「おはよう、」
「おはよう、スーザン」
今日は特別。
おはようの抱擁とキスをする。
「あら、珍しいわね。でもなんだか、その姿のに慣れてないから恥ずかしいわ」
「ふふ、そんなこと言わないで」
「おはよう!スーザンもおはよう!」
「「おはようルーシー」」
私とスーザンは合わせておはようを言うと、二人でルーシーを抱きしめた。
「ちょっと、変なの!でも楽しいかも…。あっ」
「おはよう三人とも」
「「「おはよう、エドマンド」」」
今度の餌食はエドマンドだった。
彼は不思議そうに私たちの顔を見回すと、くすくすと笑った。
そういえば、エドマンドの話って何なんだろ。
あんな畏まっちゃって、ピーターに遮られなければ……
昨日のことを思い出して頭が爆発しそうになる。
あんな真っ赤になったのは初めてだよ。
まさか、あんなこと言われるなんて。私、どうしたら…
「あ、ピーターだわ」
ドッキン!
名前を聞いただけで胸が高まる。ヤバイよ〜!
「やるわよ、みんな!!」
ルーシーが声をかけ、スーザンとエドマンドが抱擁をするために手を構える。
でも…
「おはよう、」
ピーターは何にも目をくれず、ずんずんと私のとこまで歩いてきた。
「お、おはようピーター、今日はいい天気になってよかったね」
「ああ」
あわわわ、ピーターったらわけあり気ににこにこしちゃってるし!
スーザンとルーシーも…ニタニタしてる。
「そう言えば、僕が来た時に三人とも何かしようとしてたけど」
ピーターは弟と妹を見回した。
「ああ…」
エドマンドはそう言うと、腕を上げて抱き着く用意をする。
「?」
「いくぞっ!」
三人は、ガバリとピーターに抱き着いて「「「おはようっ」」」と言った。
「わっ…な、何なんだ?でも…からはないのかい?」
えーっ!
昨日のことがあったから敢えて避けたのに、ピーターったらあぁ…。
「そーよね。だいたいからやりだしたんだから、責任持って最後までやるべきよ」
「スーザン!」
スーザンはピーターの背中を押して私の前にと押した。
ピーターはにこにこと笑っている。
うー……、確かに私がやりだしたし、最後までやればこんなことにもならなかったし…。
ああーっ…
私は大きく深呼吸をすると、ピーターの胸の辺りを見た。
あ、えと変な意味じゃなくて、目線がその辺りだったってこと。
フワリと手を広げ、ぎゅっと抱き着く。
「おは…」
「おはよう!」
ピーターは私が挨拶する前にそう言うと、頬っぺたにキスをした。
そりゃあもう、真っ赤になったこと!!ヤバイくらいに。
「やだ、ったら真っ赤になってるわ」
「ずーっと15歳だったから、中身も年取ってないみたいね」
二人がくすくす笑うのを睨み、私はピーターの胸を押して離れた。
「帰ってきたら…」
「だ、大丈夫だよ。ちゃんと話きくから…」
「ああ、楽しみにしてるよ、」
膨れて見せるとピーターはにこにこと笑ってまた私を抱きしめた。
も〜っ、また赤くなっちゃうよ!!!
「じゃ、行くか」
「おう!行くよ、姉さん、ルー」
「ええ」
「はぁい」
四人は馬に跨がると、カツカツと城門へゆっくり歩き出す。
私は邪魔にならないように後ろを歩いた。
彼等の背中を見て、愛おしくなった。
こんなに愛すべき人達がいただろうか。兄弟でもない私を同じように大切に思ってくれて…。
「じゃあ、行ってくるよ」
エドマンドが馬上から私の手を取った。
「うん、いってらっしゃい」
「浮かない顔するなよ。夕方には戻るからさ。兄さんからいい話が待ってるから楽しみにしてな」
エドマンドはそう言ってくすくすと笑った。
もう顔が赤くなることはなくて、自分が微かに笑った気がした。
「うん、楽しみにしてるよ」
「…?」
「行くぞ、エド!!!」
ピーターが彼を呼んでエドマンドはスッと手を離した。
急に温もりが消えて寂しくなる。
もっと握っていたかった。
けど…
「いってらっしゃい!気をつけてね!」
彼らは帰るんだから。
だから、ちゃんと見送ってあげなきゃね。
「ああ、行ってくるよ!」
かなり先に行ってしまった兄妹を追って、エドマンドは走り出した。
四人に向かって大きく手を振る。
ずっと、その後ろ姿が見えなくなるまで。
「いってらっしゃい、またね」
今度会うまでさようならと、私はその場で泣き崩れた。
その日、やっぱり四人は帰って来なかった。
何日経っても音沙汰がないから、さすがにおっとりしたナルニア人達も焦りだした。
その間、私はどうしたら一人でナルニアを切り盛り出来るか悩んだの。
ピーターがどうしてたか、エドマンドの手をどうやって借りてたか。
でも全然思い出せなかった。
私ってば、いっつもスーザンとルーシーと一緒にいたんだもん。
仕方なしに、私は今や隊長となったヘラクスのとこに行った。彼
なら、私に手を貸してくれるはずだもんね。
「そうか、王や女王はもう帰って来ないのか」
四人が帰ってくることがないと告げると、ヘラクスは静かにこう言った。
すごく寂しそうでとても胸が痛い。
「が残ってくれてよかった。お前がいるなら、ナルニアは大丈夫だ」
ヘラクスは全力で協力してくれると言ってくれた。
でも、彼だけじゃまだ足りないこともわかってる。
彼もそれに気付いてて…
「オレイアスのところに行こう」
「!」
「俺が隊長になったとしても、星読みが出来ないせいでまだ反発してるセントールがいる。
今回の事は国が一丸となっていかなきゃならないんだ!だからオレイアスの力を借りる」
「ヘラクス…」
オレイアスはヘラクスを後任に選んで引退したんだよね。
今は家族で幸せに生活してるだろうな。
でも今回の事で彼を巻き込むと…
「俺が隊長になったくらいだぞ、キャシーだってもっと大人になってるだろ」
「…うん…」
苦笑しか出来ない。
紅茶セットを落として逃げていった彼女はついこの間の話。
とても彼女が大人になったなんて思えない。
子供もいて、オレイアスはあなただけの人になっているのに。
「さ、乗れよ」
「えっ、いつもなら放り投げて乗せてくれるのに」
ヘラクスの言葉に驚いて見返す。
するとばつが悪そうに頭を掻いて言った。
「あのな、お前がそんな大人になって体でかくなったのに放り投げられるかよ」
「ああ、そっか」
って、そんなでかくなってないし!
まあいいか、ヘラクスが紳士的にしてくれるなんていつ以来だろうって感じだしね。
「じゃ、乗らせてもらいます」
「お、おう」
乗りやすくしゃがんでもらってその背中に乗る。
生の温もりが体全体で感じられる。温かでとても力強い。
オレイアスがいなくとも、ヘラクスだけで百人力な気がした。
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四人が帰還しても、ヒロインは残ったままです。
あとちょっとだけお話は続きます☆
2008/12/31
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