ガコンッ
























機関車が止まる。
その音に揺られる様に皆の体が前から後ろへと動いた。
私達は無言で降りると、誰も何も言わないのにいつも集まる時と同じ様に機械装置の前で丸く集まった。

しばらく誰も何も言わなかった。
今回のことは皆ショックで、何も言えなかったの。
















私達はシャーリィの説得に失敗したのだから…。













「ごめん…俺…。」

「ううん、私がっ…。」






私とセネルが同時に頭を下げた。
二人で顔を見合わせると、気まずそうに逸らす。











は今回の事に関係ない。だから何の責任もないよ。」









セネルは優しく言うと、苦しそうな顔をした。










「これは、俺とステラが失敗したんだ。

 …みんな、ごめん。」








セネルはそう言うと、深々と頭を下げる。



























ガツンッ




ガツンッ

























「痛っ!」

「いたいっ…」









セネルと私は、いきなりウィルのげんこつをくらった。












「これはお前達への制裁だ。皆の意思を背負って説得に臨んだお前達への制裁だ。」

「ウィル、はっ…」

「今のはステラへの制裁だ。」












…あらまあ。
ステラも感じるのかしら、痛み。












「…あれはシャーリィだったな。メルネスではない。

 …まだ望みがあるかもしれん。」

「ああ、次はきっとシャーリィを取り戻そう。」

「次ってクー、どうやってリッちゃんとこ行くの?」

「ほんまじゃ。どうやって行くんじゃ?クッちゃん。」

「そ…それは…。」











クロエは戸惑った顔で光跡翼を見た。
私達もそれにつられると、同じ様に見る。










遠い場所。


空を跳べるのならなんとかなるかもしれないけれど…。











、一人で行こうなんて考えるなよ。」

「えっ…」

「考えていただろう?」









はあ〜っ、ウィルは何でもわかっちゃうのかしら。










「ごめんなさい。」








私は素直に謝ると、皆を見回した。
皆はどうすれば行けるか悩んでるみたいだった。







一人を除いては。






私はその一人にずいっと近寄ると、顔を近づけて囁く。










「ジェイ、何か知ってるの?」

「!!

 …っさん、そんな酔っ払いみたいに顔を近づけないでください!」









私の囁きに驚いて、ジェイがあとずさった。
皆は驚いて私達を見る。











「酔っ払い…?何それ…。」










私の代わりにノーマが呟いてくれた。











「酔っ払いは酔っ払いですよ!」

「……わかった!ちゃんに何かされて照れてるんでしょ〜!?」

「!?違います!」









ジェイはあからさまに顔を赤くすると、機関車に触った。









機関車……もしかして!






「その機関車で光跡翼に行けるんじゃないの?」








私はそう言うと、機関車が停まっている先にまだ線路が続きそうなのを確認する。








「違う?ジェイ!」







ジェイはフと笑うと同じ様に線路を見る。











さんにしては鋭いですね。」

「私にしてはは余計よ!」

「あ、馬鹿にしているのわかってしまいましたか。」

「わかりますっ!」








ジェイは再びフと笑うと、機械装置を見た。









「これを少しいじらせてください。まあ、一晩ほどいただければシャーリィさんの所へ行くようにしてみせます。」

「本当か?ジェイ!!」








セネルはジェイを期待の眼差しで見た。
ジェイは少し照れたように頭を掻くと「本当ですよ。」と言った。









「一晩か……では各自自由時間とする。出発は明日の朝だ。」

『は〜いっ』








ウィルの言葉に返事をすると、皆街へ戻ろうと歩き出した。








「待って!」







ところがノーマがみんなを呼び止める。









「なんだノーマ。くだらん事だったら…。」

「くだらなくない、くだらなくない。」








ノーマはウィルの言葉に同じず、明るく答えた。








「みんなやる事終わったら噴水広場にしゅ〜ご〜ね!!今日はパーッとやるよ!」

「何の話だ?」

「やだもー、セネセネったら、宴会の話に決まってるじゃない!」






『宴会!?』








私達は顔を見合わせるとノーマを見た









「いちおー自由参加にしとくけど、ちゃんと来てよねっ!

 ん〜じゃ、またあとでね!」







ノーマは自分の言いたいことだけ言うと、一番先に街へもどっていった









「結局は行けっつうことじゃな。」

「そうみたいだ。じょうがない…。」






皆は口々に不満ぽいものを言いながら、でも楽しみにしているのか含み笑いをしながら街へ戻っていった。











「ジェイ!」

「?どうしました、さん。」

「えと…頑張ってね!」









ジェイは優しく笑うと、「もちろんです。」と背中を向けた。











私は彼の邪魔をしないようにそおっと離れると、街へと向かって歩きだした。















































街はもう暗くなっていて、私はとりあえずお風呂に入るためにミュゼットさんの家に向かった。




仲間達皆はどうしただろう。




彼らは今、何を思っているのだろう。何をするのだろう。












「果てのない道。」








私は呟く。









「どこまでも続く道



 どこまでもどこまでも続く道



 僕たちはいつになったら足を止めればいいのだろう



 いつになったら着くのだろう



 果てのない道はいつまでも続いていく



 いつまでも」











呟き終わると、私は空を見上げた。








真っ暗な空には明るい星々がきらきらと輝いている。

自分こそが一番なんだって言ってるみたい。











「私達は、果てのない道じゃないよね。」










星々は相変わらず同じ様に光ってるままだけど、私の問いに「うん」と答えた気がした。










星が一個増えるたびに誰かが死んでいるなんて誰が言ったのか。



人には死という果てがある。それは陸の民も水の民も一緒だ。














「私達には、死という果てがある。だから…何かに一生懸命打ち込む。死の恐怖から逃れるため…。」















私は星々を見つめた。


彼らが全て、この丗で死を迎えた者達なのだろうか…。














「なーに縁起でもないこといってんのよ。」

「ハリエット!」










足はいつの間にかミュゼットさんの家に着いていて、私は門の前でぼーっと突っ立ってる感じになっていた。
彼女はそんな私の行動を心配して部屋から出てきてくれたみたい。




ハリエットは腕を組んで私の前に立つと、じーっと私を見た。









「どうしたの?」








不思議に思って聞くと、彼女は思いきり抱き着いて来た。









「ハリエット!?」

「良かった!どこも怪我してない。無事だったんだ。」








彼女はそう言うと、ゆっくり体を離した。








「おかえりなさい、。」

「ただいま、ハリエット。」







私達はにっこり笑い合った。












「…で、あいつは無事なの?」










ハリエットは突然話を変える。
彼女が言うあいつとはウィルの事。
よっぽど心配してたのね。












「無事よ。ぴんぴんしてるわ!」










そう言ってあげると、彼女はあからさまに嫌そうな顔をした。











「ふ…フンッ…ざっ残念だわっ!」

「ふふ。」

「何で笑うの?」

「教えません♪」










もうっ、素直じゃないんだから〜っ。













「会いにいかないの?」

「誰が行くもんですかっ!」











ハリエットは乱暴にドアを開けると、怒って家の中に入っていってしまった。







「あらあら…。」







年頃の女の子らしくて可愛い。
私はそんな事を思いながら部屋に戻って、着替えを持ってお風呂場に向かった。



















































チャプン…






















私が帰って来て入るのがわかっていたかのようにお風呂が沸かしてあって暖かい。
それを幸せに感じながら湯舟につかると、マダムミュゼットに感謝した。
それと同時に、帰りの挨拶をしないままお風呂に直行してしまう自分にちょっと罪悪感。












さん、帰ったの?」

「!!マダムミュゼット、すみません挨拶に伺わず…」

「あら、いいのよ。まず始めに汗と汚れを落としたいっていう感情は女性として賛成ですもの。」










彼女はころころ笑った。














さん。」

「はい。」

「無理しないでね」

「はい!」













マダムミュゼットはそれだけ言うと出ていってしまった。










彼女の気持ちに感謝する。
クルザンドにいる母様を思い出してしまう。

優しい母様…。

あの一言でそれくらい暖かいものをもらった気がした。








私はお風呂からあがって自分の頬をばんばん叩く。















「よぉ〜しっ!絶対止めるぞ!!」














そしてそう叫ぶと、お風呂でぴょんぴょん飛び上がった。














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いつか来るその時のために、今を一生懸命頑張ろう。


2006/08/03






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