アンバード城を出る朝、コルとコーリン、リューン王とアラビスは揃いに揃って城門まで見送りに来てくれた。
彼らは艶やかな衣装をゆったりと着こなし、平和なアーケン国を表している。























「帰ってしまうのがもったいないわね」

「ルー、僕たちにはナルニア国があるんだよ」

「エドマンド、ルーシーもわかってるわよ。でも寂しいよね」

「そうよ。あんなにアラビスと仲良くなったのに」




















ルーシーとアラビスは親友というくらいに仲良くなっていて羨ましいくらいだった。
まあ私はコーリンとコルとずっと一緒にいたんだけどね。


















、もう帰っちゃうの?」

「ごめんね、コル。今度はあなたがナルニアに来て。もちろんコーリンとアラビスと一緒にね!

夏はケア・パラベルの浜で泳ぎましょう。秋は森に狩りに出ましょう。冬はタムナスさんの家の近くの街灯を見に行きましょう。春はたくさんの花を摘みにいきましょう。

やることが目白押しだからね!」

「うん、わかった!楽しみにしてるよ、

「うん、私も!」



















それぞれの相手と話し、私たちは馬に乗り込む。
私もジョージに乗ろうとした時、ダールに話し掛けられた。



















、行くのか?」

「え、うん…」

「ダーリンも連れて行けばいいのにな」

「ええっ!?」



















あまりの驚きにそのままの声が出てしまった。
ダールったらなんて言った?ダーリンも連れて行けばいい…?


















「あなた達二人でアンバードの騎士でしょ!どっちが欠けてもだめだよ!」

「でもな、…。

ダーリンはそれを望んでるんだ。弟はそれほど君が欲しいのさ」





















ニヤリと笑うダールに圧倒されたのとその発言に顔が真っ赤になる。























「な、なんで……?」

「それは好きだからだろう?」




















くすくすからかうように笑われて、顔が赤いのは恥ずかしいのか怒ってるからなのかわからなくなった。




















「…!ダール、何をしている!」

「やべ、ダーリンが来た」


















ダーリンがこちらに気付きエドマンドの元から歩いてくると、ダールは走って逃げていく。




















、近いうちにアンバードにしか咲かない花の時期がくる。今年はそれを贈る」

「ありがとう、ダーリン」



















もじもじしながらお礼を言うと、ダーリンは「ダールに何か言われたのか?」と不思議そうにしていた。



欲しいとか、好きだとか…ダールが言ったことは内緒にしとこう。
うん、そうしよう。













































「じゃあ、また来ます。リューン王もお元気で…」

「ああ、。エドマンド王、ルーシー女王、ピーター王とスーザン女王に宜しく伝えてくだされ」

「はい…!!」





















私達は馬上から思いきり手を振って別れを惜しんだ。




































朝早く出たので、ちょっと飛ばして夕方遅くにはナルニアに到着することが出来た。
出迎えてくれたのはスーザンとピーター。彼は巨人退治が無事に終わったみたい。




















「お互い無事でよかった」


















エドマンドが嬉しそうにピーターと抱擁を交わすと、ピーターは小さくため息を吐いた。




















「無事…とまではいかなかった」

「えっ…」


















思わず声を上げてみんなに注目される。
口に手を当てて静かにしてますってのをアピールしてみた。






















「オレイアスが重傷だった」

「オレイアスがっ!?」






















口に手を当てたのも忘れて、私は悲鳴を上げてしまった。



そんな、オレイアスが重傷…!?























「大丈夫だよ、。今は谷で静養してる。ぴんぴんしてるさ。

それに、君が助けたんじゃないか」

「何の話?私がオレイアスを助けたの???」






















キョトンとした顔で言うピーターに同じ表情で疑問を返す。
私はずっとカロールメンとの戦いに出ずっぱりだったはずだよね。





















「オレイアスが言うには、夢の中で助けてくれたって…」

「夢の中…?」






















夢の中って………あっ…





















「あれか!」



















ポンと手を打つ。
そういえばそんなとこでオレイアスに会ったよね。
確か、スーザンのことで困ってたから相談した気がする!
























「やっぱり会ったのか」

「うん。思い出せなくてごめん。でも私が助けたなんてことないと思うけど…」



















むしろ、私が助けてもらったし。
あんなに優しく抱きしめられて……それで……



















その時思いっきり顔が赤くなった。
だって、思い出しちゃったんだもん!!!



















私ってば、あの時、あの時……夢だと思ってオレイアスに告ったよね!?
夢だと思ったのに!!!





















、何で赤くなってるのさ?」

「や、な…何でもないよ!」

「怪しいなー…」


















エドマンドが訝しげに私の顔を覗く。
覗かれたことでもっと顔が赤くなってしまった。




















「もしかして、夢だと思ってオレイアスに告白したんじゃないか?」

「!!!????」















ぶはっと吹き出して、驚いて、後ずさってしまう。
あわわ、何でいきなり当てちゃうの?
ってか、何で私がオレイアスを好きだったの知ってるの?























「……まさか、図星だった……?」

「ち、ちが!!!オレイアスはキャシーのお婿さんでしょ!私が何で!!!」

「……ま、まあそんなに慌てるなよ

「慌ててないよ!びっくりしちゃって……」



















その時、ドア向こうでガシャンという何かが割れる音がした。
私とエドマンドはすぐにドアを開けたけど、そこには四人分の割れたティーカップの残骸だけで誰もいない。




















「……これって?」

「まずいよ、。キャシーだ」

「え!?」

「たぶん、今の話聞いてたんじゃないかな。キャシーはがオレイアスを好きだったの知ってるからさ」

「ぶっ!な、何を…!」

「隠さなくてもがオレイアスを好きだったって事はピーター以外は知ってるよ」

「……」

「とりあえず、カップを片付けようか」

「うん……」





















どうしよう…
キャシーは怒ったのかな。悲しくなったのかな。

でも、子供もいて幸せなはずなんだから……こんな逃げるようなことしなくても大丈夫なのに。






















私、告白はしたけど、「好きだった」って言ったよ。
もう、昔のことなんだから。

だから、大丈夫なんだよキャシー。不安になったりしないで。



















せっかくナルニアに帰ってきたのに、また波乱がありそうで心が休まらない。
私は一体いつになったら、ナルニアで心が休まるんだろう?





















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『馬と少年』編終了です☆
次は『ライオンと魔女』の終わりの方ですね^^
四人が帰る時とその後のナルニアになります。


2008/12/06









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