ジェイの言葉には目を見開いた。
そして震える唇を押さえながら、嬉しそうに彼を見た。
彼は照れからか、彼女から顔を逸らすと腕を組んだ。
「ジェージェー、やっさし〜。」
ノーマが隣りで茶化すと、彼は「うるさいですよ。」とさらに目を背けた。
ヴァーツラフは苦々しげにジェイの方を向こうとしたがそれは叶わず、
「…私が…こんな奴等に負けるなど…っ!」
と床に崩れ落ちていった。
はそれを見とると、胸を撫で下ろしてステラとシャーリィの元へ走る。
その横には既に滄我砲の準備をしていた兵士の姿はなく、将軍であるヴァーツラフはクルザンドに見捨てられたも同然だった。
― 兄様…兵士達にまで見捨てられてしまうなんて…。なんて可愛そうな方なの…。
は彼女達に走り寄りながら、兄をチラリと見て同情した。
― 兄様がレクサリアに行く時は、私も一緒に行きましょう。…絶対に。
はそう心に決めると、ステラが繋がれているガラスケースの前に立って彼女を見上げた。
「約束通り来たわ、ステラ。」
そう呟くと、ステラが「ありがとう。」と言った気がした。
セネル達もお互いに体を支えながら、囚われの少女達の元へと集まった。
彼らは協力して二人を装置から外すと、ゆっくりと床に横たえた。
「ステラ!!おい、目を開けてくれ!!」
セネルは泣きそうな声でステラに呼び掛けた。しかし、彼女の反応はなく静かに息をしているのだけが読み取れる。
「ううん……。」
その時、隣りからシャーリィの唸り声が聞こえ、全員で彼女を見た。彼女はとても青白い顔をしていたが、命に危険はないようだ。
「シャーリィ、しっかりしろ!」
「お兄ちゃん……。」
「気がついたか。」
「お兄ちゃん……。助けに……来てくれたの……?」
「ああ。もう大丈夫だ。悪夢は終わった。」
セネルはぎゅっとシャーリィを抱き締めた。
「お姉ちゃん……は……?」
「そばにいる。ちゃんと生きてる。」
「よかった……。」
シャーリィは安心したのか、静かな吐息を洩らした。
「あの、ジェイ!」
はおどおどしながら、ジェイを呼んだ。ジェイは目を少し細めて笑うと、の横に来た。
「私…。」
「…誰もあなたの事をあんまり気にして無いと思いますよ。あなたは、僕たちと一緒に彼と戦ったのですから。」
「…。」
「命を取るまでいかなくて良かったですね。あとは、レクサリアが裁いてくれますよ。」
「…ええ。」
「さんは、彼を自分の手で殺すつもりだったんですか?」
「…それは。」
「出来ませんよね。あなたはそんなに残酷な人じゃない。」
「ジェイ…。」
「そうでしょう?」
ジェイの言葉に、は心臓を掴まれた気分になった。
― 私、兄様が願いを聞いてくれない時は自分の手で殺そうと…。
ブゥン…
その時、何かの機械音が部屋に響いた。
「?」
「なんだ!?」
彼らはその音に驚くと、部屋の中を見回した。
そして視線は一点に集まる。
「な…んで二人が繋がれてないのに、これ動いてんの?」
「ジェー坊、何とかせえ!」
モーゼスに言われたジェイは、とりあえず機械を触るが、理解出来ないらしく、
「無茶言わないでくださいよ!ぼくだって。どうすればいいのか……。」
「なぜだ!?ステラさんもシャーリィも、すでに装置から外されているのに!」
「ちゃんは!?どうにかできないの!?」
にもふられたが、機械を触ったことがない彼女は何も出来ずただ首を横に振るだけだった。
「ククク……。」
「!?」
不意に後ろから不敵な笑いが聞こえ、セネル達は一斉にその方を向く。
そこには、唇に勝ち誇った笑みを浮かべたヴァーツラフが立っていた。
「ジェージェー、薬効いてないじゃん!!」
ノーマはそう言うと、ジェイの肩を揺すった。しかし、驚いているのはジェイも同じだ。
「そんなっ……まさかあの量で……こんな短時間で動けるわけ…」
ヴァーツラフはヒヤリとした視線をジェイに向け、次にセネルを見た。
「再び拳を交えて、実感した。貴様の正体がわかったぞ。貴様の使う爪術。そうか、そういうことだったのか。」
「な、何を……!」
「3年前の件、ようやくカラクリが解けたわ。」
「……!」
「貴様はやがて知るだろう。自分の選択がいかに愚かしいものだったかを。貴様は自ら、引き返せない道へ踏み込んだのだ……!」
「何だと…!?」
「それに、お前もだ。」
「……。」
ヴァーツラフはジェイに傷を負わされていない方の手をゆっくりとあげた。
「おい!手に持っているのは何だ!」
「スイッチ……?まさかそれで、装置を!」
ヴァーツラフは彼らを見回し、最後に妹の顔をじっと見た。
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話の切り場所が微妙でごめんなさい!
相変わらずジェイ贔屓です。
(きっとこの後もジェイ贔屓…。)
ジェイの痺れ薬に打ち勝つとは、
兄様スゴイ!!(笑)
2006/06/09
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