「ほおお…。」




モーゼスは艦橋を見上げて溜息を洩らした。


大きな口をぽかんと開けている彼を見て、ジェイはニヤリと笑う。
さしずめ、彼をからかう事ができるからだろうか。





「モーゼスさん。バカみたいに大口開けてないで下さいよ。」





モーゼスは口を閉じると、ジェイを睨んだ。




「シャーリィがいるのは、最上階か。」





彼らは一斉に艦橋を見上げる。






最上階は遥か彼方。
そこまで辿り着くために、どんな困難が待っているかもわからない。







それでも、彼らは行かなければならない。







「皆、行きましょう。シャーリィを早く助けなければ!!滄我砲を撃たれてしまった時点で、私達は終わりなのですから。」


さんの言う通りです。少しでも時間を無駄にすることはできません。」


ジェイはそう言うと、皆を促した。












「待て!」


踏み出そうとする皆の足をウィルが止めた。




「オレ達は、決して一枚岩ではない。それぞれの思いは違ってもここまで一緒にやってきたんだ。最後まで突っ走るぞ!!!」




ウィルの掛け声に皆は元気良く




「了解!」



と答える。






そして、艦橋への一歩が踏み出された。

































「お前達も来たのかい。」



中を少し進むと、蹴散らされた同盟軍兵士の真ん中に堂々と立っているメラニィに出くわした。




「くそっ…、兵士達がやられている。」




クロエが悔しみの声を発した。
はクロエの傍に寄って肩に手をかける。




「大丈夫だ。ありがとう。」




そんなの行動を、逐一見逃さない様にメラニィの目は彼女を追っていた。







はその目を避けながら、メラニィが自分の正体をばらしてしまうのではないかと内心ハラハラしていた。
しかしメラニィにその気配は無く、彼女はやがて彼らを舐める様に見回し、見下したように言う。







「現在艦橋は、私達トリプルカイツが各階層ごとに守りを固めている。しかし、お前達が他の二人を気にする必要はない。」





メラニィはそう言うと、先ほどより、より一層強く彼らを見下した。





「ここでくたばるからだ!!」





メラニィは鞭を一振りした。そこに魔獣とヴァーツラフ兵が現れる。






「くそっ…どうすればいいんじゃ!!」





「皆さん、僕に任せてください。」





ジェイはボソボソと自分の作戦を皆に聞かせると頷いた。




「いいですね。」




作戦内容を再確認すると、皆が深く頷いく。







「行くぞ、メラニィ!!」






ウィルの声で皆一斉に飛び出した。


もう少しでメラニィの目前、というところでジェイが煙幕を投げる。



彼らはメラニィと兵士達を避けて走った。



メラニィは煙幕の中でゲホゲホ言いながら目を擦る。




「貴様ら!!」




この隙に彼らは二重扉の向こうへと走っていく。
ジェイだけはスイッチの前に残り、何かの作業をしていた。




「ジェイ早くしろ!!」



「待って下さい、この扉がこちらから開かない様にしなければ…」




ジェイはカチャカチャと音を立てて機械を弄っている。




「ジェージェー、煙幕切れたよ!!メラニィが来る!!」




ノーマの声と同時に、薄れた煙幕の中からメラニィの姿が現れた。
その目はジェイを睨み、狙っている。





「ジェイ!!」



「終わった!!」





ジェイは額の汗を袖で一拭きすると後ろを見た。
すぐそこまで、メラニィの鞭が飛んで来ている。











その時、




「ぐっ!」




メラニィが鞭を振るっていた腕を押さえた。
彼女の持っていた鞭が後方に飛び、パシンという音が響く。








ちゃん!!!」





間一髪、が矢を射ったようだ。






「ジェイ、早く!!!」





はジェイの名前を叫ぶ。
彼はハッと気付くと、装置のボタンを押して扉を閉め始めた。
扉が締まる瞬間、ジェイが仲間の元へと飛び込む。








「…フウ。さん、ありがとうございました。」




「いいえ。無事で良かったです、ジェイ。」





はにっこりと笑って、ジェイを抱き締めた。





























「おのれ!ここを開けろ!!!」





メラニィはドアを叩いて叫んだ。
当たり前だが、中から返答はない。




「くっ…将軍閣下は間違っておられる。自分の妹だからといって……あの娘は裏切り者なのに!!!」




メラニィは腕を擦りながら言葉を吐き捨てた。



































「メラニィの声聞こえなくなったな。」


「ええ。」



は持っていた弓を背中に掛けると、続いている道を見た。




「先はまだまだ長いですね。」


「ああ。」




の言葉に、クロエも道を見た。




「さぁ行きますよ、お二人とも。」




ジェイの言葉に頷くと、彼らは艦橋の奥へと歩を進めた。











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すごい戦いを繰り広げた話でもないのですが、
ジェイのギリギリ頑張った話を書いている時は
自分でハラハラしてしまいました。
それに、メラニィが彼女の正体をばらさないか、
という時も(笑)
書いてる自分がハラハラできるのはとても幸せ
な事ですので、読んで下さってる皆様にもハラ
ハラしていただければ、なんて思います☆


2006/05/23


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