助がそんなかっこしてるからでしょ!!」
そこへ三人が走って戻ってきた。
「遅いぞ!お前達。」
ウィルが怒鳴る。
「ごめんなさいね、ウィル。」
が申し訳なさそうに謝った。
「…反省しているならまあ、いいだろう。」
ウィルは、彼らしくなく引き下がった。
「ウィルっち、が苦手なのかなぁ?」
「そうなのかもしれない。」
ノーマがクロエに呟くと、クロエは同意した。
「ウィル、この先の部屋にベッドがあるそうだ。」
「…ベッドが?本当か、。」
「ええ。なんだか豪勢なベッドでした。」
それを聞いて、ノーマが元気を出す。
「ベッド!!ベッドで寝たい。いこ!それいこ!!」
ノーマは立ち上がると、元気よくステップを踏んだ。
「ノーマ!もっと警戒しろ!」
クロエが叫びながら追っていく。
「とにかく行くか。」
「ああ。」
ウィルが立ち上がる。
その時、座っていたモーゼスがを見上げながら話しかけた。
「、ここは寒くないかの?」
「モーゼスは寒いのですか?」
「おう。ちょっと寒いかと思うての。」
モーゼスは上半身を震わせる。
「しょうがないですね。」
ぎゅむっ…
はいきなり、モーゼスに抱きついた。
「!?」
それを目前にしたセネルは言葉を失う。
モーゼスは、抱きついてきたを暖かそうに抱きしめると、
「あったかいのう。」
と呟いた。
「それは、良かったです。」
は満足そうに言う。
「、わしのとこによ…」
モーゼスが何かを言いかけた時、ウィルが思い切りモーゼスの頭を殴った。
ドカッ
「なっ…何するんじゃ、ウィの字!!!」
モーゼスは抗議したが、ウィルは聞く耳持たずに道を進んでいった。
「な…なんなんじゃ。」
モーゼスはウィルの背中を見つめると呟いた。
「さ、行きましょう。モーゼス、セネル。」
はモーゼスから離れると、セネルとモーゼスに手を差し出した。
セネルとモーゼスは顔を見合わせると、ニヤリと笑いあい、の手を取る。
― 負けないからな。
― セの字には負けん!!
お互いの目を見て、こう言い合っているようである。
「それにしても、って抱きつき癖があるのか…」
の手を握り締めながら、先が思いやられる…と思っているセネルがそこにいた。
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いやー、少しモーゼスと絡んじゃった☆
セネルも絡みやすくなってきましたね。うんうん♪
モーゼスが何を言おうとしたのか(容易に想像がつくけど)皆様のご想像にお任せします。
次はグリューネさんだぁ。姉さん大好きです♪
2006/2/4