「おやすみ、

「うん、おやすみなさい。ピーター」
















私達は食事をした後も、丘の上でゆっくり話した。
元いた世界のことも話したし、家族のことも話した。









でも、ピーターが1番聞きたがったのはナルニアの始まり。
私がディゴリーとポリーに会ったこととかね。


ナルニアはアスランの歌から始まったと言ったら、ピーターはアスランの歌を聞きたがった。
でも殆ど覚えていなかった私は申し訳なくなっちゃって…。


泣きそうになったとこをまた慰めてもらったの。

















は泣き虫だな」

「う、うん。ごめんなさい」

「泣きすぎだけど、その分よく笑いもするからバランス取れてるかもね」

「え、そうなのかな」
















よく笑いもするって言ってくれたのは嬉しかった。
だって、見てくれてるってことだもんね。


















「僕は、そんながいい。変わったらつまらない」

「つまらないって問題なんだ!」

「あはは、うそうそ」

















ピーターとの話は尽きることがなかった。頭の中であれもこれも話したい!って思っちゃって大変だった。
話したこと自体、支離滅裂だったかもしれない。




そうやってたくさんの話をした後、おやすみを言って別れたけれど、彼と離れた途端、体が重くなった。
頭もガンガンしてだるい。


















「アスラン…」


















楽しかった時間は消えて、アスランの事で頭がいっぱいになる。
これから起きることを考えては、胸がきつく締め付けられ苦しくなる。

















「アスラン、アスラン、アスラン…」

















もう一度だけ、会いたかった。
でも、アスランはそれを望まないのをわかってる。



だから、会いにいけない。









そう、会いに行かない。
アスランは、私が話すべき人物を知ってたんだ。だから、ピーターとあんなに楽しく話せた。

















アスランはスーザンとルーシーに任せなきゃいけない。
















私は、アスランじゃなくてピーターを選んだの。
だから、アスランが戻ってくるまでピーターを守らなきゃ。支えなきゃダメ。


だって、あんなに慰めてもらって、喜ばせてもらったもん。



















私は、明け方アスランが出ていくのを見届けるためにテントから毛布を出して外で寝た。




































…ぶだ…


















すうすうと眠りこけながら彼の声を聞いた。



















、私は大丈夫だ。
君は、君のすべきことを。




















ハッとして起き上がると、アスランがゆっくりと森に入って行くところだった。
彼は私の心に向かって、安心させる言葉を届けてくれたんだよね。




アスランの後ろを、静かにつけるスーザンとルーシーの二人が見える。
私は気付かれないように二人に頭を下げてアスランのことを頼むと、眠気に勝てずその場で再び眠り込んだ。

































































あれ、だあれ?






























だれ?そんなに怒らないで…


















低い声の男の人が私を呼んでる。彼は怒っているようで、私の体を揺らした。
でも、その揺れは乱暴じゃない。優しさを含んだもの。

















、起きなさい
















うーん、そろそろ起きなきゃ…


















むくりと起き上がり、パチリと目を開けると、目の前にはオレイアスの顔があった。


















「のわああっ…!」

















驚いて後ろに倒れそうになると、彼は大きな手で私を抱き留めた。


















「何故外で寝ている?」

「……うん…」

















オレイアスが何も言わない。まだアスランのことは伝わってないんだ!


















…?」

「オレイアス…っ!!」


















私はそのまま彼に抱き着いた。
だって、苦しくてしょうがなくて…。溢れてくる涙が止まらなくて…
















!」

















オレイアスは驚いてたけど、私を気遣ってかたい腕を背中に回して抱きしめてくれた。















って……あれ、抱きしめて…くれた?



オレイアスが…?




















、大丈夫か?」

「うっ…く…」


















大丈夫じゃない。大丈夫じゃないよ。

アスランが…


















「ほら、ゆっくり深呼吸をするんだ」

「すー、ずっ…はー」

















うまく呼吸できない…。


でも、オレイアスの胸が温かくて心地よかった。
トクンと聞こえる彼の心臓。こんなに近い…。













こんなこと思ってたら、心臓がバックンバックンしだした。
あまりにも動悸が激しくて、いきなり呼吸が止まっちゃいそう!
















このままじゃダメだ。オレイアスから離れなきゃ。
もしかしたら呼吸困難とかで死んじゃうかもしれないっ!














私は自分から抱き着いたにも関わらず、抱きしめてくれてる彼の胸を押して離れた。
と言っても、見上げればオレイアスのドアップが!!!
















「大丈夫か?どうしたんだ…」















心配そうなオレイアスの顔。


どうしよう。ここで話したら、彼に私が本の内容を覚えてるってバレちゃうし…

















!!!」

















その時、少し離れたとこにエドマンドが現れた。
彼は走ってくると、オレイアスへ頷く。
















「では、私は向こうに…」

「ううん、ここにいて…」

「しかし…」
















心細くて、思わず言ってしまった言葉。
オレイアスは困って、エドマンドは苦笑している。


















「あ、ごめんなさい」

「いいよ、はそのほうがいいんでしょ?」
















エドマンドに優しく言われちゃうと、何も言い返せなかった。
しばらく黙ってたけど、二人が私の言葉を待ってるのがわかった。



















「…あのね、アスランが…」

「え、アスラン?」

「うん…その…、アスランの気が感じられないの。

彼に、何かあったんじゃないかと思って外で待ってたの」

















我ながら良い理由だと思った。
これなら本のことはわからないし、オレイアスは私の頭の中にアスラン自身が直接話し掛けてくるのを知ってる。


















「本当か、それは…」

「うん、本当だよ。

オレイアス、アスランは……」




「エド!!オレイアス!!」

















私が核心を言おうとしたその時、ピーターがそれを遮った。
彼は走ってくるっ、肩を荒く上下させる。


















「ピーター…」

「あっ、。おはよう」

「おはよう、ピーター」

















私達はちゃんと挨拶すると、じっと黙ってしまう。
それを不思議そうに見つめるエドマンドを置いて、オレイアスが咳ばらいをした。

















「それで、何かあったのですか?」

「……それが」

















ピーターは私を見て言うのを躊躇っていた。
私が聞いたら、また泣いてしまうってわかってたんだろう。
















「大丈夫だよ、ピーター」
















私がそうい言うと、ピーターは疑わしそうに私を見つめた。


















「大丈夫。なんとなくわかるの」

は大丈夫だと思うよ、兄さん」


















エドマンドがフォローしてくれる。
私がそれに頷くと、ピーターは溜め息を吐いた。

















「……

アスランが死んだ」

















ぽつりと呟くように言うピーター。
エドマンドとオレイアスは信じられないという表情になったけれど、二人ともすぐに普通の表情に戻った。



でも、普通の表情を出来なかった私。
あっと思ったら、ポタリと涙が出た。



















「ほら、は泣き虫なんだから…」

「ご、ごめ…」

















ピーターは両手を持ち上げて少し広げると、私を抱きしめてくれた。
そのぬくもりに、私の心はリラックスするのがわかった。


















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アスランを止めたいのに、彼が望んでないからできない。
泣き虫なのに聞き分けがいいですね(笑)
最近ちょっと泣きすぎですよ^^


2008/07/03








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