「来た来た♪」
ノーマはこちらに向かって来るを見つけると、ぶんぶん手を振った。
はそれに気付くと、嬉しそうに駆けて来る。
「ごめんなさい、お待たせしてしまいましたか?」
「ううん、大丈夫だって!!ちゃん気にしすぎ!」
「そうですか?ありがとうございます、ノーマ。」
「もー、カタイよ〜っ!!!」
ノーマはバシバシとの肩を叩いた。
叩かれた肩を摩りながら、がふと周囲を見回すと、複雑な顔をした男性陣が彼女を見つめていた。
彼らが何故そんな顔で自分を見ているのか分からず、とりあえず小首をかしげてにこりと微笑み返す。
の微笑みを見て、彼らは先程以上に複雑な顔をした。
「、あいつと知り合いだったのか?」
「…え?…ワルターの事ですか?」
セネルは深く頷いた。
「はい。まだセネル達と会う前に一度会った事があるのです。」
「…そうなのか。」
セネルは自分が質問したにも関わらず、ぶっきらぼうに答える。
はそれを見て笑うと、「それにしても…」と付け加えた。
その言葉に反応し、セネルは彼女を見る。
は含み笑いをした後、じとりとした視線で自分を見る彼に謝って言った。
「セネルもワルターもそっくりですね。お互い名前を知っている仲なのに、あいつとか呼んで。」
「!!」
「あらあら、ごめんなさい。」
怒ったセネルを宥めると、は寂しそうな顔をした。
「…?」
「あ、いえ…。セネルもワルターも求めるものは同じなのだから、もう少し仲良くしてもいいのではないかと思いまして。」
「それが出来ていたら苦労しないな。」
クロエがそう言うと、は軽く苦笑した。
「さて用意も済んだ事だし、行きますか!」
「そうじゃな!!行くぞ!シャボン娘!!」
「モー助には負けないかんね!!!」
ノーマとモーゼスは競う様に早歩きで進んで行った。
「俺達も行くぞ、セネル。」
「あぁ。」
ウィルとセネルがその後に続く。そして最後にとクロエ。
歩き出したクロエは、急に立ち止まると振り返った。
「クロエ?」
「………。」
クロエは無言で突っ立っていたが、ガバとの両肩に手を置くと、
「私も、の考えに賛成だ。」
と言った。
は静かに「ありがとうございます。」と言って笑う。
「なんで笑うんだ?」
「クロエって、すごく真っ直ぐで純粋で、羨ましいです。」
「え?」
「私、クロエみたいになりたかったです。」
「そんな事…」
「クー、ちゃん!!早く早く!!遅いからジェージェーのこめかみに青筋が立ってるよ〜っ!」
クロエは「無い!」と言おうとしたが、ノーマに遮られてしまった。
「まぁ、早く行きましょうクロエ。」
「う、うん!」
クロエはに促されると、言葉を飲み込んで走り始めた。
「間も無く、作戦開始です。皆さんは、敵の側面、及び後方を撹乱しつつ、艦橋内への潜入を目指してください。」
「敵を叩く事よりも、防衛線の突破を優先するのだな。」
「何があっても、ヴァーツラフ滄我砲を撃たせてはなりません。撃たれてしまったら、その時点でこの戦いは僕達の負けです。」
「皆が頑張る理由がなくなっちゃうもんね。」
「皆さんは、シャーリィさん達の奪還を第一に考えてください。」
「言われるまでもない。」
「マウリッツさんの話では、シャーリィさんとステラさんがいるのは、艦橋の最上階のようです。」
ジェイは艦橋の一番てっぺんを指した。
それを客観的に見たクロエは、溜息を洩らす。
「覚悟は出来ているものの、到達するには遥かな道程だな・・・」
他もクロエに続いて艦橋の最上階らしき場所を見て溜息を洩らす。
それを遮るかのように、ウィルは大きな声で言う。
「よし。みんな、作戦内容は理解したな?」
皆一斉に頷く。
すると、平原の方からたくさんの人の叫び声や武器の擦れ合う音が聞こえてきた。
「先発隊が敵軍と接触したようだ。時間的には、ほぼ予想通りだな。」
「では、独立遊撃隊の皆さんも、行動を開始してください。」
ジェイはポケットから一枚の地図を取り出すと、皆に見えるように広げた。
「戦況報告によれば、ほぼこの先辺りが主戦場になっています。」
現在地と艦橋の真ん中を指差す。
「ここを真っ直ぐ行けば艦橋だな。」
「ええ、しかしそう簡単ではありません。遠回りですが、右へ回れば敵の布陣も手薄なはずです。どちらを選ぶかはお任せします。選んでください。
途中で倒れてもらっても困ります。何かあれば無理をせずに本部に戻り補給を受けてください。」
「了解した。」
「では、僕は作戦本部に戻ります。頑張ってくださいね。」
ジェイは一通り説明し終わると、彼らに背を向けて立ち去ろうとした。
「ジェイは一緒に行ってくれないのですか?」
その時、後ろから声をかけられて振り向く。
「…僕はこの作戦の参謀なんですよ、さん。参謀が戦うなど、聞いたことがありません。」
ジェイは声をかけてきたに冷たく言い放った。
しかし、言われた方は冷たくなど感じてないのかにっこり笑うと、
「残念です。」
と言った。
…やっぱり、この人と話してると調子が狂う。
ジェイは彼女をちらと見ると、眉間に皺を寄せた。
「どうしたのですか?」
「いえ、なんでもありません。」
ジェイはくるりと後ろを向くと、ひらひらと手を振って走り去った。
「気をつけて下さいね。」
もジェイに手を振って声をかけた。
「…ジェー坊もおった方がよかったんか?」
平原を進行中にモーゼスに話しかけられた。
は唇を緩やかにカーブさせると、「ふふ」と笑う。
「ジェイはとても戦闘慣れしているようなので、いてくれたら心強いと思ったのです。」
はモーゼスの手を握る。
「ジェイがいない分、私達が頑張りましょうね、モーゼス!!」
「そうじゃな!!ヒョオオオオォッ!!!」
モーゼスは気合いを入れると、前を歩いているセネルの方に走って行った。
「ジェイがいれば、カッシェルに対抗出来たかもしれないのに…。どうしましょう…。」
はそう呟くと、仲間に遅れを取らない様に歩を進めた。
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久しぶりの更新になりますが、如何でしたでしょうか?
ジェイが戦闘慣れしているのに気付くとは、なかなかやるな、ヒロイン!!(笑)
今まではなりふり構わず一話完結型で書いてきましたので、長かったり短かったりしてしまっていたので、ちょっと心を入れ替えてイイトコ?終わりを目指してみます。
(とか言いながら、もう完結型になってる…泣)…こ、これから目指すという事でっ!!(汗)
クルザンド記書く前のモノをリニューアルしましたが、とりあえず兄様を倒してもただで終わらない物語になるように工夫した(言ってしまえば付け足しただけ)つもりです。
これからも楽しんで頂ける様頑張りますので、末永く?お付き合い下さいませ。
2006/05/11
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