「無事だったんだね、!」

「シャスタこそ!」


















エドマンド達の野営地に到着した途端、待ってたかのようにコルが駆け寄ってきた。
ボロボロの姿のまま私に抱き着くと、頬を擦り寄せてくる。

















「僕を捜しにいってくれたって聞いたんだけど、どうすればいいかわからなくて。コーリンはここで待ってた方がいいって言うし」

「うん。ここで待ってたのが正解だよ」

















にっこり笑って言うと、コルも嬉しそうに笑った。

















「仲いいな、。ダーリンが妬くぞ」















コルの後ろからひょっこり顔を出したコーリンがニヤニヤしながら言った。
もう、コーリンたら!
















「コーリン、私とダーリンはそういう関係じゃないよ」

はだろう?ダーリンはを妻にしたくてしょうがないんだ。

でもにはピーター王もエドマンド王もいるしな。ダーリンは望み薄か」















この、マセガキ!
と思いつつ、コーリンの頭をぽかりと叩く。
そんな私達のやりとりを、コルはぽかんと見つめていた。















は本当に大人の女の人なんだね。そうは思えないよ」

「そのうちわかるよ、きみ。はスーザン女王ほどじゃないけど、ルーシー女王よりは大人なんだ」
















当たってるけど、なんだか複雑。

うんうん頷くコルの背中をバシバシと叩いて、コーリンは私のとこから彼を連れ去ってしまった。
一人ぽつねんと残された私は、野営地を見回して気付く。






あらま、一つ鎧と剣が残ってるじゃない!
きっと、多めに持ってきたんだ。何かある時用に。






戦いは嫌だけど、あそこまで怖い思いをさせられて黙ってる私じゃないもん。
誰が反対しようと、この戦いに参加するんだから!

私はそう決心すると、誰にも気付かれないうちに鎧と剣を草むらに隠した。
























































「駄目だ。絶対許さないよ」

「でも、も復讐したいでしょう?」
















朝早く、エドマンドとルーシーが私の戦い参加のことで言い合っていた。
私が起きた時には、言い合いは勝手に始まってたんだよね、あはは。















「ルー、は怖い思いをしたんだ。戦わせるなんておかしな考えはやめろ」

「あらエドマンド、女性は強いのよ。絶対復讐したいはずよ」

「あのな、ルーとは違うんだ。復讐なんて…」














珍しくエドマンドが真っ赤になって怒ってる。
なんか、こんなことが十何年前にもあったような…。



あの時はピーターが怒ってて、エドマンドが味方だったのに。
歳をとったのかなー。















「まあまあ、エドマンド王、ルーシー女王。いつまでも言い合ってますと、ラバダシにアーケンを落とされますぞ」















いいところにペリダン卿が止めに入った。彼ってこういう役目が合ってるんだよね。
ふう、これで一段落かな。















「まあ、いい。ペリダン卿の言う通りだ。ルー、行こう」

「そうね。アーケンが落とされたらもともこもないわ」














二人は私を忘れ去ったようにきびきび支度すると、整列している兵達に前進の命令を下した。
そして彼らに着いていく兵列の最後尾に小さな体の兵が二人。

ドワーフとは違った細い体で鎧を着ている。
一人は覚束ない動きで、しきりに隣の兵に教えを受けているし、きっとコルとコーリンだ。

















「コーリンはいいとして、コルは危ないなぁ」
















私は素早く草むらに駆け込んで鎧を着けると、剣を腰に差して走り出した。



でも、鎧も剣も重い!
なかなか追い付けそうもないと感じた時、野営地に残されてる馬を見つけた。
まるで私のために残されたかのよう!だって、一頭だけだよ?




それも
















「そこにいるのはじゃありませんか!」

「えっと、もしかしてジョージ?」

「そうなんです。そうなんですよ!

そうか、目の前に金色のたてがみのアスランが現れたと思ったらいきなりこんな場所に立っていた。これは、と共に戦に出るためだったんですね!」














ジョージは感極まる、というようにヒヒンといななくと、足をパカパカと上げた。
その上、ゴロンと転げ回り、背中を地面に擦り付ける。




きっと嬉しいからだろうけどね、今から私が乗るんだよ?




彼は到底軍馬には向いてなさそう。
まあ、しょうがないかぁ。
知った仲だし、普通の馬を乗りこなすより楽だもんね。
これでおしゃべりだけしてくれなければ、きっと大丈夫なはず。


















「ねえジョージ」

「なんだい?

「絶対にしゃべらないでね」
















そう言うと、ショックを受けたのか硬直してしまう。
物言う馬達は気高い…というか、しゃべらない馬達を差別視してんだよ。



















「そんな、物言わない者を演じるなんてプライドがズタズタです…」
















ほらね。
しゃべらないだけでズタズタになるなら、なってもらおうじゃない!


















「ズタズタでもベタベタでもいいから、絶対にしゃべらないで。

一言でもしゃべったら……」

「しゃべったら…?」
















ジョージの喉がひっくと音を出した。
でも知らんぷり。

だって、ジョージはしゃべり過ぎなんだもん。
戦いの最中にしゃべり出してなんかあったらたまったもんじゃない。


















「しゃべったら、アスランにあなたが二度と喋れないようにしてもらうから」

「ヒイィッ!」

















ちょっと脅しすぎたかもしれないけど、微妙にリアルでいい感じでしょ?

ジョージは悲鳴を最後に、まったくしゃべらなくなってしまった。























































「そこのお二人はドワーフかね?」



















声を低くして後ろから話し掛けると、コルとコーリンは肩をビクリと震わせた。



ああ、楽しい!



見つけた兜を着けたから、コルとコーリンと共に誰だかわからなくなってるんだ。
















「あ、ああ。俺達はドワーフだ」
















咄嗟の機転を利かせてコルが言った。でもドワーフにしては声が高いぞ!
なーんて、私も他人のこと言えないけどね。















「そうか。俺はスカイという。

共にタルカーンをギタギタにやっつけよう!」















そう言うと、今度はコーリンが口を開ける。















「そうだな。共にけちょんけちょんにのしてやろう!」















けちょんけちょんなんてそんな言葉をいつ覚えたんだろ。
笑いそうになるのを我慢して二人の肩をバンバンと叩くと、意気揚々と軍に着いていった。


















ふふ、ラバダシ王子、待ってなよ〜!
乙女の恨みは深いんだからね!!!


















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戦い参加☆
泣きながら待ってるなんて性に合いません(笑)
頑張って恨みを晴らしましょう!


2008/10/10







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