「うっひゃぁ…」

















素っ頓狂な叫び声を出して、私は少し恥ずかしくなった。
普通だったらもっと恥ずかしかったかもしれないけど、でもそんな「恥ずかしい」ということを考えてる余裕がなかったんだ。

だって、私ったらまたどっかに落ちていってる。
前もそんなことがあったよね?

















「ちょっとまた落ちてるよーっ!」

















誰に言った不平かはわからないけど、そう言うしか気が紛れなかったんだ。
だって落ちてるんだよ?この後どうなるかわからないんだもん。

前はアスランが出てきてくれて…確か落ちてるって考えが間違ってるみたいなことを言ってたような…。

















「……そっか、これは落ちてるんじゃないんだ!」

















そう、これは落ちてるんじゃない。錯覚だ。
自分で落ちてるって思うからそういう風に感じちゃうんだよね。

私はアスランに言われたかのように考えることにした。
だって自分で自分に思い込ませるのは難しいけど、アスランに言われたことにすればそう思える。
って思ったんだけど、アスランに言われたように自分を思い込ませることが難しかったみたい。

















「やっぱり、落ちてる…」

















落ちてる感覚は納まらず、私はそのまま何か硬いものに激突した。

















ガチャン!

















「痛っ!!!」

















骨が折れるとこまではいかなかったけど、これは絶対アオタンが出来るよ。もしくは腫れ上がるとか。
でもよく考えてみると、こんな硬いものに激突したのに大怪我しなかったんだからマシなんだよね。
そう思わなきゃ居た堪れないもん。

















「ここ、やっぱりナルニアだよね」

















辺りを見回すけど真っ暗でよくわかんない。たぶん暗さに目が慣れてないんじゃないかなぁ。
そう思って目を凝らして見ると、ようやっと景色が見えてきた。

















「ん…?」

















辺りに見えるのは屋根、屋根、屋根…
街の高台にいるような感じだけど…

















「……あれ、ここって!!!」

「何者だ!?」

















見覚えある場所だ!って思った時、後ろから声がした。
その上、首に冷たくて細いものが当たる。

















「っ…」

















何が首に当たっているかは一目瞭然。だてにナルニアに二十年もいたわけじゃないもん。
それに言われた言葉が私の存在を警戒してるってわかる。

















「名を名乗れ」

















冷たくて細いものがさっきより面積を広げて肌に当たる。
この人本気だ。

















「名乗るから、首に当ててる剣を外してくれない?」

「そう言って外させて逃げる気なんだろう」

「そんなことしないよ」

「真夜中にこんなところにいる奴の言葉なんて信じられない」

















それはそうだよね。この人が言ってることのが正しいもん。
だってここはテルマールの街。それも街を見下ろせるような場所にある硬いものの上。
考えたらお城の屋根でしかないもん。

















「わかった。ちゃんと名乗ったら剣を外してくれる?」

「…名前と目的を聞いたら考える」

「…うん、いいよ」

















いいよって言ったものの、名前は言えても目的が言えないよ〜。
だってここってテルマールでしょ?ナルニアのこと言ったらダメなわけだし。
二年前にちょっと来た時に会った男の子はナルニアのこと話しても大丈夫だったけど、この人が大丈夫な保障がないよお…

ってあれ、そう言えば二年前に会った男の子は博士にナルニアの事を教えてもらったとか言ってたよね。
ってことは、その博士に会えばナルニアについての話が出来るんじゃない!?

えっと、博士は確かテルマール人と小人のハーフだったよね。うん、今回もちゃんと内容を覚えてる。最初みたいに物語を忘れてない。
博士に会えば、アスランの守人を知ってるだろうしテルマールを出てナルニアに行けるかもしれない!

















「どうした!やっぱり名前も目的も言えないんじゃないのか?」

















後ろの男の人は黙った私を脅すように言った。でも考えの纏まった私はもう大丈夫。

















「言えるよ!

名前は。博士に会いに来たんだよ」

「博士に…?」

















首筋に当たってる剣が震える。相当驚いてるみたい。
やっぱまずかったのかな…。まさかもうカスピアンが逃げた後で博士も捕まってるとか?

















「博士に会いにきたなら、なぜこんな屋根にいるんだ?」

「星を見ていたんだよ。テルマールから見る星は最高だから」

















二年前の男の子の言葉を言う。ナルニアから見る星の方が最高だけど、テルマールから見る星もきれいだよ。

















「……そう…か。わかった、博士のところに連れて行こう」

「ありがとう」

















私がお礼を言うと、彼は剣を下ろして私に顔を見せてくれた。
思ってたより若くてカッコイイ男の人だ。
最初は警戒して脅されたけど、結果的に私のこと信じてくれたのかな。いい人に会えて良かったかも。

















「ここからなら博士の部屋はすぐそばだ」

「うん」

















彼は私を城の廊下へ下りる窓へと導くと、下りるのを手伝ってくれた。
そしてまだちょっと警戒しながらも博士の部屋へと連れて行ってくれたんだ。

















**********

久々の文章打ちで荒々しい文面になっていて申し訳ないです。
前回までの話はちゃんと読み直してから打ち始めたのですが、
久々過ぎて難しかった…
なんか色々申し訳なくなってきました(笑


2010/01/13






69話