ぼーっと夜空を眺めている私のところに、作戦会議を終えたリーピーチープとピーピキークがやってきた。
きっと私にも作戦を教えてくれに来たんだと思う。
私の足元に来た二人を見ると、リーピチープは納得のいってない表情でピーピキークはくすくす笑い顔をしていた。
リーピチープにとって気に入らない作戦だったのかな?
「……作戦にの名前が出てきたが、王子は「彼」と言っている」
「どういう意味、それ?」
リーピチープの言葉が理解できなくて聞き返す。
するとピーピキークがわかりやすく答えてくれた。
「カスピアンはあなたを「彼」と言っています」
「……ああ!」
そのことか!と合点がいく。
するとピーピキークはやっぱりという表情になったけど、リーピチープはますます表情を曇らせた。
「王子がを男性と思っているのをあなたは訂正していないんですね」
「そういうことなのか!!!」
ピーピキークの言葉にリーピチープは驚愕した。
そして合点がいった表情に変わったの。
「うん、なんかめんどくさくて。
だってカスピアンたら私のことアリの脳みそほども女の子だって思ってないんだもん」
「そうなんですか?どう見ても女性ですが。隊長はどう思われます?」
「うーん、あまり女人を気にしたことがないが……はお嬢さんだ」
「女人て…ふふふ、変な表現だなあリーピチープは。それもお嬢さんとか言い直してるし」
リーピチープには敬語を使わないようにしてもらったの。なんだかくすぐったくて。
ピーピキークにも同じように言ったんだけど、彼は敬語を使うのが普通らしく同輩にもそう喋るんだって。
「は強いのか?今回の作戦で重要な役割を与えられていたぞ。……大丈夫なんだろうか」
「え!?重要な役割!?」
ピーターとかエドマンドの時は絶対後衛か皆を見守る役目にしかされなかった私が重要な役割を!?
一体どんな役割を当てられたんだろう…
カスピアンは私が女の子ってわかってないし剣の試合も自分が負けてるからそうしたんだろうけど、周囲の反応は大丈夫だったのかな。
なんか気になる。
「切り込み隊長になっていた」
「ええ〜〜〜〜〜っ!」
一番危ない位置に来てる!!!!!!
そ、そりゃテルマールではカスピアンの付き人だったからこき使われてもしょうがないけど…
うーん、でもそういうことなら頑張らなきゃね。カスピアンとナルニア人を守るのも私の役目だもんね!!!
「隊長が自分が切り込むのでは後衛でとお願いしたのですが、王子の中ではもう決定しているようで譲って頂けませんでした」
「うん、そうだろうね。せっかくだから頑張るよ!さ、もう行動するでしょ?行こう」
私はにっこりと笑顔を作ると二人を急かした。
だってあんまりにも心配そうで(リーピチープは私の剣の腕の心配・ピーピキークは私自身の心配)見ていられなくなっちゃったんだもん。
*
「テルマール人を絶対殺しちゃダメ」
「しかし!!!」
「約束だよ、リーピチープ。約束を破ったらアスランに食べてもらうから」
「食べてもらう…!?」
私の提案を納得出来ない彼に効くのはアスラン関係のもの。すぐわかっちゃうんだからね。
でも食べてもらうってのは言いすぎだったかもしれないけど。
暗闇に隠れながら私たちはテルマールの武器が積まれた馬車を待つ。
もうすぐ到着すると情報が来てるからそろそろ静かにしないと、そう思って目を瞑った。
次に開いた時は私は剣士。見守ってるだけの存在じゃない、立ち向かう者。
ふわりと瞼を上げる。そして前方の道を見据えた。
意識を変えて精神を研ぎ澄ませる。久々の実戦だからって力を入れすぎないように。
私の意識を汲み取ったのか、リーピチープの意識も道に集中したようだった。
彼は一緒に馬車に切り込む…今回限りの私の相棒。
「……来た!」
ガラガラと音を立てて馬車が向かってくる。
確認出来る兵士は三人、これならイケる!
「いくよ、リーピチープ」
「わかった」
私たちは林から出て左右に飛び出している草に身を屈めて隠れながら馬車が真横に来るのを待った。
そしてここだ、という瞬間に二人で飛び出したんだ。
「ハァッ!」
「ヤッ!」
飛び出すスピードはやっぱりねずみである彼の方が早かった。
でも私も負けじと飛び出して一人目の兵士の鳩尾を剣の柄で突く。
「うっ」
兵士は前に倒れ動かない。気を失わせる作戦成功!
リーピチープも向こうで二人目の兵士を気絶させた。
「うわぁぁ…」
三人目の兵士が驚いて剣を掴むと私に向けてぶんぶんと振ってきた。
でも戦うっていう振り方じゃなくてどっちかというと追い払おうとした振り方。
それじゃ全然ダメだよ…って思いながら隙をついて剣のみねで腹を打った。
「ううっ」
兵士はその場で倒れると動かなくなった。
私たちは近くで待機していたカスピアンを呼んで来ると積んである武器を纏める。
馬車は兵士たちと残して武器だけ奪うみたい。
馬車五台分の武器は相当な数があった。けどこっちにはセントールも力持ちのミノタウロスもいるから大丈夫。
「よくやった、、リーピチープ。兵士も気絶しているだけだし、これなら宣戦布告にちょうどいい」
カスピアンは最後の武器が出され空っぽになった馬車を見ながらそう言うと、おもむろに剣を取った。
そして振り上げる。
ギッ…ギギッ、ギ…ギギギ…
見事な文字が馬車に彫りあがった。そこに書いてある言葉は、
『森を恐れるのは正解だ。]』
「]?」
「僕さ。カスピアン10世」
「10の]なんだね。うん、宣戦布告にはもってこいだよ」
「リーピチープ、は強かっただろう?」
「はい、稲妻の如く剣を閃かせました」
リーピチープは不機嫌な顔で言い捨てた。
きっと私が見た目と違って剣を使えたからだと思う。
騎士である彼から見れば守人なんて何が出来るかわからない人だったんじゃないかな。
剣を使えるなんて半信半疑だったんだと思う。だから起こったことが気に食わないんだよ。
「言い過ぎだから」
「あはは。
これで武器も揃った。アスラン塚に行こう、戦の準備をしなければ」
「はっ」
「うん」
私たちは戦利品を携えてアスラン塚に戻ることになった。
未だにペベンシー四兄妹に会う気配がない。大丈夫なのかな…
もしかして私がテルマールに落ちてカスピアンといることで話が変わっちゃったりしてないかな。
ううん、そんなことない。
だってアスランは彼らがナルニアに再び来るようなことを仄めかしてたもん。
きっと、もうちょっとで会える。
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まだまだカスピアンの臣下のままです(笑
2010/02/15
79話