「ふはははは。これは愉快だ!!」






メラニィは魔物達の後ろで爪術を唱えながら笑っていた。







「フレイムカッター!!!」







彼女の爪術は魔物達を飛び越え、その向こうで戦っているセネル達へと放たれる。









「フンッ余裕だな。」




「そんなこと、ないですわよ。」






後ろから声がして振り返る。
するとそこには、弓を構えたが立っていた。
メラニィはニヤリと笑うと、鞭を構える。








「これはこれは王女様、ごきげんうるわしゅう。お久しぶりでございますこと。」



「本当、久しぶりねメラニィ。」



「最後にまともにお会いした日は、あの戦いの日だったですかねぇ。王女様はまだ十四歳くらいでしたね。美しくなりましたこと。」






メラニィはニヤニヤし続けた。
対するは無表情で、静かにメラニィを見据えている。

それが気に食わなかったのか、メラニィは凄い形相で睨み付けると、彼女のすぐ横に鞭を振るった。









ビシィン!!!









「フンッ!私はあんたが嫌いなんだよッ。その顔、性格、何もかも!!



 でもねぇ、一番気に入らないのは将軍閣下を裏切った事だよ!!!」








メラニィは地を蹴ると、に向かって来た。








鞭が飛ぶ。





  
バシッ…







はそれを弓で弾くと後ずさった。











「弓で何が出来るっていうんだい?あん時の様に、剣で戦いなよっ!!」




「っ……。」















































「クーリッジ、どこにいる!?」



「ここだ!どうしたクロエ!」



「三人で防いでいるには、さっきより押されてないか!?」




確かに、クロエが言う様に先ほどより押されていた。





「ジェイっ大丈夫かっ!?」




セネルが呼ぶが、返答はない。




「ジェイっ!!」







少しの間のあと、本人ではない者から声が返ってきた。







「ジェー坊なら、を見つけたと魔物を避けてメラニィの方に走って行ったんじゃ!!」



「何!?はメラニィの所にいるのかっ!」







セネルはメラニィがいる方を見た。









「オウッ、さっき見えちょったがの!!」



「バカモーゼス!!早く言え!!」







セネルはモーゼスを睨んだ。
モーゼスはセネルの暴言を気にすることもなく前方に出ると、「ワシがジェー坊の代わりをする!」と槍を投げた。


セネルはそれに乗じて爪術を放つと、前方を見た。



彼の前にはたくさんの魔物達。
その間からメラニィとその近くに居るだろうの姿は見えない。









「迫撃掌ッ!」








セネルは右手を繰り出すと、魔物を思い切り殴り飛ばしてダウンさせる。









を頼むぞ、ジェイ。








彼はを助けに向かっただろうジェイに祈った。



































































「もう、終わりじゃないかい?」





は壁に追い込まれ、逃げ場を失っていた。
絶体絶命の中、彼女は眉一つ動かすことなくメラニィを見据えている。
手に持っている弓は矢が番えられ、いつでも射てる様に準備されていた。







「将軍閣下には、どっかの戦闘で死んだって報告しておいてやるよ。」







「……。」





「くたばりな。」







メラニィは力を込めて、鞭を振るおうとした。
も一か八かで弦を引く。








が、






メラニィの鞭は振るわれる事がなかった。






















































「…なん…だって…。」






メラニィは鞭を落とすと、背を逸らして床に膝をついた。





「…トリプルカイツといわれる方が、油断しすぎなんじゃないんですか?」





彼女の背後には小刀を持ったジェイが立っている。
その刀からはメラニィのものだと思われる血が滴っていた。








「猛毒が塗ってありますからね。あなたが終わりなんですよ。」




「ぐッ…くそッ………私が、私がこんな負け方をッ……!!!」





メラニィは崩れ落ちると、床の上でビクンと痙攣した。









「将軍…閣下…申し訳……」








そして最後の力を振り絞って手を挙げると、そのまま力尽きた。





床には彼女の真っ赤な血が流れ出しそこを染めていった。
その血は止まることなく、ドクドクと広がっていく。





は目を逸らすと、唇を噛み締めた。









― 本当は、こんな事がしたかったわけではないのに。





  メラニィが自分のことを嫌っているのは前々から分かっていた。
  彼女が私を見る目、いつも憎しみがこもっていた。


  兄様を賞賛して見る様な目とは明らかに違う…


  でも、だからと言って、こんな…こんな事って!!!


  メラニィも、大事な私の民なのに!!!!




  こんな惨い死を押し付けてしまった。









の頭の中を駆け巡る思い。
彼女は目を瞑ると、静かに黙祷した。







さん、大丈夫でしたか?」




目を瞑っているを心配して、ジェイは下から彼女を覗き込んだ。
は目を開けると、ぱちくり瞬いてにっこり微笑んだ。




「はい。ジェイ、危ないところをありがとうございました。」




「いえ。呆れて怒る事も出来ませんが、あなたは無茶過ぎます。心配する方の身にもなってください。」





ジェイは腕を組んだ。



周囲の魔物達はメラニィが倒れた為か殆ど消滅していた。
靄や埃の舞う向こうから、人影が見える。





「ほら、皆さんが来ましたよ。頭に集中しておいた方がいいでしょうね。馬鹿になってしまいますよ。」



「えっ…?」

















彼らの元に一番最初に来たのはウィル。


見事にとジェイの頭に拳骨を落とし、説教をした。


その後はノーマとクロエがに抱きつき、セネルとモーゼスはジェイに「良くやった!!」と褒めちぎった。

褒められたジェイは照れて後ろを向くと、「大したことじゃありませんよ。」と言って二人をわらかした。
















「さぁ、進みますか〜!!」


、今度はオレの目が届かないところには行かないでくれ。」


「…ええ。」


「間があったのう。」


「そんなことありませんっ!!」


「焦っているところが怪しいな。」


「もう、セネルまで!!!」








彼らは仲間達の無事に安心すると、更なる困難へと向かっていく。
















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メラニィ編終わり☆

ちょっと可哀相な殺し方をしてしまった気がします。
私の中のメラニィは、ヴァーツラフを尊敬して崇拝し
て、淡い恋のような憧れを抱いている、と思っていま
す。だからベタベタの妹が嫌い。な感じで。

カッシェル編でジェイ活躍するはずなのに、メラニィ
編でも活躍してしまった!!…いやいや、ここで活躍
したのはセネルって事で(笑)


2006/05/25




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