どうしてこんなことになってるの?
私達、ケンカしてたんだよね?あんな言い合って、取っ組み合いまでしたの初めてだったのに…
何なの、この変わりようは。
















はっきり言って、納得できないっ!!!


















「エドマンド、、よく来てくれたわ〜」

「スー!」

「スーザン!!!」













広間に通された私達は、不安な気持ちで誰が会いに来るのかハラハラしてたんだけど、なんのことはない。
デレデレしたスーザンが現れたの。
それも、私とケンカしたことも忘れて「会いたかった」って抱きしめてくれるし…。



ほんと言うと、ホッとしてるんだけどね。
だって、あそこまでいったケンカってなかなか修復出来ないものじゃない?
私はそう思うんだけど。














「結婚式は二週間後なの。それまでは毎日パレードなのよ」

「へぇ…」

「エドマンドももコーリンも、楽しんでいってね」












そう言ってほっぺたにチュウをたくさんしてくれたスーザンは、彼女の控えの間にさがっていった。
私達は真っ黒い顔をしたもやしみたいなおじさんに連れられて客間に通される。

それは贅をつくした豪華なつくりで、カロールメンの王族がどれだけ高慢ちきにお金ばっか使って生活してるのかが手に取るようにわかった。



全員が部屋に入ると、ドアに見張りを立てて周囲を探る。
ほっとしたことにこの部屋に聞き耳を立ててる人はいないみたい。













「さっきの、目が据わってたな」

「コーリンの言うとおり、スーは気にしてなかったけど、あれじゃ睨みつけてるようなもんだぞ」

「……ごめん、でも…」












なかなか立ち直れてないもんだから、仕方なくああなっちゃうの。
って言おうとして、エドマンドに目を向ける。













「だから子供なんだよ。自分で言ってたじゃないか。スーザンは惚れ薬のせいでああなってるだけだって」

「言ったけど!!!

……そんな言い方しなくても」

「……僕の言い方のどこが気に入らないんだよ」

「……私、部屋にいく。パレードはみんなで行って来てね」











腹が立つとか何よりも、なんだか哀しくなっちゃった。
だって、いつもなら一番に私を庇ってくれたりしてくれてたエドマンドが、今回は別人みたいに恐い。
私の事、嫌いだって言われてるみたいな気がしていや。















仲直りのきっかけが見つけられないの。

きっとスーザンならあの惚れ薬を取り除けばいつも通りに接してくれるようになると思う。
でも、エドマンドは本物のエドマンドとのケンカになっちゃってるから……
















トントン














ベッドに横になって頭の中をグルグルかき回してた時、誰かが私の部屋のドアを叩いた。

さっき、あんなに一人になりたいオーラを出して部屋に来たはずなのに、私を訪ねてくるなんてモノ好きがいること!
そう思って「どなたですか?」と声を張り上げると、すぐに返事が返ってきた。


















「私です、タムナスですよ」

「えっ、タムナスさん?」
















急いでドアを開けると、そこには赤ら顔のフォーン、タナムスさんが嬉しそうに立っていた。
彼はにこにこ笑って私に飛びつくと、ぴょんぴょんと踊りだす。














「よかった、よかった。助けに来てくれてありがとうございます!」

「助けに?」

「はい。スーザン女王は、あと数日で元に戻られるでしょう。ですから……」

「スーザンが元に戻る?ちょっと、詳しいこと聞かせて!!!」













私はタムナスさんの踊りをやめさせて押さえると、彼の言葉を一字一句逃すまいと耳をそばだてた。















「じゃあ、タムナスさんもあのワインが惚れ薬だってわかってたの?」

「はい。スーザン女王がナルニアを飛び出してまでラバダシ王子について行くはずがないので、おかしいと思ったんです」

「そっかぁ…。確かにおかしいよね。っていうか、ケンカした時点でおかしいのに、何で気付かなかったんだろ…」

も真剣にケンカしたからでしょうね」













タムナスはくくくと笑って、私の背中を優しく撫でた。
あ、なんか嬉しい。ホッとした気分になる。
















「うん、ラバダシ王子にファーストキスを奪われて、パニックになってたのかも」













ボソリと呟いた言葉に、タムナスさんは大きく反応した。耳をぴんと伸ばして、目を爛々とさせている。
そして、













「ここにピーター王がいなくてよかったですね」











と言った。でもなんでピーターの名前が出てくるのかな。
私が首を傾げると、タムナスさんはクスクスと笑う。















「なんで?」

「いえ、ラバダシ王子の身の心配をしただけですよ」













彼はそう言って私の肩をぽんぽんと優しく叩いてくれた。





















































数日経って、以前とは違ったスーザンが見られるようになると、私達はいよいよホッとしてナルニアに帰ることを考え始めた。
数日滞在しただけなのに、監視の目は日に日に強くなるし、私達への脅しも激しくなっていった。



幸い私はなんにもなかったけど、タムナスさんが大臣にナルニアへの帰郷の危険を脅かされたり、ラバダシ王子にエドマンドにスーザンが最近つれなくてどうのとか言われたり…、そんな感じの毎日が過ぎていった。
あと数日で結婚式という時、カロールメンのお城に飽き飽きしたコーリンはいきなり姿を消した。
本の話とは変わってしまったのに、やっぱりコーリンは一人で外に出てっちゃったんだ。
ってことは、コルに会えるのかもしれない!!!


みんなが慌ててコーリンを捜し回ってる中、私は一人落ち着いて部屋にいたの。
でも内心コルに会えるって気持ちで気分がハイになっちゃった。




そんな時、鋭い調子でドアが叩かれて急いで開くと、お化粧もせずに泣きそうな顔をしたスーザンが飛び込んできた。

















!」

「スーザン!」















彼女はパタパタと慌てて部屋に駆け込むと、私の肩をわしづかみにする。
そして真剣な表情で、こう言ったの。

















「私、何でこんなとこにいるの!?」
















スーザンの言葉は、彼女が何も覚えてないことを物語っていた。
きっと、私とのケンカもこれっぽっちも覚えてないのだろう。

















「おかしいわ、私がラバダシ王子の結婚相手なんて…」
















両手で頭を抱えると、スーザンはしゃがみ込んでしまう。
私はパニクってる彼女の肩に手を置くと、ソファーに座らせてあげる。私はその目の前にしゃがみ込み、スーザンの瞳を見つめた。



スーザンの瞳は沈んでるけど、ぎらぎら光ってはいなかった。
もう、惚れ薬の効果はなくなったんだろう。

















「スーザン、話してあげるから、ちゃんと最後まで受け止めてね」

「…わかったわ」















出来るだけ手短にわかりやすく説明していくと、スーザンの顔色がどんどん青ざめていった。
それはわかってたけど、途中で話をやめずに最後まで話してあげなきゃ、自分の知らない間だとしても、自分がやったことがわからないなんて嫌じゃない。

















「うそ……」

「本当だよ」

「……最悪。と大ゲンカしてナルニアを飛び出した?有り得ないわ、絶対有り得ない」

「スーザン…」

「ごめんなさい、私ったら…、ラバダシ王子にあのワインを飲まされてからそんなになってたのね」
















スーザンはしょんぼりと肩を竦めて私を見る。
その目には申し訳ないって気持ちが溢れるほど浮かんでて、簡単に許してあげれる気がした。

















「質問していいかな?」

「いいわ。何?」

「スーザンはラバダシ王子が好きじゃないんだよね?」
















これが気掛かり。
だって、惚れ薬を飲む前もラバダシ王子には靡いてたんだもん。

















「ええ、当たり前よ。

最初は気になってて…そのワインを飲んでからのことは覚えてないんだけど、少しずつ気持ちが元に戻ってく中で、彼の高慢な物言いや横柄な態度が目につくようになって……。ナルニアでの彼は、良い王子を演じてただけだってわかったのよ」

「そっかぁ!よかったぁ!!!」
















その言葉を聞いたら嬉しくなっちゃって、ソファーに倒れ込むくらい勢いよく抱き着いた。


















「もう、ったら」

「スーザン、会いたかったよ〜!」
















嬉しくて嬉しくてしょうがない。
スーザンは歳の近い唯一の女友達。親友なんだもん。
スーザンがナルニアから、私の前からケンカしていなくなっちゃうなんて考えられない!!!



スーザンに乗り掛かってぎゅうぎゅう抱きしめてた時、急に扉が開いてエドマンド達が入ってきた。

















「うわぁ、大変だ!」















エドマンドは入ってくるなり私達を見て驚いた。
口を真ん丸く開け、ちょっとひょうきんな顔になってる。

抱き合いながら部屋に入ってくるみんなを見ていると、皆が皆驚いた表情で私達を見ている。















スーザンが元に戻ったこと、みんな驚いてるのかな?














そんなことを思ってると、エドマンドがこっちに走ってきて私の体を持ち上げる。
なになに?と思って睨むと、彼はこう叫んだ。

















「またスーとケンカしてるんだな!」
















ええーっ!と叫ぼうかと思ったけど、私がスーザンに馬乗りになって抱き着いてたから勘違いしたんだとすぐにわかった。
だから叫ばずに「違うよ」と言う。
















「何が違うんだよ!」















エドマンドがあまりにも怒ったように言うから、思わず肩がビクンと震えた。

スーザンが大事なのはわかるし、私とケンカ中だから怒りたくなるのもわかる。
けど、そんな言い方恐いよ。

















「違うのよ、エド。私が元に戻ったから、は喜んで私を抱きしめてくれたの」

「えっ…」
















拍子抜けしたような顔で私を見るエドマンドに少しイラッとして睨むと「おろしてよ」と冷たく言った。
だって、冷たく言いたくなるくらいの扱いを受けてるでしょ?だから、鬱憤を晴らすように言ったの。



エドマンドは無言で私の体を下ろすと、気まずそうに視線を投げて来た。
でも今は相手にする気分になれないし、背中を向けてドアの方を見る。














あ、あれは…













ドアのところに集まってるナルニア人の中に、コーリンと同じ顔をしたぼろぼろの服の少年を見つける。
あれは絶対にコルだ。恐る恐る周囲の人の顔を窺いながら私達のやり取りを見てる。


そんな中、私達はバッチリと目が合ってしまい、彼が慌てたように目を逸らした。
















「…私、部屋に戻るから」














私は今あった嫌な気持ちも吹き飛んで、にこにこしたくなる気持ちを抑えて言う。
うわ〜〜〜、コルだ、コルに会えた!!!
嬉しくて、顔がにこにこよりもニヤニヤしちゃいそう!
















「コーリン、私の部屋で休みましょ」

「!!!」














私が彼の手を取って力強く握り締めると、コルは驚いたようだった。
けど抵抗するわけにもいかなくて、小さく頷くとすごすごと引っ張られてくる。

困ってるけど…カワイイ。















「タムナスさん。あとでコーリンに飲み物と食べ物を持ってきてくれる?」

「はい。わかりました、

「ありがとう」













みんなが呆気に取られてるのがわかる。だって、背中に色んな視線を投げかけられてるんだもん。
中でも、スーザンとエドマンドの視線はよくわかった。

スーザンは申し訳なさそうな視線。
エドマンドはむっとした睨むような視線。

それに気付いたらすぐにでもこの部屋から出たくなっちゃった。
だからすぐにドアを閉めて私の部屋に入った。

















「コーリン…ううん、きみ、大丈夫?」

「えっ?僕が違う人だって気付いてたの?」















コルはびっくりして後ずさった。
きっとつかまって処刑されたりしちゃうんじゃないかって恐い事考えたんだろう。
私は彼に手を伸ばすと、その体を抱きしめた。
















「だいじょうぶ。大丈夫だから…」

「……うん」













彼もわかってくれたのか、その緊張を解いてくれた。
そういえば、よく見たら顔が真っ黒ねこの子。

私は濡れた布を持ち出すと、その顔をゴシゴシ拭いてあげた。















「痛いよ、痛いってば」

「ごめんね。でも真っ黒なんだもの」

「あ、そっか。きみのドレスを汚しちゃったかもしれない。ごめん」

「いいの。私が勝手に抱きしめたんだから」

「抱きしめ…//////////」













コルは真っ赤になって私をおずおずと見つめる。
あ、そっか。私ってばコルと同じくらいの歳なんだからこんなことしたらおかしいよね。
だって、本当はお母さんくらいの歳で、気持ちもお母さんの気分だもん。














「きみ、赤くならないで。私ね、もう30歳になるの。だからお母さんだと思ってくれてもいいよ」

「30歳!?……どう見ても僕と同じくらいだよ?」

「見た目じゃわからないことはたくさんあるんだよ。ナルニア人はそうなの」

「ナルニア人……僕もナルニア人なのかな」

「そうだよ。私、知ってる。あなたが赤ちゃんの時を知ってるの」

「えっ!?」













驚いた顔を見せたコルに、にっこりと笑う。













「だから絶対カロールメンを出て。そしてアーケン国に入るの。そこで全部知ることが出来るよ」

「僕を一緒に連れてってくれないの?」

「それはだめ。あなたにはお友達が一人と二頭いるでしょ?」

「!!!」











どんどん驚いてくれるから、ホントカワイイ。
でも、ちょっと言いすぎたかな?知らせちゃいけないこととか言ってなければいいけど。
















「きみは、なんでも知ってるんだ。ティスロック王よりすごい人?」

「ティスロック王…?ああ、そんなものじゃないのよ。私は守人なの」

「守人?」

「そのうちわかるよ。あ、名前を言ってなかったね。私は、よろしくね」

「うん、ぼくはシャスタ。宜しく、














その時、軽いノックが聞こえてタムナスさんが入ってきた。
彼はたくさんの料理を大皿に乗っけて、片手には飲み物も持っている。
















「コーリン王子は何故ここから逃げ出したのか話してくれましたか?」

「ううん、まだ全然。エドマンドとスーザンはどう?」

「再会を喜んで、今はどうやってこの国から逃げ出すか話し合っています」

「そう……。

船を使えばいいの。というか、船無しではこの国から逃げられないの」

「鏡の海号で?」

「うん。あとはタムナスさんが考えてね。決まったら教えてくれればいいから」














ちょっとしたヒントを出して、タムナスさんに提案してもらえれば、あのエドマンドもすんなりその考えを受け入れるだろうし、すぐにタシバーンの都から出られる。
私が言ったってきっと、そんなこと出来っこないとか考えずに跳ね除けられそうだし。














、最後まで考えてくれてもいいんじゃないですか」

「いや。あとはタムナスさんの番」

「……はあ。あなたはルーシーよりも気まぐれなんですね」












彼はそう言うと、ぶつぶつ言いながら部屋を出て行った。
さて、と思ってコルを見ると青白い顔をしてる。
そっか、こんな計画聞いちゃったからびくびくしてるんだな!















「今のは誰にも内緒だからね、シャスタ」

「う、うん。タシの神に賭けて誓うよ」













びくびくしたコルが言ったのはカロールメンの神様。
どうせならアスランに誓って欲しかったけど、まだ無理だもんね。



私は「約束だよ」と言いながらコルと小指を結んだ。
















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来たばっかのタシバーンですが、もう逃げます(笑
スーザンとは何事もなく仲直りできました^^
エドマンドとはどうなるのでしょ?
次回へ続く!!!


2008/09/10






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