「今度こそ正真正銘の最後の戦いだ。必ずや目的を果たし、全員でここへ帰って来よう!一気に駆け抜けるぞ!!」

『おおーっ!!』















私達はお決まりのウィルの言葉に、元気良く賛同して光跡翼の最奥へと歩み出した。


中は不思議な造りになっていたりして、何度も何度も迷ってしまう。











「ちょっとココ、何でこんなにくねくねしてんのよーっ!」









耐え切れなくなったのか、ノーマが不満を漏らす。













「迷路みたいで楽しいわねぇ。」

「全然楽しくないしっ!!」












グリューネは相変わらずで、それにツッコむノーマも相変わらずだった。











「これは…どっちに行けばいいんだ?まるで蜃気楼の宮殿並だ。」

「……確かに。蜃気楼の宮殿に似てますね。」









考え込むジェイを見て私は不思議に思う。
さっきからずっと何かを考えてるみたいだから…。











「ジェイ、どうかしたの?」

「あ…ええ。なんだか気になるんですよ。」

「気になる?」

「何かが矛盾していて…。でも何が矛盾してるのかまだわからないんです。」

「…矛盾…。」

「あ、さんは気にしなくていいですよ。どうせ考えてもわからなそうですし。」

「ムッ…。」










頬を膨らませると、ジェイは笑った。
そして「あなたは本当に面白い。」と言うと私の手を握って真剣な目で見る。










「シャーリィさんはきっともうメルネスになっているはず。

 この戦いはあなたにかかってるんです。今は他のことを考えずにそれだけを考えてください。

 …プレッシャーをかけているわけではありませんがね。」

「充分かかってます!!」









ジェイはまた笑うと、私の手を離した。














「あなたが守りたい者達のために、頑張って下さいよ。」












ジェイはいつも以上の優しさを込めて言ってくれる。

私は心に暖かいものが触れたのが嬉しくて、とても安心した。


















































「なんだこれ?…ちょっとモーゼス来い。」

「セの字、なんじゃ?……のわっ…」









セネルがモーゼスを呼んで、モーゼスがセネルに近づこうとした瞬間、モーゼスの姿が消えた。








「……消えた。」

「お、モーすけまたしても実験体か〜。」

「実験体じゃないわっ!!セの字、ようやってくれたな!!」








消えたと思ったモーゼスの声がどこからか聞こえて、みんなで姿を探した。
そして上を見ると、仁王立ちしたモーゼスがセネルを睨んでいる。




…上に移動しただけ…?








「すまんすまん。」

「すまんですむか!」








今日のモーゼスは相当おかんむりみたい。
宥めてあげなきゃ。









「…でもモーゼス、あなたの御蔭でこの後の道がみつかりましたよ!!すごいですっ!さすがモーゼス!!」

「ほんまか、!」

「ほんまですっ!」







モーゼスは機嫌を直すと、仁王立ちのままクカカと笑った。








「…よく宥めたね、ちゃん。それもですます口調…男のツボをよく心得てらっしゃる。」

「いえいえ、これもノーマの手ほどきの御蔭です。」

「うそ〜っ!?んなこと教えたっけ?」

「ううん。これは兄様にねだったりする時に使う手なの(笑)」

「それでお兄ちゃん達もイチコロかぁ〜。」

「ふふ。」











「どうしたんじゃ?」

『ううん、なんでもな〜い。』









私とノーマはモーゼスにそう答えると、隠れて笑い合った。






























































私達は迷路みたいな道を抜けると、機械のモニター部屋みたいな所に辿り着いた。










「この映像は…」

「光跡翼の仕組みを解説してるんじゃないですか?」

「そーなの?でもさ、それだとおかしくない?」

「何がじゃ?」

「光跡翼って大沈下を起こす装置でしょ?でもここに浮かび上がっている絵ってさ、どっちかって言うと…。」

「陸地を作ろうとしているみたいに見えるわねぇ。」









みんなの話を聞きながらモニターを見る。








本当に、この映像は大沈下というよりも陸を作ろうとしているように見える。

メルネスがやろうとしている事は、滄我の意志の代行…。







『世界をあるべき姿に戻す事』




この、光跡翼を使って…。







でも、この光跡翼は陸地を作ることが出来る…。




なぜ?


























世界をあるべき姿に戻す…



…あるべき姿?













私はモニターを見直した。












…やっぱり。


もしかして、世界は最初海しかなかった?




そこに陸が意図的に作られた?




…だからあるべき姿に戻すんだわ。











私は急にひらめくと、この驚きを皆に気付かれないように心を平静に保った。









海しかなかったということは…この世界に先住していたのは水の民になるわ。


そして意図的に陸を作ったのは陸の民。








………私達は今までここが私達の世界かのように振る舞って来たけど、本当は違うんだわ!!










でも、だからって無理矢理陸を消滅させてたくさんの命を奪う事の理由にはならない。

過去は過去で、今は今だから…!!








この今の世界で、皆が生きる道を探さなきゃいけないんだわ。





















私はまだ奥へと向かう道を見つめた。

そのためには、メルネスを止めなければいけない。





絶対に。




































誰にも言ってないけれど、どんどん近づいていくのがわかる。


メルネスの力…。


皆はきっと何も感じていないだろうけど、苦しいほどに伝わってくる。






もうすぐ私はメルネスと対峙する。











さん。」

「……。」

さん!!」

「…なっ何、ジェイ?」

「…あなたも気付いたんですか?」

「何に?」

「この矛盾に。」

「…。」










ジェイはモニターを指して言った。










「光跡翼を使うと、大地を作ることも沈めることも自由。だとしたら、そもそも煌髪人は何故大地にこだわるのか、それは…。」

「ジェイ。」

「はい。」

「私達に大事なのは今。」

「…そうですね。」

「過去がどうあろうとも、私達は今を生きているのですから。」

「…フ…、あなたも強くなりましたね。」

「え?」

「いえ、では行きますよ。」

「ええ。」












私達は光跡翼の真実を語る部屋から出る。
続く道はごつごつした岩の道。









どんな道でも、私は進むわ。








メルネスを止めるんだから。

シャーリィと一緒に、生きるんだから!!




















































岩の道を抜けると、今度は神殿のような神秘的なところに出た。

さっきまでの場所と違って、ここには魔物の気配はない。
でも、どんどん近づいていくメルネスの力。







私達はすぐそこまで来ている。






今までとは違う雰囲気に、私達は警戒しながらゆっくりと進んだ。
内心は焦っているのに、確実を帰するために慎重になっているの。




これはきっといいことよね。

















「なんじゃありゃあ!?」

「でっかいカカシ!?」

「あらまぁ、おおきなカカシちゃんねぇ。お姉さん嬉しいわぁ。」

「グリューネさん、本当に嬉しいのか?」

「クロエちゃんたらぁ、嬉しいに決まってるでしょう。」

「……。」

「クー、抑えて抑えて。グー姉さんなんだからっ。」

「……カカシっちゅうことは…ワの字か!?」

「そうみたいですね。」















私達が進む道を塞いでいるのは、大きなカカシと傷だらけのワルター。
蜃気楼の宮殿の時から、全く怪我を治していないみたいだった。







遠くから見てもわかるくらいに痛々しい。





彼は今、死に向かっている顔をしていた。






















「ワルター!!!!」







私が飛び出していこうとすると、モーゼスが私の体を持ち上げた。










「何するの!?モーゼス!!」

「行かせん!!」

「や、離して!!」

「ダメだ、。」

「セネル!!!」









私はモーゼスに持ち上げられながらじたばたする。
でもどうにもならなくてすぐ諦めた。
セネルはそんな私に一喝すると、優しい顔で言う。









「今のワルターはカカシを使ってきっとを攻撃してくる。だからそんな危険なところへは行かせられない。」

「そんな!」

「最後まで聞くんだ、

 …俺は、ワルターを止められるのはだけだと思ってる。」

「……。」

「だから、カカシは俺達が食い止める。はその隙に、ワルターのもとへ走れ。」

「セネル…。」

「わかったな?」

「うん!!」









私はノーマとウィルの後ろに行くと、ワルターとカカシを見据えた。

ワルターは真っ直ぐセネルを見ている。










「ここまでだ、セネル!」

「ワルター…。」

「俺の命が尽きようとも、メルネスのもとへは行かせん。」

「お前……。もうよせ、ワルター。」

「黙れ!!」








ワルターは意識を集中させると、カカシを私達に向かわせた。

始まる戦闘、戦うセネル達。




















私は、目を瞑って考える。
















私が何をワルターに伝えるべきか、何を伝えたいのか。














そしてある一つの答えが浮かぶと、再びワルターを見据えた。

























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「過去は大切だけど、私達は今を生きているのだから、
今この時を、一生懸命にならなければいけない。」

過去に縛られる事などないように。

2006/08/05