プルルル…
「、何かなっているぞ」
「あ、うん。電話だー」
プルルル…
あたしは立ち上がると、電話へと走った。
今日は海から帰って来た翌日。
あたし達は疲労困憊で家でうだうだしているんだ。
思い出作りとかどころじゃなくって(笑)
昨日は朝からまた海で泳いで、そのあとなが〜い電車に乗って帰って来たんだもん。
ちゃんと寝たチサちゃんとランちゃんと違って、あたしとワルターは海で話し込んで夜更かししたから帰りの電車で爆睡。
そんな写真を撮られたりして恥ずかしいのなんのって…。
あはは。
「はいっ、です。
ってランちゃん!なんで携帯に電話しないの?
え、お金がかかる?
もー」
かけてきたのはランちゃんだった。
メールとかすればいいのに。
「え、明日?
ダ〜メ!明日はワルターと二人で行くんだから。
これは譲れません。
うん、そう。わかった〜。
じゃあねっ」
あたしは受話器を置くと席に戻った。
ちょっと膨れっ面をしながら座ると、ワルターが不思議そうに見る。
「明日はどこか行くのか?」
「うん。ちょっとね。明日元気に出掛けられるように、今日はめーいっぱい休んでよ!」
「あ、ああ」
ワルターは今だ不思議そうにあたしを見ている。
なんなんだろう?
「どうしたの、ワルター」
「ああ、さっきの機械はなんだ?」
「電話?あれは遠くの人と喋れるの。かかってきたら、
「はい、です」
って出ればいいの」
「そうか…。この世界は色々なものがあるのだな」
「…そうよ」
ワルター感心して頷くと、先ほどのようにテレビを見始めた。
こころなしか笑ってるみたい。
「そういえば、ここを死の世界って言わなくなったね」
彼はテレビを見つめていた目をあたしに向けて、少し細めた。
「がいるのに、死の世界だと思いたくない」
「えっ」
ワルターは更に目を細めた。
「言った通りだ。二度と言わん」
そのままワルターは、テレビに見入ってしまう。
なっ……いきなりっ!
なんなの!
照れるじゃない…
でもっ……照れるって気持ちより、嬉しいって気持ちがおっきい。
「あ、もうこんな時間!!お昼ごはん作るね」
「ああ、頼む」
もう14時。
二人でゆっくり寝てたからちょっとお昼の時間がずれちゃってるけどね。
作るのがめんどくさいなーって思ったら、いいものを発見してしまった。
そうめん。
これなら茹でるだけだもんね!!
ぐつぐつ…
ぐつぐつ…
茹でてる間にテーブルにお皿とかを用意する。
冷蔵庫からおつゆとミネラルウォーターを取り出してテーブルに置き、そこに出したお皿に冷凍庫から出した氷を転がした。
「ワルター、もうすぐできるよ」
「ああ」
ワルターはテレビのソファから立ち上がった。
その時、
プルルルル…
「あー電話だ。…もー、そうめんがもうちょっとで茹るのに…
いいや、無視しちゃおっと」
あたしは電話よりそうめんを選んだ。
プルルルル…
プッ…
あれ、切れた。……と思ったら、
「だ」
!?
ギャー!!ワルター出てるし!
何でなの!?
あたしは茹ったそうめんを流水で冷やして水を切ると、簡単にお皿に盛り付けて電話に走った。
「え…?…ああ〜…」
日頃無口なワルター(あたしの前だとそうでもないけど)が、受け答えしてる。
あたしがそこに近づくと、彼は困った顔で受話器を指差した。
誰が出ているのかも気になって、あたしは慌てて奪い取る。
「もしもし…?」
「か!?何だ、今の男は!!」
ゲッ……お父さん!!
「え…友達だよ」
「友達!?なに男を連れ込んでいるんだ!!」
「あのねぇ、あたしだって男友達くらいいるよ。
ところで何か用?」
「そういう問題じゃないっ!!」
あーあ、お父さんったら狂乱してるし…、どうしよう。
無理矢理切りたい衝動に駆られるけど、ここで切ったら今日にでも旅行から帰ってきそうだし…。
あーもー…どうすればいいのよっ…
するとその時、受話器を奪ったのかお母さんが出た。
「もしもし〜、元気?」
「あ、お母さん。元気だよ」
「お母さん達明日の夜の八時頃に帰るけど、お土産何がいい?」
「えー、美味しいものかなぁ」
「らしいわねぇ。
あら、隣でお父さんが泡吹いてるわ。どうしましょ(笑)」
「お母さん、全然困ってなさそうだよ」
「ふふ、全然困ってないもの。
そうね…今電話に出た男の子に代わってくれる?」
「えっ!?ワルターに!?」
「へー、ワルター君ていうの。外国人のお友達?」
「…まあ、そんなものかな。ちょっと待って」
お母さんはいつものように普通に電話を代われと言った。
…なんだかドキドキするよー。
あたしは受話器を手で押さえると、ワルターを見た。
彼は何が起こっているのか分からず、あたしを見返す。
「代わってほしいって」
「俺とか?」
「うん」
「…わかった」
ワルターはあたしから受話器を取る。
「……あー……」
あーって、マイクのテストじゃないのに(笑)
「ああ……いや…、…しかし……」
ワルターって、敬語なんか使わないんだね。
そりゃお父さんも怒るかも。
「……了解した」
彼は最後にそう一言呟くと、ガチャッと受話器を戻した。
「何話したの?」
「教えん」
「うわっ……気になるんだけど」
「うるさい」
「教えてよ!」
「……飯を食うぞ」
どうあたしが頑張っても、ワルターは何も教えてくれなかった。
…一ついえるのは、お母さんは彼が照れるようなことを言ったということ。
だって、ワルターったら、話してる途中で赤くなったんだもん。
「、早く食べろ」
「はいはいっ……て、あたしが作ったのに、さも自分が作ったかのような言い方しないでよね!」
「…何故怒っている?」
「……も〜!
知らないっ」
あたしはむくれると、もそもそとそうめんを啜りだした。
……ホントに、何を話したんだろう
*
そろそろ夜になるという頃、あたしがトイレにたって入ってる時に再びその音を聞く。
プルルルル…
電話だ!!早く出なきゃ。
またワルターに出られたら大変!!
プルルルル…
プッ…
「だ」
!!
うわっ…また出られたよ。
さっきので懲りて普通は出ないっしょ!
あたしは一目散にトイレを出る。
「何だと!!
貴様は何者だ!!」
えーっ!!何言ってんのよ!?
「私はの―」
「ぎゃあーっ!!!!!」
ワルターが何かを言いかけてたけど、お構い無しに受話器を奪う。
彼はその行動にびっくりして慄いた。
「もっ……もしもしっ?」
「か!?」
うわーん、今度はお兄ちゃんだよ!!
「大丈夫か!?
その男は一体誰なんだ!?
父さんからいきなり電話があった、びっくりしたぞ!」
…うちの男共は〜…
「俺に向かって貴様は何者だって言ったぞ!どんな教育を受けてんだよ!」
……はぁ〜、ワルターだからしょうがないじゃない…
なんて言ってもしょうがないし。
「で、何か用?」
「なっ…俺はお前が心配で…」
はぁ。
「久しぶりの電話でそんなバカみたいなコト言わないでよっ!」
ガチャ!!!!!
…切ってしまった(笑)
お兄ちゃんから電話が来るなんて滅多にないのに。
ま、いっか。
今は限りあるワルターとの時間のが大切だし。
「…兄だったのか、すまん」
「え?いいよ。
でも、もう電話はとらないでよねっ」
「わかった」
ワルターは珍しくしゅんとなると、テレビの前に戻っていった。
不思議な事に、もうお兄ちゃんから電話はかかってこなかった。
あたしに嫌われたと思ってかけられないのかもー。
あたしはテレビの部屋に行くと、ワルターの横に座った。
そしてワルターの横顔を観察。
するとそれに気付いて彼もあたしを見た。
「ねぇワルター。何でお兄ちゃんに貴様は何者だ!?って言ったの?」
彼は少し戸惑うと、目を逸らす。
「お前の兄は最初、お前は誰だ?俺のはどうした?俺のを返せ!!と言った」
……なんだ、お兄ちゃんだって同じコト言ってるじゃん。
ん?俺の?……恥ずかしいことを〜!!!
「……」
「……」
「////////」
あれ、ワルターが照れてる?
……どして……?
あ……
俺のはどうした?俺のを返せ!!
「ワルター、もしかして…妬いてくれた?」
自分で言って思う。
そんなことないよね。
いくらお兄ちゃんが名乗らなかったとはいえっ。
「///////////………そんなわけあるか」
その赤くなる間は何?
期待しちゃうよ、あたし。
「ワルター……?」
期待して、いいの?
ワルターは赤ら顔で唇を噛み締めると、
「夕飯を作れ」
と呟いた。
時計を見るとそんな時間。
あたしは立ち上がって台所に行こうとしたけど、立ち止まる。
そして振り返って彼の背中に言った。
「とびっきり美味しいのを作るよ!」
「…フ…期待している」
ワルターがここで食べる最後の夕飯。
その時、どんな話をしようかな?
あたしは顔を緩ませながら、台所までスキップした。
【両親が帰って来るまであと1日】
*******************
第九話です☆
嵐の前の静けさというか(笑)全然静かじゃなかったですがー。
今回は家族ネタです。
お父さんとお兄ちゃんは心配性。
お母さんは娘を信じてます^^
ワルター君はお母さんとどんな話をしたのかしら?
次で最後です。
2006/08/31