「あふ・・・・。」
シャーリィが短い欠伸をした。
牢屋の中なので時間は分からないが、二人は長い間壁越しに話し合っていた。
「…眠くなってしまいました。…あふ…」
シャーリィは再び欠伸をしながら言った。
「少し休みましょう。長い間お喋りしてしまったわね。」
は壁に寄りかかると、一息ついた。
ごそ…
シャーリィも同じように壁に寄りかかったようだ。
また、先程の暖かい力が流れ込んで来る。
「この力は…一体…。」
聞くのは…良くないわ。人は秘密の一つや二つ、必ず持っているのだから。
「ねぇ、シャーリィ。」
「はい、なんですか?」
「シャーリィのお兄さんは、どういう人なの?」
「・・・セネルという名前で、優しくて強くて、頼りがいがあるお兄ちゃんです。」
シャーリィはそう言うと、微かに口元を緩めたようだ。
「?どうしたの?」
「お兄ちゃんが私以外の女の人を好きになった時、 さんなら私、許せるかなぁ。」
はびっくりすると激しく否定した。
「何言っているの!!・・・お兄さんにとっては、妹が一番良いものよ。」
シャーリィは、「そうかなぁ。」などと言いつつ、寝入ってしまったようであった。
シャーリィの静かな寝息が聞こえてくる。
「セネルさん、か…きっととても素晴らしいお兄さんなのね。」
― シャーリィと話しているだけで、セネルさんがどんなに素晴らしいお兄さんだか、手に取るように分かるわ。
お兄さんにとっては、妹が一番良いもの、か…。私もそうなのかしら。
私も、
私もヴァーツラフ兄様にとって、そういう存在なのかしら…
ヴァーツラフ兄様…
もシャーリィと同じように、兄のことを想いながら、眠りについた。
ガタタッ
キイィ
― 牢が開く?
キイイィ
― 遠く?
「や、やめてください!!」
― シャーリィの声だわ。遠く?…ううん、隣だわ!
「シャーリィ!!」
は飛び起きると、壁に向かって叫んだ。
「 さん!!」
シャーリィは恐怖におののいた声で を呼んだ。
は壁を思い切り叩いて叫んだ。
「どうか、手荒なことはしないでください!!」
シャーリィの牢に入った者は、軽く舌打ちをすると、シャーリィを促した。
「牢の移動だ。早く出ろ。」
「…。」
シャーリィは無言で牢を出たようだ。
は急いで格子を握り、どうにか出来ないか頭を廻らせるが、自分も囚われ
ている身なので何も出来ない。
― シャーリィが行ってしまう。
何か、言わなければ。
私の事を、お姉ちゃんみたいと言ってくれたシャーリィを。
守らなければ!
は痛いくらいに格子を握り締めると、シャーリィの背中に向かって叫ぶ。
「シャーリィ!!聞きなさい!」
「… さん…?」
格子の隙間から、金色の長い髪の毛が視界に入る。
「信じなさい!
自分を。
兄を。
この暖かな力を。
あなたはこの力を暖かいと感じたのだから。
あなたはこの力に守られているのだから。
自分を見失わないで。
あなたの傍では、常に守ってくれるものがいます。
あなたは一人じゃないのよ。
シャーリィ!!」
シャーリィは牢番に促されても、踏み止っての言葉を聞いていた。
彼女の目から涙が溢れ、唇には嬉しさに震える吐息が漏れる。
「ありがとう…私の二人目のお姉ちゃん…」
シャーリィはそう呟くと、振り返らずに階段を上がって行った。
シャーリィの最後の呟きは、に聞こえる事はなかったが、はいつま
でも見守る様にシャーリィの後を目で追っていた。
*******************************************************
相当なシリアスぶりですね。
実は、笑いモノとか書けないんですよ。私の夢小説を読まれる方は、
かなりのシリアス話を覚悟しておいてください(笑)
2006/01/17