「すっご〜い、ワルターって凄いね!!」
「当たり前だ」
「あっそ…」
何が凄いってそれはね、昨日教えたばっかの平仮名を全部読めて書けるようになったんだよ!
凄くない?
本人は夜遅くまで勉強してたみたいだし、努力は認めるわね。
でも、どうしてこの世界の文字を知りたいと思ったのかが不明なんだよね。
きっとチサちゃんが原因だと思うんだけど…、一体何を話したんだろ。
「、昼飯はまだか?」
「えっ…あ、そんな時間!?」
時計を見るともう13時!!
ワルターの文字勉強に夢中になりすぎちゃった!
「ごめん、何食べたい?」
「なんでもいい」
「あらそ?じゃあ、ヤキソバにしようかな」
「ヤキソバ?」
「うん」
「…観察しよう」
ワルターは立ち上がると、一足先に台所に向かった。
あたしが作るのに、先に行ってどうすんのよ。
「!」
「はいはい…」
冷蔵庫からキャベツともやしとニンジンを出して、冷凍庫から豚肉をだす。レンジでお肉を解凍して、野菜を切って…。
「普通だな」
「一体何を想像してたわけ?」
「ヤキソバなぞ変な名前だからな。もっと違うものを想像していた」
「ふーん、普通で悪かったわね」
「いや、食えそうでなによりだ」
「……」
また意地悪言ってるし。
そうだ、せっかくここにいるんだから手伝ってもらおう。
それがいい!!
「ワルター、包丁でニンジン切って」
「俺がやるのか!?」
「見てるだけだとつまんないでしょ?」
「つまるぞ」
「ばか。働かざるもの食うべからずよ」
「……」
ワルターは無言で包丁を手に取ると、ニンジンを切り出した。
意外と旨い!
「あ、ちょっと」
「なんだ?」
「はい、エプロン」
「つけるか!!」
「ちぇっ、残念」
さすがにエプロンは着けてくれなかったけど、ニンジンとかキャベツとか刻んでくれた。
はかどるはかどる♪
こうなったら〜!!
あたしは冷凍庫から海鮮ものを取り出すと気合いを入れる!
「よっし!」
そして出来上がったのは、海鮮あんかけヤキソバ!!
プロ並!
「なんだかトロトロしてるが…」
ワルターは気持ち悪そうだけど気にしない!
きっとイケてるはず!
…なんできっとかって?普段料理しないからさ、作ったの初めてなんだよねー。
だから味はわかんない。
見た目はちゃんとあんかけヤキソバだけどね。
「さあ座って座って!」
あたしは訝しむワルターを座らせて飲み物を出す。
「いっただきま〜〜す!」
そして勝手に食べ始めた。
「!!うそ!ナニコレ!おいし〜♪」
初めてとは思えないほどの美味しさ☆
頬っぺた落ちそう!
訝しんでたワルターも、あたしの反応を見てフォークでヤキソバをつつきだす。
「……うまい」
そして「うまい」だって!!言わせたわ!
「でしょ!?初めて作るなんて思えないでしょ!」
「なっ…初めて!?」
「うん!」
「そんなもん作るな!今回はうまかったからいいものの…、これがまずかったら、まずいまま全部食わなければいけないだろう!?」
あれ…?
「ワルター、まずくても食べてくれるんだ?」
あたしの言葉に、ワルターは目を見開いた。
そして口を一文字に閉じると顔を逸らす。
あ、照れてる。
「もったいないからな!!」
そして照れ隠しに一言放つと、黙々ヤキソバを食べ出した。
この三日でワルターもあたしも変わったかも。
最初はとっても嫌だったし困ったけど、今はあんまり気になんないし喜んでもらえるとすごく嬉しい。
……ってこれって何だか、恋してるみたいじゃん。
ないない、それは絶対ない。
「どうした?片付けるだろ?」
「…ないない、それは絶対ない」
「は?」
「え?あ〜…え〜と」
「……片付けるのか?」
「片付けますっ」
わけわかんない事口走って睨まれちゃった。
睨む気持ちもわかるけど(笑)
ワルターにあたしが恋する?ないない、絶対ない!
*
「今日は何をするんだ?」
「今日は何しよっかねぇ」
あたし達は唸ると、二人で考え出した。
毎日何をやればいいかわかんなくって困っちゃうんだよね。
「あ、じゃあさ、この世界について話してあげる」
「しょうがない、聞いてやろう」
「なにそれ」
ワルターは考えるのをやめると、あたしの話に耳を傾けた。
「この世界はね、『地球』っていうの。その地球に陸があって、あたし達はそこに住んでるんだ」
「…は陸の民なんだな」
「そうだね。でもさ、地球には陸の民しか居ないよ」
「そうなのか?」
「うん。あたしは見たことない」
「じゃあ、いるかもしれんな」
「うーん、それはないと思うけど」
「……」
あたしの言葉にワルターはがっかりした顔をする。
「あ、でも確かじゃないしいるかもしれないけど」
「そうか」
あーあ、気まずい雰囲気。
話が止まっちゃったし。
「ワルターの世界と同じように、この世界も色んな人がいるんだよ!あたし達日本人は小さいし黒髪だし日本語を話すけど、見た目も明らかに違う人間で全然違う言葉を話す人達もいる」
「……」
「あ、ちょっとワルターのとことは違かったかぁ」
「……ニホンジンというのは、皆黒髪なのか?」
「え、元はそう。染めちゃう人もいるけど。あたしは黒髪が好きだな」
「は真っ黒い髪だな。好きだからか?」
「うん、そだね…」
「…?」
「何?」
「……いや」
ワルターはふわりとあたしの髪を触った。
「俺の世界には、こんな真っ黒の髪の女はいない。まぁ、陸の民の話だが」
「水の民は皆金髪だもんね」
「ああ」
「ワルターもキレイな金髪」
あたしもワルターの髪に触れる。
お互いの髪の毛に触れるのは変な気分。
さわさわと触って、ふと相手の顔にに目線を戻すとお互いに絡み合う。
『//////////』
あたし達は相手の髪の毛からパッと手を離して顔を逸らした。
い、今何やってた!?
なに今の、恥ずかしすぎじゃん!!
恋人じゃないっての!!!
「……すまん」
「えっ…こ、こっちこそ!!」
ワルターが謝ったのにびっくりしてつい謝っちゃうけど、お互い悪い事なんてしてないし。
「やだワルター、あたし達別に何にも相手に悪い事してなかったし、謝ることなんてないよ」
「……確かにそうだな。
誤り損だ」
…何、誤り損って(笑)
「…ぷ…くく、ワルターって可笑しい!!」
「な!?、貴様に言われたくない!!」
「はいはい、ごめんねっ」
「…ところで、明日は何をする予定だ?」
彼は話を変えた。
待ってましたな話題♪
「明日はバイト」
「ほぉ。、貴様も働くのか」
「あたしだって働くわよ。でもね、ワルターも働くのよ」
ニヤリと笑って言うと、ワルターはきょとんとした顔になった。
「は?俺も…?」
「うん。二人で明日だけの一日バイトだからね☆お給料で、明後日以降どっか遊びに行こう!」
あたしがにっこり笑うと、ワルターは一瞬止まってまた顔を逸らす。
お、この提案に照れたか〜?
「…仕方ない、付き合ってやろう」
それも素直だし♪
「店長さんには言ってあるから大丈夫。あとはワルターが愛想良くしてくれればオッケーよ☆」
「…愛想よく…?」
途端、ワルターは眉をひそめて嫌そうな顔をする。
あたしはそれを笑いながら、彼の肩をぽんぽんって叩くと、
「働かざるもの食うべからず」
と言ってやった。
ワルターって、ホント可笑しい!!
とっても楽しくて、あたしは彼がここに居る事に感謝する。
今一人だったら、こんなに笑ってなかったよ、あたし。
何故かワルターだけど、傍に居てくれて嬉しい。
【両親が帰ってくるまであと6日】
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第四話です☆
ちょっとずつ近づく二人の関係な感じで。
私だったらもっと意識しちゃうかもな〜(笑)
2006/08/26