私はそろそろとアスランの後ろをついていった。
目の前はさっき歩いてきたところとは違うまだ真っ暗な世界。







アスランが歩く前は、本当に何もないんだ……。











「そうだ。こちら側は今から世界が創られるのだよ。」


「えっ?私が考えてる事分かるの?」


が呟いていたのではなかったら、私は君の頭の中が分かるのだろう。」


「私…呟いてない…。」












アスランは声高らかに笑うと立ち止まった。













「どうしたの?」


「歌うのだ。」












アスランはそう言うと低い声で歌いだした。

すると大地は震え、同じように緑が広がっていく。
アスランは再び歩を進めて、その足元からはたくさんの草花が生まれる。









、ここで待っていなさい。」


「ここで?」


「少し時間が経ったら私が歩いた道を辿ってくればいい。」


「少しってどのくらい?」


「君には分かるはずだ。」










アスランはそう言うと、また歌いながら歩いていった。




私は無理矢理ついて行こうとしたけど、思ったように足が動かない。
それどころか反対に眠くなってその場に倒れ込んでしまった。












「どうしたんだろ…眠い…。」











薄っすら開けた目からドリアードたちの花びらの舞が見える。
それはどんどん近づいてきて私の上で止まると、くるくる舞った。










「んーっ?」









気だるく手を伸ばす。
ドリアードは笑いながら私の手を掴んでキスを落とした。
そのキスと同時に私の瞼は閉じていく。














― 本当にどうしたんだろ?さっきまでなんともなかったのに眠くてしょうがないよ。













そして、意識は飛び去った。





























































「ふぁ〜っ。」





長い間寝てたのか数分しかたっていないのか分からないけど、私はむくりと起き上がった。






ファサッ…





起き上がると体から落ちるたくさんの花びら。









「さっきのドリアードは私のお布団作ってくれたんだ。」








私はたくさんの花びらを両手で掬うと思い切り匂いを嗅いだ。









「うわぁ、甘くていい香り。」








その匂いに満足して頭がぽわんとなる。









「…だめだだめだ!!ナルニアを見届けなきゃいけない使命を背負っている私がこんな事でどうするんだー!!」








私は花びらを散らして両手でパンパンと頬を叩くと、すっくと立ち上がった。
そしてアスランが歩いていったと思われる方に進みだす。




なんでアスランが歩いていった方向が分かるかというとね、
アスランが歩いたところは、他のところよりも草花の成長が著しくて、たくさんのキレイなお花が咲いていたからなの。




わかったでしょ!!うふふ♪










しばらく歩くと、ずっと向こうのお空に白い点が見えた。
何かと思ってじーっと見ていると、それはどんどん大きくなってきた。








「あれは…、ディゴリーとポリー?」







『魔術師のおい』に出てくるディゴリーとポリー、そして白いお馬さん(羽が生えてるけど)のイチゴだわ!!
彼らはアスランのいいつけで、リンゴを取りに行くのよね。









「…じゃあ、悪であるジェイディスもこの世界にやってきたんだ…。」









私は身を震わせるとジェイディスの事を考えた。
彼女はリンゴを、食べちゃうんだろうなぁ。





そして、ナルニアの冬が始まるんだ。





私は複雑な目で彼らを見送った。
すると、ディゴリーと目が合った。








「!?」



「どうしたのよ?」







ディゴリーはびっくりした顔で私を見た。ポリーはそれに気付いて彼に声をかけるけど、私には気付いてないみたい。




言葉が通じるか分からないけど、











「頑張ってー!!!」










私は大声で叫んで手を振った。


ディゴリーは何度も頷くと、小さく私に手を振ってくれた。









私はニコニコしながら彼らにずっと手を振っていた。








「あれ、何であんな大声だったのにポリーは気付かなかったんだろう?」







少し疑問は残ったけど、とりあえず気にしないで私は歩き出した。














― ディゴリーが無事リンゴを取ってきたら、お母さんの具合良くなるんだよ。


  だから頑張ってね、ディゴリー!!!












心の中でディゴリーに声援を送ると、私もがんばるぞーっ!!とたくさんやる気が出た。




























             *
































。」


「アスラン!!」






やっと会えた!結構歩いたよ?疲れたーっ。



私はホッと一息つくと、アスランの周りを見回した。
彼の周りにはたくさんの動物達。
彼らは楽しそうにお喋りして笑ってる。









― 私は、彼らを見届けなければいけないんだ。しっかりしなきゃ!















「…色々、考えたかね。」


「え?」


「君の役目は、そんなに難しい事じゃない。ただ、ナルニアを感じればいいのだ。」


「感じる……?」







私はアスランが言っている意味がつかめなかった。
だって、ナルニアを見届けるなんて大それた事じゃない?
世界なんだよ!!!それもあのナルニアの!!



これって、すごく重要でしょ?









、君は役目を重く考え過ぎだ。」








アスランはそう言って私の手を鼻で擦った。








「ナルニアの在り方は決まっている。それは君も知っているだろう?」







私はこくりと頷く。本の事、アスランも知っているんだ。









「君が見届けるのは本を読むのと同じなのだ。その違いは、それを本で読むだけかそれとも、肌で感じるかだ。」








アスランはそう言うとたくさんの動物達を見回した。
そして次に、ディゴリーとポリーが向かった方を見た。




































、君は君らしくナルニアを感じて欲しい。そしてこの世界で生きてこのナルニアを、





いつまでも好きで、覚えてくれているような大人になって欲しい。」










































私は凄くびっくりした。アスランがこう言うとは思わなかったから…。


アスランだったら、成長してナルニアを忘れてしまうのを何も意見しないと思ってた。
スーザンの時もそうじゃなかったかしら?















「そうだ。でも、そうしたら君を選んだ意味がないのだよ。」












アスランはフと笑うと、ゆったりと腰を降ろした。


















「さて、彼らが帰ってくるまで休むとするかね。」


















******************

久々の更新ですね。(スミマセン。)
今回のテーマは、アスランがヒロインを選んだ意味ですね。



「誰かが覚えている限り、この世界は永遠になる。」



2006/06/19





4へ