暑い、と思って手をパタパタさせると、コルがそこら辺のものを掴んで扇いでくれたけど、いつまでもそうしてもらうわけにはいかない。
だって、今は少年シャスタだけど、そのうちアーケン国の跡継ぎのコル王子に変わるんだもん。



王子なんて、私より位が高いんだから……、やっぱり扇いでもらうのはやめよう。

















「もういいよ、シャスタ」

「大丈夫かい?僕はここで育ったから暑いのには慣れてるんだ」

「そっかぁ…。ナルニアはもっと涼しくて過ごしやすいんだよ」

「そうなんだ。もっと過ごしやすいってどのくらい?夜の砂漠くらい……じゃ寒すぎだもんね」

「あはは、そんなに冷え込まないよ」

「この気候に慣れてるから過ごしやすいっていうのがわからないんだけど、きっと素晴らしいんだろうなぁ」















コルは夢見るように笑って溜め息を吐いた。















「早く、ナルニア国に行きたい」

「コル…」

、僕はなんでこんな目に合うの?僕はナルニア人なのに、なんでカロールメンにいるの?

は、知ってるんじゃないの?」















じっと見つめられて、思わず口をつぐんでしまう。
知ってるなんて言えない。だって、誰にも言ってないことだもん。















「コル、あのね、私は…」

「ごめん、大丈夫!」















言い訳がましく吐いた言葉を、聞いて来たコル自身が遮った。
彼はくしゃくしゃな顔を両手で包み込むと、パンと頬を叩く。















「僕はいかなきゃ。みんな、待ってるかもしれない」

「そうね。でも明け方になるまで待たなきゃ。今お城の壁づたいにに下りても、兵士達のかっこうの的になるだけだよ」














コルはあっとした表情で頭を掻く。
よく考えた上でその考えが当て嵌まったようで、気まずそうに笑った。















「コーリンも夜中には帰ってくるでしょうよ。だから、それまでは私と話そう?」

「うん、わかったよ











































コルにナルニアの話をたくさんしてあげると、僕が聞いた話はこうだったんだ、とか比べるようななった。
きっと彼が物言う馬のブレーから聞いた話は、何年も前のブレーが子馬だった頃の話なんだ。
だって、色々な部分が美化されてて、ナルニアがいよいよ素晴らしい国になっちゃってる。



その話を少しずつ訂正しながら詳しく話してると、またまた軽いノックと共にタムナスさんが現れた。
















、決まりましたよ!」

「タムナスさん!どうなったの?」















彼が入って来た途端、コルは動作や質問をピタッと止めて静かになる。
そんなコルがいることも気にならないのか、タムナスさんは軽い足取りで私の手を取ると、ぴょんぴょんスキップした。
















「船でお祭りをやるんです!そして荷物を積み終わったとこで、ハイ、おさらば!」

「わあ、スゴイ!さすがタムナスさんが考えることは違うね!」















そこまで言った時、スキップが急に止まった。
何だろうと思ってチラリとタムナスさんの顔を見ると、じとっとした視線が帰ってきた。
















「そら、そこまで知ってて私にヒントをくれましたね?」

「そ、そんなことないよ!」

「いいえ、あなたは知ってました」
















ちょっとどもっちゃったからかな…、タムナスさんは確信を得たように頷くと、私の手をパッと離す。

















「まあ、考えるのが楽しかったので許してあげます。

さて、我々は船上パーティーの準備をしてまいりますので、とコーリン王子はこの部屋でゆっくりとお待ち下さいね」
















タムナスさんはそう言うと、蹄をカツカツ鳴らしながら、走っていってしまった。



















私とコルは少し寝て、また夜中に起き出した。だって、コーリンが帰ってくるはずだからね!
案の定、忍び足で見るも無惨な姿になったコーリンが私の部屋に入ってきた。
















「やっぱりはいた。他の奴らはどこへ行った?」

「この国から逃げる準備をしてるわよ」

「ふうん……あれ、きみは誰だ?」














コーリンはコルの顔をまじまじと見つめると、私を見上げる。
その目が、「何で僕と同じ顔をした奴がいるんだ?」と言ってるのがわかる。












そういえば、こうなった時の言い訳を考えてなかったや。
どうしよう、なんて言おう。












困ってると、コルはコーリンから視線をはずして口を開いた。
















「ぼく、誰でもないんです。特別だれそれってもんじゃありません」














彼はそう言うと、再びコーリンに視線を戻す。















「あなたが入ってきた場所から、ぼくは抜け出せますか?」

「うん、たぶん大丈夫。、手を貸してくれ」

「わかった」














私達はみんなで集まってる部屋に戻って窓を開けた。
夜明けはまだまだ、外は暗い。














「こんな暗い中、大丈夫なの?」

「大丈夫。さあ、行かなきゃ。

ありがとう、コーリン王子」

「気をつけていけな」














コルとコーリンががっしり友情の握手を交わすのを見て親ばかっぽい微笑みを浮かべちゃう。
二人はまだ双子だって気付いてないけど、仲の良い友達にはなったよね。





うふふ、嬉しい。
















「ありがとう、

「いいえ、愛しい子」














ふわっと笑ったコルの頭に手を回して抱きしめる。
ここで手放したくない。でも、これはコルの冒険だから、私は何かしちゃいけないんだよね。
















「気をつけて、また会いましょうね」

「う、うん//////」














コルは真っ赤になりながら、おぼつかない手つきで窓から壁を伝って下りていった。
















どうか、無事でありますように。

















「さ、コーリン。私達もこの国からずらかる準備するわよ!」

、ずらかるって…」














ぼろぼろなコーリンは、私の意気込みを聞いておなかを抱えて笑っていた。



ホント、カワイイ子供達だよね!!!















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君も子供です(笑)姿がね^^
さ、次はナルニアに戻るかな…?


2008/09/16








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