パタム…
「面白かった〜。」
私は、ナルニアの最終巻である『さいごの戦い』をベッドの上に置くと、呟いた。
「なんだか、未知の世界でたくさんの冒険をしたみたい。」
読み終わると、いつもそういう気分になる。
それがナルニア国の物語なんだ。
今という現実の世界とは懸け離れた世界。
最近映画化されて日本でも公開中で、CGをたくさん使って、やっと表現できるようになった世界。
本当のナルニアに行ったら、どんな所なんだろう?
行ってみたいけど、行けない。
だから、本を読んで入り込むんだ。
小学校の頃に買って貰って、ぼろぼろになるくらい読み込んできたナルニア国の物語。
大好きな本。
私は、ナルニア国の物語に出会わなければ、
こんなに冒険好きで、
こんなに明るくて、
こんなに…
夢見る女の子にはならなかっただろうなぁ…。
「私の家に、衣装タンスはないなあ…。」
ふと立ち上がると、押し入れの前まで歩く。
「押し入れはあるんだケドねぇ。」
ガラリと開ける。
いつもと変哲のない押し入れ。
「当たり前かぁ。」
溜め息をつくと、閉めようとする。
ガラガラ…
ヒュウゥ〜
「ん?」
何か…風が吹いて来たような…。
「まさかね(笑)」
…ピシャッ
隙間が出来ないようにぴったりと閉める。
そして私は、ベッドに戻るとゴロンと横になった。
ごろごろ…
ごろごろ…
「…やっぱり……気になる!!」
さっきの風が気になって、他の事が考えられない。
「もう一回だけ!」
私は独りで呟くと、今度は思い切り押し入れを開けた。
ガラッ!!
……
……
「…やっぱり、何でもないかぁ。」
押し入れの中に並ぶ服。
中学の時の制服や、毎日着てる高校の制服が何なく掛かっている。
がっかりしながら、服達を漁ってみる。
何も無い。
「夢を見過ぎだよねー。ナルニアなんて、本の世界なんだ。」
はっきり言って、自分は夢見過ぎだと思う。
現実を見ればわかるんだよね。
毎日学校に通って勉強して、友達と仲良く(上っ面だけの友達が多いケド)して、部活やって、帰って来て…。
何かを努力してやるって事が見つからないし、先が見えない。
先生からは進路を決めろとか言われるけど、何がやりたいかわからないのに決めらんないよ。
何をしていいかわからない。
そんな私。
「あーあ、せっかくイイ気分だったのに。」
再びベッドにごろりと寝転がって溜め息をつく。
「…幸せ逃げるぞ。」
自分にツッコむ。
「ふぁ〜ぁ。眠くなってきちゃったよ。」
大きな欠伸をすると、うとうとしてきて、私はそのまま寝ちゃったみたい。
記憶がないんだけどね。
ヒュ〜
ヒュ〜
なんだか、寒い。
冷たい風が吹いてるみたい。
窓閉めるの忘れたっけ?
冷たい風は、私をそこら辺の葉っぱの様にくるくると巻き込むと、周りで踊った。
なんだか、冷たいのに暖かい。
よく分からないでしょ?
私もよく分からないのよ。
ただの風なのに、ただの風じゃないの。
誰かに呼ばれてるみたい。
声が聞こえるの。
誰の声なんだろ…。
**********
2006/03/21
2へ