「優勝〜っ!!!仮面剣士スティングル〜〜〜〜〜!!!!!!」







ウオォォォォォォォォ!!!







観客のいやに嬉しそうな声が木霊する。
ここは、クルザンドの闘技場。
軍事国家であるクルザンドにとって、民衆の憩いの場だった。


普段の闘技場は、富と名声を得るための戦士達の戦いの場。
民衆から貴族、王族までがその戦士達の栄誉を見物するために集まってくる。
中でも人気の戦士達は、乙女達のアイドルとなってプレゼントや黄色い声を頂き放題であった。

昔は、「余興。」と言って王子たちも戦いに参加したのだが、戦士達とはあまりにも比べられない程の豪腕になりすぎて、現在では出場を禁じられていた。



今回は、第三王子主催の闘技大会が行われ、優勝した者には金一封とヴァーツラフの独立師団のメンバーというポストが与えられることとなっていた。
そして、民衆の予想を大いに外し優勝したのは、謎の仮面剣士スティングルという者であった。
民衆の予想は、物心付いた頃からヴァーツラフの訓練所で必死に戦ってきたカッシェルとメラニィという者であったのだが。
彼らは、得体の知れぬスティングルに負けたことが悔しいのか、苦虫を噛み潰した様子でスティングルを睨んでいた。





民衆の熱も冷めず、今日の朝から夜中までお祭り騒ぎが続いていた。



やんややんやと踊り狂う者達。
この機会に強い男を手に入れようと必死になる娼婦達。
酒を酌み交わす男達。
噂噂と喋りたてる婦人達。
その周りで夜更かしに喜ぶ子供達。







町は、歓喜で満ち満ちていた。






























その夜、ヴァーツラフの副官サレイジェ・ベネトに呼ばれた者たち三人。
スティングル、カッシェル、メラニィが居た。



「こちらです。」



自分の下に付く者達にも、丁寧な言葉を忘れないサジェ。
そのサジェをメラニィはうっとり見上げる。




「イイ男…」



そう呟くメラニィにカッシェルはぼそりと釘を刺す。



「この方は、あの鬼神のサジェ様だぞ。」

「ええ!?この方が!?」



メラニィはもう一度サジェをうっとりと見上げる。



「そのギャップが堪らないねぇ。」



メラニィは再び呟いた。
















「王子、お連れしました。」

「入れ。」


サジェはある一室のドアを叩くと、中に声を掛けた。
中から返事があると、ゆっくりドアを開ける。
ギイィと鳴るドアは、サジェの手によって全開された。
中に居るのは、第三王子ヴァーツラフ・ボラド。





「良く来た、スティングル、カッシェル、メラ二ィ。待っていたぞ。」


『恐れ多き言葉。』




三人はそう言うと、一斉に膝を着く。
その時、ギイィとドアが閉まる。


目の前には、あの鉄拳豪腕ヴァーツラフ王子。後ろには鬼神のサジェ。
彼らが緊張しないことは無い。





「お前達は、私直々の部下になって貰う。サジェ!」

「は。」




サジェは、ヴァーツラフの横に来ると、一枚の紙を取り出し読み上げた。




「下の者を、第三王子付きの騎士に命ずる。

 威光激しく斬り裂くスティングル、通名を烈斬とする。

 幻のように人目に見えず惑わすカッシェル、通名を幽幻とする。

 深紅の光で敵を蹴散らすメラニィ、通名を閃紅とする。

 以上三名は、独立師団トリプルカイツとして、王子をお守りする盾となり、戦う矛となれ。」


『ははっ!!!!』




厳かなサジェの読み上げに感嘆した三名は、恭しくお辞儀をした。
三名の顔は恍惚として、非常な満足感を漂わせていた。
王子はそれに嬉々とすると、三名一人一人と話す時間を作った。




彼らは、ヴァーツラフ王子と何かを話すと、またもや恍惚状態となり、緊張を解かぬまま部屋を退出していった。

















部屋に残ったのはヴァーツラフとサジェ。
彼らは、お互いを見合うとフと笑った。




「どうでしたか?」

「ふむ。まあまあだったな。

 …しかし、期待出来そうな奴等だった。」

「そうですね。」

「ところで、サジェ。なんだ、あの通名というのは。」

「…通名があると、やる気の出そうな三人組でしたので。」

「……ぷっ……あ、はは。はははははは!!!!!」

「王子?」

「サジェ、お前面白いな。」

「褒め言葉としていただいておきましょう。」



ヴァーツラフは腹を抱えて笑うと、ツボにはまったのか、しばらく笑い止まなかった。
サジェはそれを溜息交じりで見つめている。




「お前見たか?メラニィのお前を見る視線。
 あれは、絶対お前に惚れたな。賭けてもいい。」

「王子、王子が賭け事だなんて、シャレになりませんよ。」

「お前は堅いな。」



ヴァーツラフが先ほどより高らかに笑うため、サジェはむっとして溜息をついた。
それを見たヴァーツラフは呟く。




「今日は、私の勝ちだな。」

「…いつも、王子の勝ちですよ。」

「ふっ…それで、近況はどうなんだ?」




ヴァーツラフは急に真面目顔になって聞く。




「そうですね。あと数ヶ月、と言うところです。」

「そうか。それまでに、お前はあいつらを教育できるのか?」

「無論です。できるのか?ではなく、するのですよ。」

「フ、なんて、恐い教官なんだ。」




ヴァーツラフは、カーテンを開けた。
闇夜なのに、遠くには点々と小さな明かり。
あまりにも小さいので、その明かりは砂漠の延々遠くにあることが分かる。
その方角は、





「ガドリアめ。私に勝てるとでも思っているのか。」



「…」




「お前に言っておくことがある。」



「は。」












「今度の戦は、



 の初戦となる。」











「!!」




「お前が参加するかしないかは、お前次第だ。」




「……」





俯くサジェを見て、ヴァーツラフは高らかに笑う。




サジェは、恐いお人だ、と思った。






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なんだか纏りもないし、面白みもないし。
ギャグなのかシリアスなのか。
どっちかと言うと、シリアス?
とりあえず、これからの展開に重要な部分を
無理矢理詰め込んでみた。

トリプルカイツがどう出来たとか。
彼らの通名の由来というか、考えた人というか。

この前から、ヴァーツラフとサジェの絡みばっかのような。

2006/03/27



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