「ジェイ…何言ってるんだ…?ふざけるのはよせよ!!」
ジェイの発言に、セネルは信じられないという顔をしながら掴み掛かった。
「離してください。セネルさん、あなたが突っ掛かるのは本人が答えてからにして下さいよ!」
ジェイはセネルの手を払うと、ステラに向き合う。
「さて、どうなんですか?」
「さすがだなぁ、ジェイ君は。
ちゃんとのこと見てるのね。」
「当たり前ですよ。さんの気が誰に向いてようとも、僕はさんを見間違えたりしません。」
「ふふ。」
「…ちゃん…ジェイ君て?
君って!?」
「うるさいですよ、ノーマさん。」
「だって!!」
「ノーマちゃんもいつも面白くて、こんな友達欲しいって思ってた。
それに男勝りのようで乙女チックなクロエちゃんともね。
ウィルさんとグリューネさんはお兄さんとお姉さんな感じでほっとするし。
あと、モーゼス君。
さっきはじゃなく私だったから、手を繋ぐの即答出来なくてごめんなさい。」
ステラの言葉に、みんなどうしていいのかわからないのか目を丸くして頷くだけ。
ステラはそれをくすくす笑うと、優しい眼差しでセネルを見た。
「セネル。……ごめんね、私…。」
ステラはそう言うと、つーっと涙を流した。
「ステラ…なのか?」
「…ええ。」
「本当に…?」
「本当よ、セネル。」
「ステラっ!!!」
「セネル!!」
「あの3年間、ステラが生きてるとも知らずに俺は…!!
ごめん、助けに行けなくて。」
「ううん、セネル。あなたは私との約束守ってくれたから…だからいいのよ。」
ステラはにっこり微笑んだ。
苦しいほど胸が締め付けられるのを感じた。
これは私ではなく、ステラの気持ちなんだろう。
私達はこうやって一つになっていることで、気持ちも共有してるんだわ。
「ステラ、ごめん。」
「セネル…。」
セネルはステラの体(私の体だけど。)を抱き締めようと腕を伸ばした。
けれど、
「いやっ!!!」
ステラはそれを撥ね除けると、大声で叫んぶ。
そして次に言った言葉は、きっと外に聞こえてない。
なんだか、私に訴えているような言葉だったから。
「の身体なのに抱き締めようとしないで!!」
その瞬間、私の意識が体に戻る。
「あれ…ステラ?」
私は自分の声が出たのに驚くと体が戻った事に気付く。
「?」
「ごめん、セネル。戻っちゃった。」
がっかりさせちゃっただろうなぁ。だって、セネルはずっとステラのことでふせってただろうから。
せっかく会えたのに…。
「いや…。でもあれは、本当にステラだったのか?」
「ええ。」
「そうか。」
セネルは頷くと、私をつつみこむように抱き締めた。
「セネル、私ステラじゃないわ。」
「わかってる。だから抱き締めてるんだ。」
「!!」
途端、ステラの言葉が鮮明に蘇った。
「の体なのに抱き締めようとしないで!!」
ああ、やっとわかった。ステラが何で私を通じてセネルと話すのを嫌がってたか。
ステラじゃないから……私だからだ。
見た目は私だからなんだ。触れられるのも私でステラじゃない。
中身がステラだからって、外がじゃどうしようもないんだ。
「…ダメ。」
私はセネルを引き剥がすと、後ろに下がった。
「?」
「ステラが嫌がるから。」
「!?……」
セネルは一瞬驚いたけれど、すぐ目を細めて「分かった。」と言った。
セネルとの間に気まずい空気が流れて、私はどうしていいかわからなくなる。
なのでステラに問い掛けてみた。
(ステラ。)
何の返答もない。
(ステラ…。)
やっぱり答えてくれない。今はそっとしておいた方がいいのかもしれないわね。
「、何故ステラが体の中にいるんだ?」
セネルは私を見ずに言った。
「それは…滄我砲が撃たれたあの時…ステラがそれを止めるために私の力も使ったから…。」
私はしどろもどろ説明した。
みんなは不思議そうな顔をすると、私をまじまじと見る。
「なんでの力が貸せるんじゃ?」
「とステラの力は違うものじゃないのか?」
…。
難しいよーっ、どうやって説明すればいいのかしら。
「えーと、私には前世があってその時から滄我の力をたくさん持っていたの。」
話が飛んでる気がするけど…。
みんな分かってくれなかったらどうしよう。
「…銀髪の腹出し美少女?」
「え?」
ジェイがいきなり意味不明な事を言った。銀髪の腹出し美少女って?
「聖爪術を得た瞬間、僕は一瞬イメージが見えたんですよ。
銀髪の少女が海と話しているところを。
皆さんは見ませんでしたか?」
皆は唸りながら考え込んだ。すると、
「…あたし見たかも。その姿がすごく悲しそうだった。」
「俺も見たかもしれん。…目が、憂いを帯びていた。」
ノーマとウィルはそう言うと私を見た。
「そうか!あれがの前世か!?」
「たぶんそうです。そしてさんが今まで見て来たイメージの陸の民の女の子がこの人でしょう。」
…そうだ。確かに私の前世は銀髪だし、腹出しの服着てたわ。
「…そう!きっとそうなの。前世の繋がりで私は滄我の力を持っていて、それをあの時ステラが少し使ったの。その時ステラは私の中に入ったのよ。」
ジェイの助けもあって、過去の話も織り混ぜながら経緯を話す。
「私とステラは、シャーリィを…メルネスを止めるために一緒にいるの。」
「そうなのか……。にそんな力があったなんて驚きだ。」
「ほんまじゃ!はすごい人間なんじゃのう!!」
ウィルとモーゼスはそう言うと感嘆した。
…なんだか恥ずかしいし、くすぐったい気分。
「……そうなのか。ステラは死んでもなお滄我と関係し、シャーリィを思い続けてるんだな。
……今すぐにでも開放してやりたい。」
「セネル…?」
「だってそうだろ!!三年もの間あんな事になってたのに、今も滄我に縛られてるなんて…!!」
セネルは拳を思い切り石盤に落とした。
ガンッ…
鈍い音が鳴る。
とても痛そう…
「そんなこと言わないで、セネル!ステラだってあなたに会いたがってたのよ。開放だなんて…」
「違うんだ。もし会うなら、の体の中にいるステラじゃなく、新しく生まれ変わったステラに会いたい。
新しい命を持ったステラと、一から会いたいんだ!!」
「セネル…!!」
セネルは悔しそうに顔を背けると、肩を落とした。
セネルもステラと一緒なんだわ。セネルがそう願うなら、私もステラを自由にしてあげられるように頑張らなきゃいけない。
(良かったね、ステラ。セネルはこんなにも、あなたを想ってる。)
― セネル……。ありがとう。
こんなにも私を想ってくれて…ありがとう。
私の中にステラの喜びが広がった。
じわじわと溜まる涙を堪えながら、私は小さく鼻を啜った。
― 、さっきは叫んじゃってごめんね。
(私も、ステラの気持ち考えないで余計なことばかり…、ごめんなさい。)
途端、胸の奥が暖かくなる。
ふんわりした優しいものが、私の胸をくすぐってこそばゆい。
でも、それは全然嫌じゃなくて…むしろ幸せな気持ちになれる。
私はとても開放的な気分になると、自分の内なる扉みたいなものを開いた。
私が今まで押さえ込んで来た悲しみや怒り、嬉しさなどが一気に溢れでてくると同時に、生前のステラの思い出が走馬灯のように一緒に駆け抜けて行く。
なんて幸せそうなんだろう。
私が知らないステラが怒ったり泣いたり、笑ったりしている。
でも、これは一体なんなのかしら…。
(ステラ…)
― 、私達ひとつになれたのよ。
(ひとつに?)
― お互いを思いやる心。開放された心。
私達はお互いの全てを知る。
(本当!ステラがどんなにセネルを想っているのか身をもって知ったかんじ。)
― もうっ!からかわないで!!
(ふふ。それに、どんなにシャーリィを想ってるもかもね。)
― ったら。
…私の力、に貸してあげる。さあ、翼を広げて…!!
(翼?)
― 滄我に祈るの。ほらっ!
(う、うん。)
「滄我よ…。」
私は皆の目も気にせずにそう呟くと、一心に祈る。
その時、私の背中が焼けるように熱くなった。
何?と思うけど、祈るのをやめるわけにもいかず触ることもできない。
そのうち、強い風に身体か煽られたように揺らめいた。
「……ステラのテルクェス!!」
セネルの声で私はハッとなり、祈りを止めて背中を見ようと首を回す。
すると、背中には黄色のような薄い橙のような羽。
「ステラのテルクェス……。」
(私がこの体にいる間だけ使えるから。)
「ステラ…。」
(これを使ってシャーリィを、メルネスを助けてあげて。)
「ええ!わかったわ。」
私はその羽を使って飛び上がると、海の方へ向いた。
「滄我、ありがとう。」
『我が思いを。』
「わかったわ!」
光り輝く穏やかな波を見つめて、私の心は清々しく、そして強くなっていた。
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ヒロインとステラ合体(笑)
シャーリィもワルターもテルクェス使って飛べるからステラも飛べるはず…と思いまして。本当はどうなのかわかりませんが、飛べるのです。
最近の夢で心の中の表現をしてなかったのでしてみました〜。よくわからなかったら申し訳ないですー。
2006/07/21